●老後に向けて知っておきたいこと【その2】老後の医療費
老後は、年を重ねるごとに医療費の負担も増えていきます。1回あたりの医療費は大きな金額ではないかもしれませんが、年間で見るとやはり大きな負担となります。
2023年1月に厚生労働省が公表した「医療保険に関する基礎資料」の「年齢階級別1人当たり医療費」をもとに自己負担額の平均を見てみましょう。
- 50~54歳:22万8000円
《2割負担》4万5600円
《3割負担》6万8400円 - 55~59歳:28万7000円
《2割負担》5万7400円
《3割負担》8万6100円 - 60~64歳:36万4000円
《2割負担》7万2800円
《3割負担》10万9200円 - 65~69歳:45万6000円
《2割負担》9万1200円
《3割負担》13万6800円 - 70~74歳:58万4000円
《2割負担》11万6800円
《3割負担》17万5200円 - 75~79歳:75万5000円
《1割負担》7万5500円
《2割負担》15万1000円
《3割負担》22万6500円 - 80~84歳:89万5000円
《1割負担》8万9500円
《2割負担》17万9000円
《3割負担》26万8500円 - 85~89歳:102万4000円
《1割負担》10万2400円
《2割負担》20万4800円
《3割負担》30万7200円
医療費の負担割合は、年齢や所得により異なります。
年齢とともに医療費が増えることがデータからも見てとれますね。
医療費の負担額が高額になった場合に、一定の金額が払い戻される「高額療養費」という制度もありますが、自身で支払った後に申請して払い戻しとなります。
医療費以外に、通院のための交通費が必要な方もいるでしょう。こうした諸費用についても考慮しておきましょう。
●老後に向けて知っておきたいこと 【その3】老後の介護費用
介護費用は、老後生活において最大の支出となるかもしれません。公益財団法人 生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護費用の平均月額は、在宅の場合4万8000円、施設の場合12万2000円となります。
また「公的介護保険の利用経験あり」は平均8万3000円、「公的介護保険の利用経験なし」は6万9000円となっています。
施設入所となれば、入所時にまとまった資金が必要な場合もあります。介護状態や入所する施設の種類により5万円~30万円以上とさまざまですので、介護費用として多めに見積もって備えをしておきたいものです。
安心して老後を迎えるために「備え」を
老後に向けて必要な金額は人それぞれ。しかし、人生100年時代ともいわれる長い老後生活において、「年金額・医療費・介護費用」は誰しもが考慮しておくべきことです。
10年、20年先のことなど予想がつかないほど、目まぐるしい変化の日々。どんな変化にも対応できるよう準備しておきたいものですね。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表」
- 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「医療保険に関する基礎資料」
- 公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
和田 直子