日経平均は米雇用統計を控え小幅な動き
2023年10月6日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比80円69銭安の3万0994円67銭となりました。前日の米株式市場でダウ工業株30種平均、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数がともに下落したことを受けて、日本株も上値が重い展開となりました。ただし、同日夜に発表される9月の米雇用統計の発表を控えて様子見傾向となり、値動きは小幅でした。
今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。9日の米株式市場でダウ平均は続伸し、前週末比197ドル07セント高の3万3604ドル65セントで終えています。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが7日、イスラエルへの攻撃を開始しました。
地政学的リスクが高まるとリスクオフの動きとなり、株式は売られる傾向があります。同日も、午前中は150ドル近く下落しました。ただし、その後は次第に買い戻され、逆に大きく伸びて終えました。背景には、地政学的リスクが高まったことで、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めがいったん緩むのではないかという観測が広がったことです。
ただし、安易な判断は避けたいところ。足元ではさまざまな情勢が不透明で、個々の材料で相場が振られる可能性があります。6日の米株式市場では強い雇用統計の結果を受けて大きく下落していました。3日には米連邦議会下院で、野党・共和党トップのマッカーシー議長の解任動議が可決されました。11日には下院議長選が行われる予定ですが、混乱も予想されます。
さらに気になるのは為替の動向です。3日には1ドル=150円台まで円安が進んだ後、147円台まで円高が進みました。市場では政府・日銀が為替介入を行ったという見方が広まっています。今後も150円前後では介入警戒感が高まりそうです。
中東の紛争が長期化すると、原油価格の上昇などにもつながります。要人の発言などで相場が急に動くこともあり得ます。柔軟に対応できるよう備えておきたいところです。
心理的節目の3万円付近まで下落
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週はローソク足の実体が25日移動平均線、75日移動平均線をともに割り込んでいたことから、先週、これを挽回できるかどうかがポイントでした。実際には週初2日から大きな陰線となって下落すると、その後も窓をあけて下落。4日には一時、3万487円と、3万円を割り込む直前まで下げました。ただしその後は陽線となって反発し、3万1000円付近まで上昇しました。
今後の展開はどうなるでしょうか。チャートの形はあまりよくありません。大きなポイントとしては、先週の下落によって直近の押し安値である8月18日の安値(3万1275円)を割りこんでしまったことです。これにより、6月19日の高値(3万3772円)を始点とする中期的な下降トレンドラインが再度形成されてしまいました。
また、7月12日の安値(3万1791円)、8月18日の安値(3万1275円)を結ぶチャネルの下限も一時下回りました。ただし、現状はいったん、チャネル内に価格が戻っています。今週まずはチャネル内での上昇を期待したいところです。8月18日の安値(3万1275円)を超えるようであれば押し目買いで出動してもいいでしょう。
逆に、先週の安値である10月4日の安値(3万487円)を割るようであれば中期的にも目線を下に持たざるを得ません。その場合、3月16日の安値(2万6632円)までが視野に入ってきます。
参考資料
下原 一晃