2017年12月4日、日立製作所(6501)は、韓国ソウルに、昇降機(エレベーター及びエスカレータ)の販売とサービスを行う「日立エレベーター韓国社」を設立したと発表した。
日立は、韓国では1968年に現地企業と技術提携し、1984年には当時韓国国内で最も高いビルであった大韓生命ビルに、分速540mの高速エレベーター8台を納入した実績を有するが、1999年に韓国市場から撤退している。このため、今回の新会社設立で18年ぶりに韓国市場に再参入を果たすことになる。
韓国は中国、インドに次ぎ、昇降機の需要台数が世界で3番目に多い有望な市場とされ、年間の昇降機販売台数は4万台規模になる。
近年、ソウルなどの主要都市で再開発が進んでいるため、新設需要が見込まれることや、韓国国内の昇降機安全管理法規の改正により既設昇降機のリニューアル需要も見込めることから、今後も昇降機の需要は堅調に推移すると期待されている。よって、今回の再参入は理にかなったものと見ることができそうだ。
なお、現状の日立の昇降機事業は日本と中国に大きく依存しているが、近年、持続的な成長に向けて新たな市場への進出を加速している。実際、2016年7月にカンボジア、2016年9月にベトナム、2017年4月にイギリスに、それぞれ新拠点を設立している。今回の韓国での新会社設立も、そうした流れに沿った動きと見ることができる。
昇降機事業は、高品質な製品とサービス力を背景に日立が競争力を発揮できる事業分野と考えられるため、今後も同社の昇降機事業のグローバル展開には要注目である。
LIMO編集部