4. 今からできる「ひとりの老後」対策2つ
貯蓄額、年金、生活費のデータをみて、70歳代のひとり世帯の暮らしがイメージできたでしょうか。
年金と貯蓄が充分でないと感じた人は、今からできる老後対策を実践してみましょう。
4.1 年金額を増やす
自営業者であれば、「付加年金」や「国民年金基金」(併用は不可)、iDeCo(個人型確定拠出年金)で年金の上乗せができます。
会社員の場合は、「企業型確定拠出型年金」などの企業年金で上乗せができます。中でもiDeCoは誰でも加入ができ、税制上のメリットが大きいため、早いうちから加入しておくといいでしょう。
また、年金の繰り下げ受給をすることで、年金額を増やすこともできます。
特に定年のない自営業者の場合は、長く働くことで年金の繰り下げが可能であり、将来働けなくなった時に年金を受給すれば、繰り下げによって増額された年金を生涯受給することができます。
この場合、今からできることは健康に留意して、長く働けるように体力をつけておくといいですね。
4.2 貯蓄を増やす
貯蓄を預貯金として眠らせているだけでは、お金は増えていきません。預貯金も大事ですが、効率よく増やすために、制度を利用してお金の運用もしていきましょう。
2024年1月から新NISA制度が始まります。新NISAを利用して、たとえば、年間90万円を積み立てていけば、20年で非課税保有限度額の1800万円に達します。
年率3%で運用できれば最終積立金額は2462万2650円になります(金融庁「資産運用シミュレーション」で試算)。
また、新NISAの成長投資枠を使って高配当株を購入しておけば、老後を迎えたときに、配当金などの定期収入を非課税で得られます。
さらに、資金が足りなくなって取り崩す場合も、運用を続けていれば、資産の寿命を延ばすことができます。
運用なのでリスクは有る一方で、このように新NISA制度には多くのメリットがあるので、効率よく貯蓄を増やせる可能性があります。老後対策に取り入れてみるといいでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)7月分」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)各種分類別データ」
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査/家計収支編 単身世帯(2022年)第6表」
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
石倉 博子