かつて話題となった老後2000万円問題。記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
ファイナンシャルアドバイザーである筆者のもとに資産運用の相談にくるお客様の中にも、「老後2000万円問題が気になって…」とおっしゃる方はいまだに多くおられます。
いま年金暮らしを送るシニア層の中で、実際に貯蓄2000万円以上を保有している世帯はどれくらいいるのでしょうか。
今回は70歳以上の世帯に絞って、貯蓄2000万円をクリアしている世帯の割合を確認していきます。
また、厚生年金や国民年金の平均月額も併せてみていきましょう。
1. 70歳代以上「貯蓄2000万円超」のシニア世帯は約42%
老後2000万円問題とは、平均的な家計収支で年金暮らしを送る無職夫婦2人世帯は、毎月5万5000円の赤字となり、老後を30年間と仮定すると約2000万円不足する、という金融庁の報告書を発端としたものです。
生活費は世帯によって異なりますし、シニア世代の主な収入源となる公的年金も個人差があるものです。
よって、本当に2000万円も不足するのか、あるいは2000万円で足りるのかも世帯ごとにことなります。
しかしながら、シニアの平均的な暮らしぶりを想像するのに、この「2000万円」は一つの目安となるでしょう。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)詳細結果-(二人以上の世帯)」によると、70歳代以上の貯蓄の平均額は2411万円です。
平均では2000万円問題をクリアしているということになりますね。
しかし、下図を見るとやはり世帯により貯蓄事情は異なるようです。
1.1 70歳代以上の貯蓄現在高(187万4554世帯)
70歳代世帯の貯蓄現在高について、金額ごとの世帯数を見ていきます。
70歳代以上の平均貯蓄額:2411万円
- 100万円未満:14万896世帯
- 100万円~:6万4999世帯
- 200万円~:6万426世帯
- 300万円~:6万9205世帯
- 400万円~:6万2104世帯
- 500万円~:7万670世帯
- 600万円~:5万2589世帯
- 700万円~:4万9056世帯
- 800万円~:6万433世帯
- 900万円~:4万6408世帯
- 1000万円~:10万9329世帯
- 1200万円~:8万5755世帯
- 1400万円~:6万9842世帯
- 1600万円~:8万2145世帯
- 1800万円~:5万9305世帯
- 2000万円~:15万265世帯
- 2500万円~:12万1065世帯
- 3000万円~:17万7308世帯
- 4000万円~:33万4754世帯
70歳代以上のシニア世帯のうち貯蓄額2000万円をクリアする世帯は、合計78万3392世帯。
全体の約42%を占めています。
少し細かく見ていくと、貯蓄額4000万円以上の世帯が最多という結果に。
シニア世代の人たちは潤沢な資産を保有しているように感じますが、100万円未満、200万円未満、と医療費や介護費用などの大きな出費があれば貯金が底をついてしまいそうな世帯も一定数いるようです。