4. おひとりさまが検討しておきたい資産形成3つ
おひとりさま世帯の貯蓄事情をみるに、年代別に貯蓄額は右肩上がりである一方、個人差があることがわかりました。
ウチは平均以上?平均以下?などが気になる方もいるかと思いますが、参考にするのであれば中央値が目安になるでしょう。
しかし、それぞれが人生において必要となる貯蓄額は個々で異なるものです。また、自分にあった資産形成も違うことでしょう。
そこで本章では、おひとりさまが検討しておきたい資産形成について、3つご紹介します。
4.1 ねんきんネットで将来の年金月額を把握
老後が始まると、年金収入と貯蓄の切り崩しで生活する方がほとんどです。貯蓄が減るスピードは、「年金収入がいくらか」に左右されるでしょう。
そのため、ねんきんネットを活用して自身の老後の年金収入を確認しましょう。
リアルな年金収入を知ることで老後資金が立てやすくなり、過度な不安から解放される方もいます。必要な額が具体的にわかる方が、老後資金の形成に対するモチベーションも持続しやすいですね。
ただ、年金額は社会の情勢によって毎年変わります。定期的に確認する習慣をつけておきましょう。
4.2 年金をできるかぎり増やす
「年金を増やすことができるの?」と思う方もいるかと思いますが、方法はあります。
- 国民年金のみの自営業者やパート主婦などは、厚生年金の加入を検討する
- 厚生年金加入者は年収を上げる
- できるだけ長く働く
- 繰下げ受給をする
などがあります。それぞれのデメリットも把握した上で、年金月額を増やす方法を考えましょう。
また、個人年金保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの私的年金を用意することも大切です。
4.3 新NISAなどを活用して貯蓄を増やす
貯蓄は預貯金で進めることが多いですが、資産運用という方法もあります。
運用には元本割れというリスクがありますが、預貯金にもインフレというリスクが存在します。バランスよく振り分けることで、それぞれのデメリットを補いながら効率よく増やすことが可能になるでしょう。
2024年からは新NISAもはじまります。「つみたて投資枠」のように毎月一定額を投資信託やETFで積み立てる積立投資は、初心者でもはじめやすい運用です。
「投資はギャンブルみたいで怖い。安全に預貯金で貯めたい」という意見も最もですが、長期間積み立てを続けることで利息に利息がつく複利の効果を得ることもできます。
昨今の物価高や低金利を考えると、運用などで効率よく貯蓄を増やす視点も必要となるでしょう。
5. 自分に合った資産形成を
ここまでおひとりさまの貯蓄事情や、資産形成のコツについて紹介しました。
物価高も続いており、年金だけで老後の生活を送ることはますます難しくなっているため、貯蓄の重要性も増しています。
大きな備えをつくるには時間がかかります。早い内からコツコツと計画的に行動することが成功のポイントです。
また、今回は平均値を用いて考察しましたが、生活スタイルや必要な資金は個々によって異なります。まずは自分が描く老後生活に向けたライフプランを策定し、必要な準備が何なのかを考えていきましょう。
老後資金は借りることが非常に難しいお金です。特に、ひとりで生きる場合にはしっかりと準備をして、安心して老後を迎えたいですね。
参考資料
- 総務省統計局「2019年全国家計構造調査 所得に関する結果及び家計資産・負債に関する結果 結果の概要」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」
- 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)7月分(2023年8月18日公表)」
徳原 龍裕