米株安や円高を受けて、日経平均は4日続落
2017年12月15日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より141円23銭安の22,553円22銭となりました。4日続落です。
14日に、楽天が国内4番目の携帯電話事業者として参入すると発表したことをきっかけに、競争が激化するとの懸念から、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信大手株が売られました。KDDIとソフトバンクだけで日経平均を76円押し下げたほか、楽天も大幅に下落し、年初来安値を更新しました。
加えて、14日の米株式市場でダウ工業株30種平均が6日ぶりに反落したことや、為替が円高に進んだこともあって、幅広い銘柄に売りが出ました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。一つ心配なのは、足元の円高傾向です。13日には米連邦準備理事会(FRB)が前日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年3回目の利上げを実施したものの、来年の政策金利見通しが据え置かれたことから、利上げが加速しないとの見方が広がりました。材料出尽くし感もあって、ドルを売って円を買う動きが広がりました。
ただし、15日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日ぶりに反落し、前日比20銭円安・ドル高の1ドル=112円55~65銭で取引を終えています。
背景には、成立に不透明感のあった米税制改革法案について、反対を表明していた共和党上院議員らが賛同する意向を示したことから、来週にも可決される可能性が高まったことがあります。成立すれば、米国で30年ぶりの税制改革で大型減税になります。
これを受けて15日には、円などの主要通貨に対してドルが買われました。また、ダウ平均、S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数の主要3指数がそろって最高値を更新しました。
今週は、日経平均もこれらを受けた連れ高への期待が高まります。ただし、クリスマス休暇や年末が近づき、海外勢の利益確定売りも出やすくなっており、年内は高値圏でのもみ合いで終わる可能性もあります。
2万3000円台を目前に上値が重い展開
先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。11日月曜日は前週の上昇の流れを引き継いで陽線となりました。
直近は、上値は11月9日の高値と12月1日の高値を結ぶライン、下値は11月16日と12月6日の安値を結ぶラインにはさまれた三角持ち合いの形になっていました。ここを抜ければ方向感も見えてきます。
上に抜けるには12月1日の高値(22,994円)を上回ることが条件です。11日には22,938円、12日には22,994円と1日の高値に並びますが、けっきょく、上値を押さえられて下落してしまいました。そして、5日移動平均線だけでなく、25日移動平均線も割り込みました。
三角持ち合いでもみ合いが続く可能性も
今週の動きはどうなるでしょうか。25日移動平均線を割り込んだことは一つのポイントです。ただし、もみ合いが続いている状況では、移動平均線がローソク足の実体に近づいたり、クロスしたりすることもよくあります。
現状は、前述した三角持ち合いの中にローソク足の実体があるため、方向感の判断は、これをどちらかに抜けてからということになります。三角持ち合い抜けのめどとしては、上値は12月1日の高値(22,994円)、下値はトレンドラインの下限の22,300円付近および、12月6日の安値(22,119円)などとなります。
12月6日の安値を割り込むと、短期的な下降トレンドラインが形成されますが、週末の米株高、円安傾向から、そこまで達せずに反発することも考えられます。そうなると、上値が一定で下値が切り上がるアセンディングトライアングル(上昇三角形)となります。強気のフォーメーションであり、上昇に期待ができます。
下原 一晃