2023年8月26日にログミーFinance主催で行われた、第60回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第5部・株式会社ニーズウェルの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ニーズウェル 取締役常務執行役員 松岡元 氏
株式会社ニーズウェル 執行役員 関係会社財務経理部担当 兼 CC室長 新井千波 氏
元・ファンドマネージャー/元・ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
経済アナリスト/経営コンサルタント 増井麻里子 氏

会社概要

松岡元氏(以下、松岡):技術部門を担当している松岡と申します。本日は第3四半期の概況と、現在進行中の第4四半期の見通し、さらに8月21日に公開した今後の中期経営計画の概要についてご説明します。当社のことをまだご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、この機会にいろいろと知っていただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、会社概要からご説明します。株式会社ニーズウェルは東京都千代田区紀尾井町にあり、ホテルニューオータニのオフィス棟に本社を構えています。グループ会社として、零壱製作、ビー・オー・スタジオ、コムソフトの3社を含めて活動しています。社員は603名で、そのほとんどがITエンジニアというかたちで事業を推進しています。

それでは、第3四半期の決算概況について新井よりご説明します。

1.1)決算ハイライト 総括

新井千波氏(以下、新井):決算ハイライトの総括からご説明します。売上高、利益ともに前年同期比で大幅に増加しました。

経常利益率も目標の10パーセントを大きく上回っています。積極的なアライアンスで販路や顧客基盤が拡大したほか、金融系マイグレーション案件、ソリューションビジネスが変わらず好調でした。

1.2)売上高・営業利益・経常利益 年度別推移

新井:売上高、営業利益、経常利益、年度別の推移です。営業利益、経常利益は業績予想に対して進捗率8割を超え、前年度の通期累計実績を上回っています。

増井麻里子氏(以下、増井):経常利益率が13.1パーセントということで、同業他社と比較して割合が高い理由を教えてください。

松岡:利益が出やすい体質になっている理由として、1つはソリューションの売上が割合としてかなり大きくなってきたことが挙げられると思います。直近では、各企業においてDXやインボイス制度、電子帳簿保存法など、システムに手を入れなければいけない対応を迫られています。

当社では経費精算システムのソリューションや、業務効率化を行うRPAなど、さまざまなソリューションを持っていますので、そのような背景もあり引き合いをいただいた結果、人に依存しない売上に結びつき、それが利益にも表れてきたかなと思います。

もう1つとして、販管費を抑える取り組みを行っています。例えば経費削減や、エンジニアたちの稼働時間の把握などをしっかり行って無駄な残業を発生させないことにより、利益につなげられていると考えています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):経常利益率はもともと2桁成長でしたが、さらに伸びているのはすごいことですね。

1.3)サービスライン別売上高推移

新井:サービスライン別の売上高です。業務系システム開発が約7割で、このうち約半分が金融系の案件です。

また、今回もソリューションが前年同期比162.6パーセントと大きく伸長しました。2017年から開始したソリューションビジネスも、年々ラインナップを増やして拡大を続けています。

1.4)経常利益増減要因分析

新井:経常利益の増減要因分析です。経常利益は前年同期比148.4パーセントと大幅に拡大しました。販管費はあまり変わっていませんが、売上高の増加が大きく貢献しています。

坂本:売上高がかなり伸び、その分外注費が増加しています。IT業界は人材不足が長らく深刻ですが、足元で外注費が増加しているのでしょうか? また、人材不足で単価が上がっているなど、増加の要因なども教えてください。

松岡:外注費は増加傾向にあります。ご協力いただけるパートナーの人数も増えていますし、この市況もあり、単価の面でもかなり上がってきています。

人数の割合は、当社では社員のエンジニアの数とパートナーの数は最高でも1対1までと決めています。プロジェクトをマネジメントする上で空洞化が起きないように、当社でパートナーおよびプロジェクトの管理ができるようにすることを掲げていますので、人数だけを増やしていくことはないと思います。

また、当社はコアパートナー制度を持っています。パートナー各社との関係を強化しながら、当社のプロジェクトに参画いただくことでパートナーにとってもさまざまなメリットが出るような取り組みも進めていますので、そちらは引き続き行っていきたいと思っています。

坂本:そのほかに、新卒が65名ということで、教育費の増加に関しては当四半期でほぼなくなる見込みですか? それとももう少し続きそうでしょうか?

松岡:業績ハイライトのところでもご説明したとおり、第2四半期に比べて第3四半期の利益がやや減っているように見えますが、この要因の1つとして、まさに新入社員の入社などに伴って掛かるコストがあります。

当社は新入社員をキャリア採用から新卒採用に切り替えている経緯があり、今年4月は新卒が65名入ってきましたので、そちらに掛かるコストです。さらに4月、5月は社内外で研修を受講させましたので、そちらも利益に影響しています。

彼らは6月以降、それぞれのプロジェクトに配属されています。特に当第4四半期に関しては、きちんと稼働して売上を上げていけるようなスキームがおおむね立てられていますので、新卒の入社に伴う利益のバックは季節的なものと考えています。

1.5)第3四半期中の主な取組み

新井:第3四半期の主な取り組みをまとめています。社員の満足度、スキル、業績の向上に向けた施策として、昇給や社員教育、受注強化などに取り組んでいます。

また、新しい社内制度として、ダブルジョブ制度、社内FA制度、職場復帰支援制度などを設けています。こちらは本人に合ったジョブを見極めたり、メンタルヘルスの不調で休職した社員が復帰しやすいように支援したりする制度で、社員が長く力を発揮できる環境を整備する目的で新設しています。

坂本:受注強化策についてもう少しお聞きしたいのですが、具体的にどのような営業活動を行ったのかという例があれば教えてください。

松岡:当社は、営業主導による受注活動を推進しており、営業部隊がお客さまとコミュニケーションを取って、あらゆる案件の検討などを進める取り組みを行っています。

例として、当社と業務提携している会社が何社かあるのですが、そのお客さまと一緒にある案件を提案しに行く、「ここまでの売上規模で協業体制を作ろう」と受注に対する売上の目標値、つまりKPIを設定するなど、目標を持って活動しています。このようなことが、結果として受注強化につながってきているというのが考えられます。

そのほかの施策としては、オンライン営業です。コロナ禍もあり、対面でのご提案が難しい中で、当社ではオンライン営業に注力してきました。実例として当社ホームページを見ていただくとわかりますが、新しい情報を頻繁に展開しています。

IR・PRだけではなく、具体的な案件の事例やソリューションの説明をよりわかりやすく、シンプルにと日々更新している中で、お問い合わせいただく件数もかなり増えてきています。

更新した情報をお客さまにメルマガで配信し、Webセミナーなどを開催していますので、そのような活動が第4四半期や来期に向けて、引き合いの増加につながっていると考えています。

坂本:社員の士気向上のところについて、昇給率が平均で3パーセントというのもすごいことですが、最高で27パーセントアップの方がいらっしゃいます。この方は特殊技術を持っている方なのでしょうか?

松岡:昇給率が27パーセント上がった社員というのは、基本的にはリーダーからマネージャーになるタイミングで昇給しています。

坂本:管理職になるタイミングで、管理職手当がつくようなイメージですね。

松岡:そのとおりです。また、社員の多くはSIerですので、要素として基本的なIT技術や、当社が推しているAIに関する技術など、特化した技術を1つ持っていることが挙げられます。

加えて、プロジェクトのマネジメントや、そこでのお客さまとの折衝、提案能力などが身に付いていると判断した社員に対し、昇給率を上げて責任とともにやりがいを持たせるといった対応を取っています。アップ率は平均で3パーセントですが、個々のばらつきはあると思います。

2.1)2023年9月期 業績予想

新井:2023年9月期の業績予想についてです。 2023年9月期の業績予想は、売上高90億5,900万円、経常利益10億1,900万円を目指しています。

2.2)配当と株主還元

新井:配当と株主還元です。前期に比べて1株当たり1.5円の増配をしようと考えています。

また、6月から75万株、5億円を上限に自社株買いを行っており、こちらを考慮した総還元性向は最大106パーセントとなる見込みです。また、配当性向については約33パーセントで、今後も30パーセント以上の水準で還元していきたいと考えています。

松岡:こちらに関しては、これまでご説明した内容とあまり変わっていないと思います。

3.1)① 経営理念・中期方針

松岡:中期経営計画の概要と方針、成長戦略、計画について、私から抜粋してご説明します。

まず、経営理念・中期方針についてです。当社創業以来30年以上続けてきた「広く経済社会に貢献し続ける」ところは、引き続き変えずに行っていこうと思っています。

経営スローガンとして、スライドに記載のとおり、「Try & Innovation」を掲げています。経済社会に貢献し続けるために、挑戦と革新を忘れずにという心を持って経営することも、これまでと変わらずに行っていきます。

中期基本方針としては、「真のシステムインテグレーターへ移行」としています。実は、社内的には方針としてずっと持っていたものを、今回あらためて掲げているかたちになります。当社の企業価値を向上させて経済社会に貢献できるような気持ちを忘れずに今後も進んでいくという意味で、この方針を掲げています。

3.1)② 企業価値向上

松岡:企業価値向上というところで、さまざまな施策で「Needswell Value」を向上させることを掲げています。施策として代表的なものをスライドに4つ記載しています。

一番重要なのは、スライド左上の「業績」です。当社は毎年成長率平均20パーセントを目標に掲げており、今後も変えずに行こうと考えています。

左下の「IR・PR」では、ホームページの充実や当社からの情報発信を行っています。プレスリリースなど、週平均で2回ほど行っていますが、そこは変えずにいこうと思っています。

また、「資本・株式政策」に関しては、当社は直近で自社株買いなども行っていますが、M&Aや譲渡制限付株式報酬制度などを有効活用し、社員の経営意識も付けつつ、さまざまな政策を取っていきます。

「サステナビリティ」としては、すでに当社でも、ESG・SDGsへの取り組みを数年行っています。地域に貢献する意味でフレイル予防ソリューションや、長崎県にニアショア開発拠点を持つなど、地域活性化に貢献できる取り組みも継続して行っています。

全体として「Needswell Value」と言っていますが、企業価値を向上できる取り組みを進めていくことを考えています。

3.2)① 市場状況と取組み

松岡:具体的に成長戦略についてご説明します。まず、市場状況と取り組みについてですが、IT投資は需要拡大が継続しており、市場的にはかなり増加傾向にあると当社でも考えています。

例えばIT投資の動向調査などの情報をいろいろと見ていくと、2022年度から2023年度にかけて、IT投資が増えたと考えている企業の割合がかなり多くなってきています。特に、これまで大企業がDX化やペーパーレス化を推進してきましたが、電子帳簿保存法の対応やインボイス制度などの影響もあり、中小企業のほうにもDX化などの文化がけっこう浸透してきており、IT投資は今後も増えていくと考えています。

背景としては、お話ししたような制度変更やコロナ禍での働き方改革、またワークスタイルの変化があると思いますが、新たなソリューションなどを当社でも考え、いろいろと展開していきたいと考えています。

そのような中で、事業としてはさらに5つのビジネス分野での拡大を考えていきたいと思っています。マイグレーション開発、ITアウトソーシング、物流、AI、ソリューションの大きく5つを掲げています。

マイグレーション開発は、今まで汎用機や古い基幹システムを持っていたお客さまのオープン化です。そのような需要は今後も継続していくと思いますので、そのあたりの案件を確実に取っていきたいと考えています。

ITアウトソーシングについては、現在いろいろなお客さまがシステムを作り、運用・保守していますが、「システムを知っている人がいなくなってしまった」など、人材不足や課題を抱えているお客さまがいらっしゃいます。そのシステムの状況を確認し、当社で運用などを一気に任せていただき、お客さま本人には新しい事業に注力することをご提案するといった取り組みを進めています。

物流に関しては、ここ数年、オンラインショッピングが流行ってきている流れがあり、物流事業は今後さらに変革していくと考えています。当社は物流に関するソリューションを持っていますので、その展開を考えています。

AIについても同様で、当社はデータ分析のソリューション「Es Prophetter」をはじめ、AIに関するソリューションをいくつか持っており、さらなる展開も考えています。ソリューション全体としては、クラウド型の経費精算システムやRPA(Robotic Process Automation)、ITリエンジニアリングというお客さまの業務改善をご提案するソリューションも持っているため、そちらに注力していきたいと思っています。

投資としては、人材採用・育成、研究開発投資、また、M&A・資本業務提携のそれぞれに投資を考えています。事業拡大に向けて、必要な部分に必要な投資をしていこうと考えています。

当社では人材はかなり重要だと考えており、優秀な人材の採用と教育を行っていきます。毎年、新入社員が多く入ってきますので、今後も引き続ききちんとした立ち上げを行います。

また、長崎開発センターを活用し、2024年度には現在の人数から100名体制まで持って行きたいと思っていますので、十分に実現させていきます。さらに、能力主義・男女平等などを推進して、女性管理職比率も増やしていこうと考えています。

配当としては、配当性向を30パーセント以上維持し、株主の方に対しても十分に当社を評価いただける施策を打っていこうと考えています。

3.2)② 売上拡大

松岡:売上拡大としては、物流ビジネスで先ほどお話ししたような施策に取り組み、売上拡大を狙っていきます。

物流ビジネスは、当社が持っている「SmartWMS」とAIをそれぞれコラボさせるかたちで物流ソリューションを創出し、新しいものを作っていこうと考えています。物流機器メーカーともいろいろと協業していますので、そちらでの需要拡大を狙っていきたいと思っています。

坂本:ソリューションビジネスで「サブスクの提供による継続サポートを行う」ということですが、自社ソリューションの売上高とサブスクの売上高はイコールとなるのでしょうか?

松岡:イコールではない状態です。サブスク提供はソリューションの一部になるため、例えばソリューション自体の導入時の初期費用などは掛かります。その運用や、サブスクではない別の部分での売上はあるため、現状イコールではありませんが、なるべくイコールに持っていけるようにしていく必要はあると考えています。

坂本:大部分はサブスクだということですね。

松岡:そうです。

坂本:ソリューションビジネスを行っている企業は、M&Aで構成比を引き上げていくこともできると思いますが、そのような想定はありますか?

松岡:ソリューションを持っている会社はたくさんあります。技術に特化した企業もあれば、今のトレンドをきちんと押さえてコアのお客さまを抱えている企業もありますので、そのようなソリューションは比較的あると思います。

したがって、企業の中でも当社が今行っているソリューションとシナジーが合い、両者をかけ合わせることでさらに売上が上がるといったことが想定できれば、そのようなことも考えていけると思っています。

3.2)③ 投資

松岡:投資に関しては、主に採用・育成、研究開発・製品開発、M&A、資本業務提携での投資を考えています。

採用に関しては提案体制を強化するために、上流工程からのプロジェクトに参画できるような優秀な技術者や、技術のトレンドを押さえた提案が十分にできるような人材の採用や育成などを考えています。

研究開発としては、AIに関する先端技術を押さえるため、積極的に投資していきたいと思っています。また、トレンドを押さえるためのマーケティング調査や情報収集にかかる費用などには投資を考えています。

特許・商標などの知的財産についても、戦略的に動いていきたいと考えています。

M&Aはこれまでもずっと行っていましたが、やはりシナジー効果がある企業とのM&Aを積極的に活動していこうと思っています。シナジー効果を生むための物流システムや、グループ会社にもあるようなWeb系に特化した会社に関連したソリューションなどへの投資は、引き続き考えていきたいと思っています。

3.2)④ 人員計画

松岡:人員計画としては、パートナー企業との連携を強化していきたいと思っています。一方で、社員とパートナーの割合は1対1までというかたちで考えています。

パートナーの中でもコアパートナー比率を高めていこうと思っており、当社のことをいろいろとご理解いただき、パートナー側にもメリットが出るような協業の仕方で、両者がそれぞれシナジーを出せるような体制を構築していきます。

単純に受けた案件をただ発注する関係ではなく、お互いが協業し合えるような体制を作るため、コアパートナー比率を上げていくことを考えています。具体的には、コアパートナー率を約7割まで上げていきたいと考えています。

3.2)⑤ 社員育成

松岡:社員の育成に関してはスライドのとおり、教育体系にかなり注力しています。左下に記載しているように、特に新入社員と担当職の教育を充実させています。

これまではコロナ禍で実施できませんでしたが、4月から直近までで実施している研修は、対面でコミュニケーションを重視したかたちに戻しました。社員からも「行って良かった」と話を聞くようになってきており、このような教育体系は引き続き継続していこうと思っています。さらに必要な教育については、投資も含めて追加していきたいと考えています。

3.2)⑥ 社会価値の向上~事業と直結する取組み

松岡:社会価値の向上として、ESG・SDGsの取り組みを引き続き行っていきます。まずは地域貢献や地方人材の有効活用として、長崎開発センターの100名体制を目指していきます。

今期から行っていますが、案件としては今かなり増えてきており、東京のエンジニアとコラボレーションして大きなプロジェクトを受注する体制がある程度できているため、継続していきたいと思っています。

また、DXをアシストする新たなソリューションとして、ITリエンジニアリングサービスを当社では展開しています。さまざまなRPAやローコード開発ツールを使い、効率的な業務推進ができるご提案をお客さまに行っていく取り組みを継続していきます。その技術の中でAIを使い、人がいなくてもある程度のことはできるようなご提案を引き続き行っていくことで、新しいものを作っていきます。

フレイル予防ソリューションについては、今後も引き続き開発していきます。長崎県とのコラボでいろいろと考えている部分がありますので、継続して行い、産学協同で生成AIなどを活用した新たなソリューションにも着手していこうと考えています。

さらに、パートナーシップを推進し、グループ企業やパートナーとのパートナーシップを強化しながら、末永く発展できるような体制を作っていきたいと思っています。

3.2)⑦ 社会価値の向上~制度や支援活動から支える取組み

松岡:先ほど新井からもご説明しましたが、働き方改革としてダブルジョブ制度、社内FA制度、職場復帰支援制度を導入し、運用を開始しています。

これらは社員のモチベーションや、働く場をきちんと提供することを目的に作った制度です。特に、ダブルジョブ制度は「もしかしたら自分は今の業務が向いていないのではないか」といった悩みを抱えている社員に、別の道を示してあげられる制度として、今後も発展させていきたいと思っています。

社内FA制度は、当社の事業がかなり大きくなってきており、プロジェクトによって性質が異なります。全員が同じような開発を行っているわけではなく、いろいろなプロジェクトが動いている中で、自分が行ってみたいプロジェクトへ積極的に挑戦することで、モチベーションうぃ高く開発ができるような環境を作っていきたいと考えています。

職場復帰支援制度については、体調面も含めて、一度現場を離れた社員が正しいかたちでまた現場に復帰できる支援制度として立ち上げていこうと考えています。これらの制度により、社員のワークライフバランスなどを十分に建て付けられる取り組みを行っていきます。

当社は女性社員管理職の比率も引き続き向上しており、かなり女性比率が高くなってきているため、そこでの管理職も今後出てくると思います。

また、現在も行っていますが、学生向けAI教育として大学生向けのインターンシップを短期と長期でそれぞれ行っており、業務で行っているようなデータ分析やチャットごとのプログラミングを作業してもらっています。学生のうちにこのようなことに取り組んでもらうことで、その後の就職活動でも当社に興味を持ってもらえるように考えています。

長崎県ふるさと納税、V・ファーレン長崎のそれぞれのスポンサー活動も行っており、地域に貢献できる取り組みを継続しています。

3.3)① 業績計画

松岡:業績計画としては、2025年9月期には売上高130億円を目指し、CAGR20パーセント以上の成長を引き続き行っていきます。

現在進行している2023年度は、売上高90億円を目指して活動を継続しています。来期、再来期に向けてもCAGR20パーセント超の成長を確実に達成し、2025年には売上高130億円を目指して動いています。

3.3)② EPS、ROE推移

松岡:EPS、ROEの推移についても、目標を設定してからの計算にはなりますが、2025年にはスライドに記載されているかたちで数字を上げていきたいと思っています。

3.3)③ 流通株式時価総額推移

松岡:流通株式時価総額の推移についてです。東証プライム上場維持の基準達成によって、信用度向上および優秀な人材の確保を目指しています。

現在、当社は流通時価総額の部分で、まだプライム市場の上場条件を満たしていませんが、確実な達成と、さらなる上昇を目指すということで、ご覧の計画値を掲げています。株価も無事に上がってきており、実現性はかなり高くなってきていると考えています。

増井:最近は機関投資家への対応は増えていますか?

松岡:そうですね。機関投資家との面談は増えてきています。先週も1件ありました。

増井:どのような質問が多いのか教えていただけると参考になります。

松岡:売上をかなり上げてきているため、具体的な施策についての質問が多くなっています。また、かなり利益が出る体質を作り上げてきたことで、その経緯や具体的な事例についての質問をいただくことも多いです。

加えて、IT業界は人材が非常に重要であるため、人材育成状況についてのご質問もあります。特に新卒の受け入れを強化していますので、そこでの立ち上げ状況やコストをどう考えているかなどの質問をいただくことが多く、当社が検討しながら進めている内容について随時ご説明しています。

3.3)④ 成長イメージ

松岡:お伝えしたとおり、成長イメージとしては、2025年に売上高130億円、社員数700名以上を目指しています。簡単なことではありませんが、確実に実行していきたいと思っています。

2020年のコロナショックの時期から比べると、事業がかなり大きくなってきていることがわかると思います。働いている社員も成長を実感しながら、さまざまに事業成長していければと考えています。

3.3)⑤ 資本政策

松岡:資本政策としては記載のとおり、2023年8月以降に従業員向け株式報酬制度を検討しています。従業員の経営参画意識を高めながら、全員経営の取り組みを継続していきたいと思っています。

自社株買いは2度実施しましたが、タイミングに関しては社内でさまざまな検討をしながら決めています。従業員向けの株式報酬制度なども検討しているため、このような取り組みが、結果的に社員の経営感覚向上に貢献することを期待しています。さらに、業務の生産性アップや会社の利益体質強化につながるよう、社内で慎重に検討しながら、継続して活動を行っていきたいと思っています。

増井:以前は「プライム基準の都合で、自社株買いはまだしない」といったことをおっしゃっていたと思いますが、方針を変えたということでしょうか?

松岡:はい、そうです。資本政策は、社員にとっても自分の会社に直接関わる重要事項であるため、社員に対しても開示しながら活動できればと考えています。

ご説明は以上になります。

質疑応答:物流倉庫システムの開発依頼について

坂本:「物流会社は、自前で物流倉庫システムを整備するのではなく、御社等に外注することが多いのでしょうか?」これは、システムの開発依頼を含めてのご質問だと思いますが、教えてください。

松岡:特に物流システムは、発展途上ということもあると思います。

坂本:そうですね。「新しい物流システム」とまではいかないまでも、かたちがずっと変化しています。シンプルといえど、システムを固めてしまうのは怖いという感じでしょうか。マテハンの上流部分だけを作って、「あとはちょっと流動的だな」といったところかと思います。消費者に届くまでのすべてを、多岐にわたって整備するのであれば、回収し続けたり本格的に他社から参画してもらったりする必要もあるため、無理があると思います。システムの一部を作っていくのが、このビジネスなのだろうと私は思っています。

松岡:そうですね。おっしゃるとおり、物流システムには多種多様なシステムがあり、物を管理するフェーズがかなり多くあります。

単純に倉庫の中の在庫管理だけをしていれば良い訳ではなく、入出庫管理、出庫するためのドライバーのシフト、倉庫内で働く人のシフトなど、さまざまな要素を考えてシステムを構築する必要があるため、各企業で多様なソリューションを持つようになっていますし、規模によってはExcelなどの表計算ソフトを使っている企業も、まだまだある状況です。

専門のコンサルタントや企業が入ってシステムを作っているケースもありますし、そうした現状を変えていきたいという需要もかなり多くあります。そのようなニーズに対して、当社が持っている「SmartWMS」をトリガーに、直近では「2024年問題」のような、周辺問題も絡めたご提案ができるように、特に来期に向けて当社でも注力していきたいと考えています。

質疑応答:5年、10年後の具体的なイメージについて

坂本:「中期経営計画の話がありましたが、順調に業績を伸ばしてきていると思います。5年、10年後の姿についてのイメージを持つために、具体的にもう少し教えていただければと思います」というご質問です。

松岡:当社は課題解決型ビジネスの遂行を掲げています。お客さまとともに、お客さまが抱えている課題を解決していく取り組みを、営業部門、技術部門、それぞれが実施しています。そこは今後も変わらないと考えています。

スライド17ページの「ITアウトソーシングビジネス」も、その1つになります。お客さまの今抱えている課題に対して、単純にシステムを作るだけではなく、もう少し視野を広げてさまざまなご提案をしていく必要があると思っています。そのような提案ができるエンジニアの育成や、企業文化を作っていきたいと思っています。

お客さまが、今持っているシステムを維持していく際に、コストを抑えて効率的に管理するというのが、全般的な話です。お客さまには、当社のエンジニアや技術を使うことで「効率的に運用できる」というイメージを持っていただける企業を目指していきたいと思っています。

「ChatGPT」などが出てきている中で、プログラミング自体を人が作らなくなる時代が来るという可能性も、ある程度考えておく必要があると思います。そうなると、当社はSIerとしてプログラムをどう動かすか、どのように運用するかといったアイデアや手段を多く持つことが重要になると考えています。そのような人材の育成に注力するなど、この分野への積極的な投資を考えていこうと思っています。

質疑応答:社長による会社説明の機会について

坂本:「社長から会社説明していただく機会は、株主総会以外にないのでしょうか?」というご質問です。

同業者や投資家の中には「社長の意見を聞くのが基本だ」という方もいますが、私はその事業の管掌がきちんとあって、松岡さんのような方が共通認識を持っていることが、ガバナンスで一番重要だと思っています。

機関投資家には社長からの説明にこだわる方が多いと思いますが、松岡さんにうかがったほうが詳しいことを聞ける内容もあるのではないかと思います。

松岡:現時点では、やはり株主総会での説明が社長説明の機会の1つだと思っています。今回のような場で私が説明することで、社長の意図なども代弁と言いますか、お話ししているつもりですが、必要であれば今後検討していきます。現時点ではそのような状況です。

坂本:わかりました。ちなみに松岡さんから見て、社長はどんな方なのでしょうか?

松岡:社員の成長に関してや、まだまだ認知度の低い当社がプライムという大きな市場でどのように活躍できるかなど、会社のことを非常にしっかり考えています。また、それらを実現するための政策や、今日説明した内容など、さまざまなことを日々考えており、多様なアイデアを出す社長です。

質疑応答:市場の選択について

坂本:「スタンダード市場の話がありました。選択期限が9月末と間近ですが、その選択はせずに、あくまでもプライム上場の維持を目指すという考えでよろしいでしょうか?」というご質問です。

松岡:プライムの上場基準達成には自信をもって取り組んでいます。中期経営計画の中でも説明しましたが、やはりプライム市場で活躍できることを目標に動いているため、ご認識のとおり、あくまでプライム市場での企業活動を考えています。

質疑応答:金融システムの開発内容について

坂本:「金融システムの伸びが大きいようですが、具体的にはどのようなシステムを開発して、どのような金融機関・部門へ展開されることが多いでしょうか?」というご質問です。

松岡:金融向けのシステムの中には、生命保険、損保、銀行などに向けたシステムがそれぞれいくつかありますが、特に直近で多いのは、生命保険関連のシステム開発です。

これまで当社は、既存システムの保守体制や保守開発をメインにしてきました。しかし、現在は新しくDX化や基幹システムの刷新を考えているお客さまが増えており、今まで取引のなかった分野へも積極的に挑戦しています。そのような受注が増え、売上にもつながってきているため、割合としては生命保険向けのシステム開発が大きいと思います。銀行についても順調に増えてきていますので、全体的に上がってきているといった印象です。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:財務健全性はある程度担保されているように感じますが、一方で投資家としては割安性を感じません。何か投資家が投資したくなるような資料以外でアピールできる部分がありましたら、ぜひ教えてください。

回答:当社はSIerとして30年以上の歴史のある会社です。企業価値向上の目標に向けて着実に実行してきた遂行力と、高い目標にもあきらめずに取り組む企業文化がございます。今後もこの強みを存分に発揮して経営理念である「広く経済社会に貢献し続けます」の実現を目指していきたいと考えております。

<質問2>

質問:古川電気工業からNナビの受注報道がありましたが、この受注はどのくらい利益に貢献するのでしょうか。

回答:案件規模と収益についてはご回答を控えさせていただきます。せっかくご質問いただきましたのに申し訳ございません。

<質問3>

質問:Vファーレンを応援しているとのことですが、ジャパネットとの協業や受注などもあるのでしょうか。

回答:現状ではそのような状況はございませんが、ご提案できる機会がありましたらぜひ取り組ませていただきたいと考えております。

<質問4>

質問:やはり古河電工さんのような大きい案件は、紹介されることが多いのでしょうか。

回答:ご紹介いただくこともありますが、展示会、ホームページ、メルマガ、プレスリリース等を通じて大手企業さまから直接引き合いをいただき、受注につながることも増加しております。

<質問5>

質問:御社は事業の転換がうまくいっているんですね!

回答:これまでの現場常駐型のプロジェクト推進から、一括請負をはじめとする当社持ち帰りでの業務推進するかたちへとスライドしており、以前にも増してプロジェクト管理が重要となってきました。併せて、業務効率化を目的としたDX化提案、各種ソリューション提案など、事業の幅も広げてきております。お客さまの期待に応えられるよう、プロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダーを中心に進捗を共有・確認しながら効率的に案件を進められるよう取り組んでいます。

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