2. 国民年金と厚生年金の平均受給額はいくら?

公的年金の仕組みを理解したところで、国民年金と厚生年金の平均受給額を見ていきましょう。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均月額は「5万6368円」となっています。

国民年金の男性の平均受給額は「5万9013円」、女性は「5万4346円」となっており、男女間に大きな差は見られません。

国民年金を受給する多くの世帯が受給額「5〜7万円」を占めており、年金だけで老後生活を送るのは少々ハードルの高いものといえます。

一方で、厚生労働省の同調査では、厚生年金の平均月額は「14万3965円(※国民年金部分も含む)」となっています。

厚生年金の男性の平均月額は「16万3380円」、女性は「10万4686円」となっており、国民年金よりも男女間で差が大きく開いていることがわかります。

厚生年金は、現役時代の収入や厚生年金加入期間によって決定するため、男女間や受給額の割合に差やバラつきが生じているのでしょう。

なお、上記に記載されている年金額は、税金や保険料が「天引き」される前の金額となっています。

そのため、実際の手取り額はここからさらに少なくなる可能性があることも留意しておきましょう。

3. 10月支給の年金から天引きされるお金(税金・保険料)は4種類

冒頭でもお伝えしたとおり、国民年金と厚生年金は、税金や社会保険料が天引きされた後に、年金受給者に振り込まれるのが一般的です。

10月支給分の国民年金や厚生年金からも天引きされるお金(税金・保険料)は、下記4種類です。

  • 所得税と復興特別所得税
  • 個人住民税
  • 介護保保険料
  • 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)

年金から天引きされるお金については、自治体によってはより詳しく掲載しているところもあるため、気になる方はお住まいの自治体のホームページを確認してみることをおすすめします。

3.1 所得税および復興特別所得税

公的年金額を一定以上受け取る場合、「所得税」および「復興特別所得税」が課せられます。

上記は、額面から社会保険料と各種控除額を差し引いた額に5.105%の税率を掛けた額となっています。

なお、公的年金のうち「障害年金」と「遺族年金」の場合は、非課税となるため留意しておきましょう。

3.2 個人住民税

65歳以上で公的年金の支給額が年間18万円以上の場合は、個人住民税(市民税・県民税)が天引きされます。

なお、個人住民税も所得税と同様に、障害年金と遺族年金の場合は非課税となります。

3.3 介護保険料

介護保険とは40歳以上の方を対象に徴収するもので、高齢となり介護が必要になった際に、一定額の給付が受けられる制度となっています。

介護保険料は現役時代だけでなく、年金が受給できる65歳以上になっても、年金の支給額が18万円以上の人は年金から天引きする形で徴収され続けます。

さらに、介護認定をされた場合も介護保険料の支払いは天引きされ続けるため、「介護状態になったら天引きが終わる」というわけではないので留意しておきましょう。

3.4 後期高齢者医療保険料・国民健康保険料(税)

現役時代に支払い続けていた「国民健康保険料」も、介護保険料と同様に年間の年金支給額が18万円以上であれば、年金から天引きされます。

65歳以上75歳未満の人は「国民健康保険料」が天引きされますが、75歳以上になると「後期高齢者医療保険料」という健康保険に加入し、こちらも年金から天引きされます。

後期高齢者医療保険料は原則75歳以上の人が年金から引かれるものですが、重度障害などが理由で後期高齢者医療保険制度に該当するケースの場合は、65歳以上75歳未満でも年金から天引き対象となります。

なお、国民健康保険と後期高齢者医療保険料はどちらか1つの加入となるため、「同時に保険料が天引きされることない」ということも留意しておけると良いです。