2023年8月18日に発表された、株式会社ビジネス・ブレークスルー2024年3月期第1四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ビジネス・ブレークスルー 代表取締役社長 柴田巌 氏
株式会社ビジネス・ブレークスルー 常務執行役員 宇野令一郎 氏

会社概要

柴田巌:みなさま、こんにちは。株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長の柴田巌です。2024年3月期の第1四半期の決算が締まりましたので、ご説明の機会をいただきます。どうぞよろしくお願いします。

私どもの会社概要は、スライドに表示されているとおりです。当社は1998年4月に設立されて以来、「世界で活躍するリーダーの育成」をミッションとしています。日本からどんどん世界へ羽ばたき、世界規模で社会に対して価値をもたらす人材、あるいは起業や事業経営をする中でリーダーシップを発揮する人材の育成、グローバルリーダーの輩出をミッションとしています。

ビジョンは「ライフタイム・エンパワーメント(Life-Time Enpowerment:生涯活力の源泉)」を掲げ、一生涯学び続け、自分の活力を得られる学び舎のような場になっていきたいという思いで事業を営んでいます。

2023年10月1日社名とロゴを変更し、第二創業期へ

また、下半期初めとなる10月1日に社名とロゴの変更を予定しています。先日の株主総会などでもご案内したとおりですが、当社は1998年に創業してちょうど25年と、四半世紀を迎えます。

また、創業者で代表取締役会長の大前研一も、6月28日の定時株主総会で取締役会のメンバーからは勇退しました。彼は、引き続きビジネス・ブレークスルー大学の学長として、今までどおりBBTの学びに貢献していきます。

そのような諸々の要素が今回発生しますので、「第二の創業期」と位置づけ、株式会社Aoba-BBTという社名へ変更します。

スライドにはロゴとキャッチフレーズも表示しています。「知のネットワークは、人間の能力を∞に伸ばす」というタグラインで、地球に無限(∞)のマークが回っているようなイメージに合わせ、社名のAoba-BBTを冠したロゴへの変更を予定しています。

目次

本日の第1四半期決算説明の構成はご覧のとおりです。まずは決算の数値についてお伝えし、セグメント別の実績、トピックスなどをカバーした後、各事業部門別の事業戦略、中長期的な成長のポテンシャルといった最新の情報をみなさまにお届けしたいと考えています。

1. 2024年3月期 第1四半期業績ハイライト

2023年4月から6月の業績ハイライトはご覧のとおりです。2024年3月期第1四半期の実績は、表の右から3番目に記載しています。売上高が17億6,500万円で、前年比プラス7,400万円、4.4パーセントの増収となりました。

売上総利益が7億1,700万円で、前年比プラス1,900万円の増益です。また、営業利益は4,000万円となっています。経常利益は3,800万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は200万円ということで、売上高から親会社株主に帰属する四半期純利益まで、いずれも増収増益で第1四半期を終えました。

「リカレント教育」「プラットフォームサービス」2大セグメントにおける5つの事業領域

私どもの事業ドメインを図に示しました。「リカレント教育」というドメインと、「プラットフォームサービス」というドメインに大きく分かれており、決算の開示でも2大セグメントとしてご案内を続けてきました。

また、2大セグメントにおける5つの主たる事業領域ということで、「プラットフォームサービス」の中にはインターナショナルスクール事業、「リカレント教育」という枠の中にはUniversity事業、法人人材育成事業、ITマネジメント事業、英語教育事業という構成で事業を営んでいます。

こちらの図からもおわかりのとおり、私どもは1歳の幼児から幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院、そして社会人になってからも、若手社会人、管理職、経営の候補者、さらに経営者と、文字どおりすべての年齢をカバーしており、かつビジネスや経営に役立つような教育をご提供しています。

「プラットフォームサービス」のドメインでは、いわゆる社会人になる手前の高等学校までのセグメントをカバーしています。「リカレント教育」では大学、大学院、社会人の学びをカバーするといった棲み分けになっています。

2. セグメント別実績(売上高/営業利益)

セグメント別実績(売上高/営業利益)は、スライドのグラフのとおりです。左の棒グラフがセグメント別の売上高を示しています。

リカレント教育においては、7億7,200万円で着地しました。前年は7億5,800万円です。また、プラットフォームサービスにおいては、9億8,600万円の売上高で着地しています。前年は8億8,700万円でしたので、両セグメントともに増収を果たしています。

営業利益は先行投資のタイミング、そして投資後のリターンの発生するタイミングなどの違いにより、少しトーンが異なっています。

リカレント教育においては、当第1四半期は7,300万円の営業損失で着地しています。今後の成長に向けた先行投資を行っている最中です。売上は伸びていくものの、ボトムラインについてはピックアップして増益の基調になるまでにもう少し時間がかかるととらえていますが、計画しているシナリオのとおりです。

一方で、プラットフォームサービスに関しては、2020年度頃からキャンパスへの投資やオンライン化への投資などを進めていましたので、投資の果実が今年度の第1四半期も形になっていき、営業利益は1億1,200万円で着地しました。前年が4,300万円ですので8,000万円弱の上積みができたということになります。

3. セグメント別概況・トピックス【リカレント教育】①

セグメント別の概況とトピックスに移ります。まずはリカレント教育のトピックスです。University事業系は、BBT大学、大学院、そしてBOND-BBTの共同MBAプログラムなどが主たるプログラムになっています。

BBT大学大学院の2023年春期の入学者数は72名と、前年比で28パーセント増加しています。一方で、BBT大学の学部については、世の中の外部環境が大学院よりも変わってきていると感じています。

特に若い世代を中心に、「コストパフォーマンス」に加えて「タイムパフォーマンス」という言葉も出てきているとおり、学びにかける時間に関しても非常に効率を意識するということで、3ヶ月ないし4ヶ月ぐらいをかけて特定の領域を深く、またインテンシブに学んでいくショートコースのニーズが急速に拡大しています。

スライドに表示している「デジタルファーストキャンプ」は、昨年の12月からスタートしたものです。早くも3期目を迎えていますが、1期目は26名からスタートしたのに対し、3期目は121名まで伸長しています。募集を開始すると、本当にあっという間に定員に達します。定員を少し増やしても、またその定員に達するという状況が続いています。

「デジタルファーストキャンプ」については、DXやChatGPTに代表されるAIのようなデジタル技術が、今後の仕事においてもマストの知識、スキルになっていくだろうと思います。特に40代以上の大企業に勤める方々で、文系などの技術職やエンジニアではない方々が、多く申し込まれているという状況です。

また、企業の人材研修やリスキリング教育などの法人需要も、今後非常に期待できると考えています。「デジタルファーストキャンプ」に加え、8月からは「ファイナンスドリヴンキャンプ」を新規に開講しています。事業を経営していく方はすべからく数字に強くならなければいけないということで、会計、財務部門の方ではなくCFOのスキル習得を目指します。

特に日本は、米国やEU、中国、最近ではインドやインドネシア、香港、シンガポールなどの株式市場と比べても、GDPも企業価値もお金の価値に換算していくというところが進んでいませんので、「もう一度、ファイナンスを学びましょう」という講座になっています。

ファイナンスも財務三表だけではなく、M&Aを駆使したり、また新規事業を立ち上げたりする時に、バリューはいくらなのかということをしっかりと数字に置き換えながら、事業計画を厳しくファインチューニングしていきたいと考え、将来のCFOまたはCFOの領域プラスアルファの人材を養成するためのインテンシブコースをスタートしたところです。

こちらも「デジタルファーストキャンプ」に負けず劣らず、若干上回る申し込みをいただいています。大学の学び、特に社会人になってからの学びという面では、このような領域に非常に強い手応えを感じているところです。

3. セグメント別概況・トピックス【リカレント教育】②

法人向け人材育成事業系です。法人顧客、事業会社に対して、研修や選抜研修、あるいはサクセションプランと連動した次世代の経営者候補の選抜と育成、さらなる選抜のお手伝いをしています。

スライド左のグラフですが、売上高の推移は年率で2割弱ずつ拡大しているところです。取引先数についても、年率で約3割のペースで拡大しています。

コロナ禍が発生した2020年以降の数年、特に後半はリモートワークやオンラインでの仕事や会議におけるコミュニケーション、ChatGPTのようなDXに加えて、AI革命といったことが起きていますので、「我が社の人材」を育成していく上で、集合研修だけではなくオンラインでの研修やオンラインならではのスキルが必要になっています。

オンラインでの会議をファシリテーションしていく、あるいはオンラインで商談を行う際に、いかに相手を引きつけるか、または初対面の方に対して、他者と比べてどのように第一印象を魅力のあるものにしていくのかといったスキルは、今後必須になっていきます。

そのようなことも踏まえ、研修ニーズの裾野も広がっていますし、性質もよりデジタル時代、AI時代に近いものへシフトしてきていると手応えを感じています。

法人向けの人材育成事業に関してはBtoBのビジネスということで、ご提供する研修プログラムや教育のサブジェクトは、他の5大事業領域のものからカスタマイズしてソリューション提供するというものです。市場のセグメントとしてはご覧のとおり、金額的にもアカウント数的にも伸びてきているという状況です。

3. セグメント別概況・トピックス【リカレント教育】②

法人向け人材育成事業では、さまざまな啓蒙活動や、事業会社の人事の方々に最新の動向をお伝えするような活動も進めています。

スライドに例を3つ挙げています。1つ目は「BBTリカレントサミット2023 Spring – Summer」ということで、500名強の参加者に対してリカレント教育やリスキリング教育、経営人材の育成をテーマに、高橋俊介先生をはじめ、他の著名な先生方にもご登壇いただきました。

2つ目は「BBTクリエイティブ・クライメイト・サーベイ」です。組織文化、働き方の行動様式、個人が仕事をしていく上での思考、発想のあり方などをサーベイして定点観測しながら、創造性を阻害する要因をなるべく取り除くことで、創造性が発揮しやすい組織にしていくためのツールを設計し、ローンチしたところです。

先ほども少し触れましたが、創造性とは価値にしていくということですので、経営においては金額換算され、売上や利益、ひいては企業価値にマネタイズされていくという意味でのクリエイトを展開していきます。

「クリエイティブ・クライメイト・サーベイ」は「失われた30年」と言われる、日本のGDPが伸びない、1人当たりの平均GDPがアジアの他国に抜かれてしまうのではないか、賃金もなかなか増えないなどといった閉塞感のある状況をいかに打破していくのかという観点からも、非常に重要性が高まっていくツールだと期待しています。

また、生成AIに関しては、昨年末の「ChatGPTバージョン3.5」のデビュー以降、全世界に広がり、あっという間に日常になってしまいましたが、きちんと学べるコンテンツは存在していません。私どもは、その第一人者の方々を何名かお迎えしました。スライドに記載の「生成AI入門」では、AI研究者の清水先生に講師をしていただき、法人顧客にニーズの高い生成AIの展望などを解説する入門講座を続々と展開している最中です。

3. セグメント別概況・トピックス【リカレント教育】③

リカレント教育のセグメントでは、ITマネジメント系事業についても、第1四半期は非常にポジティブなトピックが多く得られました。ITILという資格は、IT業界では知らない方がいないぐらいデファクトスタンダードになっている世界標準の資格です。私どものグループ会社であるITプレナーズジャパン・アジアパシフィック社が、スライド左下の円グラフにあるとおり、日本最大のシェアを取っています。

現在は1社に合併しているITプレナーズジャパン・アジアパシフィック社と日本クイント社ですが、数年前に株式を取得しましたので、日本市場では約4割強のシェアを持っています。このようなDXやAI革命の進展に伴い、スライド右下の棒グラフが示すとおり、さまざまな業種、職種の方々から、「IT関連の資格を取得したい」「資格取得まで行かなくても仕事に使える技術や知識、実践力などを身につけるために学びたい」というニーズが高まっています。

また、毎年行っている「ITSM Japan Summit 2023」ですが、今年は8月22日に開催予定です。オンラインでのセッションですので、ご興味のある方はご参加いただければと思っています。

3. セグメント別概況・トピックス【リカレント教育】③

リカレント教育セグメントでは、起業家の養成・育成、スタートアップの輩出など、アントレプレナーシップにおいても大きなトピックのあった四半期でした。ビジネス・ブレークスルーは創業25年を迎えますが、創業前からスライド下部の「アタッカーズ・ビジネススクール」などの事業も営んできており、「アタッカーズ・ビジネススクール」は、今はBBTグループの会社として非常に存在感を発揮しています。

これまでの25年間に1,000社以上のスタートアップが羽ばたき、その中から16社のIPOをした会社が出てきましたので、本社のある千代田区六番町が『起業の聖地』ではないかと考えています。

創業25周年を記念して、IPOをした16社の創業者の方々のパネルなども展示し、今から起業する方の励みになればと考え、リノベーションした次第です。6月29日には、大前研一学長による記念講演を開催し、1,000名以上の方にご参加いただきました。

「アタッカーズ・ビジネススクール」に関しては、アントレプレナーシップの教育を担うグループ会社として、今回も4年連続でJST大学発新産業創出プログラムにおける「ビジネスモデル検証支援の運営受託機関」を拝命しました。アントレプレナーシップの領域では、非常に大きなアチーブメントだととらえています。

3. セグメント別概況・トピックス【プラットフォームサービス】①

プラットフォームサービスのセグメントに移り、インターナショナルスクール経営についてご説明します。スライドの棒グラフが示しているとおり、アオバジャパン・インターナショナルスクールの株式を取得して、経営に参画したのが2013年で、ちょうど10年前です。

当時は生徒数287名からスタートし、拠点は練馬区光が丘と目黒区青葉台の2ヶ所でした。スライドの棒グラフでは、2013年のネイビーブルーの部分が該当します。青色は港区麻布台のサマーヒルインターナショナルスクール、薄い水色は三鷹市のムサシインターナショナルスクール東京、ピンクは晴海、芝浦、早稲田、三鷹、中野、下目黒、用賀に拠点があるアオバジャパン・バイリンガルプリスクールです。

約10年強で、現在の生徒数は1,550名と6倍に成長し、東京首都圏に10ヶ所以上のサテライトキャンパスを持つ、おそらく日本最大級のインターナショナルスクールグループに成長できたと思っています。ムサシインターナショナルスクールを除き、すべてインターナショナルバカロレアのカリキュラムに準拠した認定校または候補校となっています。

3. セグメント別概況・トピックス【プラットフォームサービス】②

トピックについてです。今年4月、世田谷区にアオバジャパン・バイリンガルプリスクール(AJB)の用賀キャンパスを開設しました。スライド右上の写真のとおり、樹木を意識した非常に自然に親しみやすいキャンパスとなっています。

ようやくコロナ禍が明けて、ゴールデンウィーク以降に第5類に分類されたため、AJBはサマースクールなども開校できる状況になりました。6月にはサマースクールを本格的に再開したのですが、あっという間に定員をオーバーするほど何倍もの申し込みをいただき、収益的には非常にありがたいかたちで大きく貢献しました。

また、今後は夏休みだけでなく冬休みや春休みも、子どもたちの新しい学びの場になることを、学校側も先生方も非常に楽しみにしているところです。スライド左下の写真のとおり、ダンスやミュージカル、プールでの水泳、ロボットやドローンなどを使った科学、実験を使った学びなどを行っていることが私どものサマースクールの特徴です。よく学び、よく遊ぶことが好評を博しています。

市場環境:ターゲット市場の成長性

今後の事業戦略についてご説明します。市場環境については、5大事業のいずれも市場の成長性が非常に期待できるととらえています。

スライド左側のプラットフォームサービス事業は、日本およびアジアのインターナショナルスクール市場がターゲットです。実際に、アオバジャパン・インターナショナルスクールも高等学校の課程はオンラインでのカリキュラムです。

さらに、日本ならびにアジアでは初となる国際バカロレア機構から公式認定を受けたオンラインでのIB-DPプログラムの提供校になっています。ご覧のとおり、2013年から2023年の10年間で学校数は60パーセント、生徒数は53パーセント、教員数は60パーセント、マーケットは92パーセントの成長を実現しており、今後も市場の成長を享受できるのではないかと考えています。

政府は、リカレント教育、リスキリング教育、特にBtoBだけではなく個人の転職やキャリアアップのための学びに公的資金を思いきって投下していくと言っています。働きながら学ぶのであれば、ポストコロナの社会においては当然eラーニングに移行していきますので、リカレント教育事業においても非常に大きなチャンスが得られるのではないかと思っています。

大学、大学院のdegreeを取るため、単位を取るため、Certificateを取るための学びや、IT系の資格を取るための学び、語学系の学びなども含まれますので、今後はいずれのマーケットも伸びていくのではないかと思っています。

BtoBの法人研修事業は、先ほど個別にお伝えしたとおり、すでにかなり大きな成長を遂げています。このような観点からも、5大セグメントすべてが、成長を期待できる市場に入っていると認識しています。

東証プライム上場維持基準達成を展望した成長戦略

スライド17ページは、成長戦略を少し別の切り口から整理したものです。この3年間で、オンライン学習システムとコンテンツのAIならびにDXに先行投資を行ってきました。

ビジネス・ブレークスルーにおいては、「AirCampus(AC)」というラーニングプラットフォームへのAIの組み込み、リコメンデーション機能や学習プランを構築していくためのサポート機能などを強化すべく投資してきました。

また、参入障壁の高いAIを活用したEdTechのトップランナーになるべく、AIやChatGPTの組み込みなども先行して積極的に行ってきました。第1四半期においては、トップラインは伸びたものの、セグメントによってはボトムラインは逆に損失の幅が若干広がった傾向がありました。しかし、今年度ならびに来年度で間違いなくピックアップしていくと認識していますので、その間のタイムラグととらえています。

University事業系、法人向け事業においては、オンライン学習システムのAI対応などで売上、利益への貢献が期待できます。また、法人向けの事業においても、私どもが毎年1,000時間ずつ作ってきているコンテンツライブラリのレコメンデーション機能など、これまで人間が一つひとつ行っていたことを、AIにある程度代替させて効率化を図っていきます。さらに、さまざまなレコメンデーションパターンの多様性を増していったり、よりファインチューン(fine-tune)したレコメンデーションを出していったりすることに積極的に活用していきたいと思っています。

インターナショナルスクール事業においては、世界でも5校しか認定を受けておらず、その中でも日本およびアジアにおいては、アオバジャパン・インターナショナルスクールが現時点で唯一の認定を受けているインターナショナルスクールです。

オンラインで国際バカロレアのプログラムが受けられることから、日本市場のみならず、アジアの市場に対してもリーチが可能となる礎ができつつあると思っています。

東証プライム上場維持基準達成を展望した収益性強化

「①既存事業の収益性強化」については、プラットフォームサービス事業セグメントでは、増収と利益率の改善が続くと見込んでいます。

リカレント教育セグメントにおいては、現在は社内の業務に対しても、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やAI活用などを積極的に進めているため、収益性よりもコスト効率の観点で、年度内には少なくとも1億円前後の効果がマネタイズできるのではないか、引いては、それによってより一層、高収益の体質に近づいていくのではないかと考えています。

今後の潜在的な成長を高める施策としては、株主総会でも発表しましたが、今後は一層グループ全体でのシナジーと一体感を構築します。また、企業文化やグループ文化として新しいことに挑戦し、教育の変革を行っていくような企業集団を目指しています。

そのために、クレド(ミッション)やビジョン、コアバリューなどをわかりやすい言葉で策定し、日本語と英語の両方で定義することで、日本やフィリピンなどさまざまな拠点のグループ社員に理解していただき、さらにそれを行動規範とすることで、ディシプリンやビヘイビアにまで落とし込んでいきます。

そして、どのようなことがあろうとも、ミッションやビジョン、価値観、ディシプリンに則り、一人ひとりが上長に指示を仰ぐことなく自律的に教育を提供し、それがよりベターな教育サービスとして、学習者あるいは受講生の方に享受していただけることを積極的に推進していきたいと思っています。

「②AI/DX化への更なる先行投資」については、今後も引き続き投資を進めていきます。これまでは物理的な拠点を増やしており、いわゆる有形固定資産に対する設備投資または先行投資が多かったのですが、今後はソフトウェアまたは無形資産に対する投資を積極的に行っていくと同時に、「③事業成長性のあるM&A模索」なども、良い機会があれば中立・客観的にバリューを評価した上で果敢に判断していきたいと思っています。

AI/DX施策について

先ほどお伝えした、AIまたはDX関連の新たな学習システムや学習コンテンツに関するスライドです。

スライド左側は「生成AIの入門講座」「AI SHIFT」、中央は「DXインプット大全」、右側が「組織における階層別のプレイリスト」です。このようなものを毎月、毎週新たに作り込んでリリースし、個人の学習者の方や法人顧客にご提供しています。

AI/DX施策について

ChatGPTの搭載に関しては、アプリケーションのインターフェースが公開されて以降、日本国内の教育業界においては、おそらく私たちが最も早く実装したのではないかととらえています。

AIは特に言語学習やサマリーを行う領域において非常に優れていることから、ChatGPTに限らずさまざまなAIを使いこなし、人間にしかできない領域に人間の英知をより一層投下していくようなマネジメントや発想ができる人材を多く輩出すべく、学びの機会をご提供したいと思っています。

また、スライド右に記載のとおり、一人ひとりにパーソナライズされた学習プランを立案していく際に活用できる生成AIコンテンツやレコメンド機能を近日公開予定としています。

アジア初、国際バカロレア認定オンライン高校

国際バカロレアに関しては、先ほどご説明したとおりです。IBDPのプログラムは「ディプロマ・プログラム」という、日本では高等学校に相当する年齢層の方々を対象にしたカリキュラムです。

当社は本プログラムをオンラインで提供することを国際バカロレア機構から公式に認定され、国際教育熱が高く、インターナショナルスクール市場が急拡大しているアジア市場において、オンラインでのIBDPの提供をスタートしました。すでに国内外から応募が寄せられているため、今後の展開を楽しみにしながら、もう1つの成長の種として大きく育てていきたいと思っています。

今期およびFY2024の数値計画

2024年度以降の成長の数値計画は、中期経営計画でお示ししているとおりです。2018年度の売上高53億6,000万円から、2024年度には売上高100億円、営業利益10億5,000万円を目指したいと思っています。

2023年度については第1四半期が終わったところですが、売上高80億円強、営業利益6億5,000万円を必達とすべく、残りの9ヶ月も、社員一同この目標を達成、超過すべく社業に励んでいきたいと思っています。

以上、簡単ですが2024年3月期第1四半期の業績のオーバービューおよびサマリーをご説明しました。ありがとうございました。

質疑応答:2025年3月以降の成長について

宇野令一郎氏:2025年3月以降の成長についてご質問をいただいています。

プラットフォームサービス事業とインターナショナルスクール事業のうち、プラットフォーム事業については比較的シンプルで、実はキャンパスを増やしていけば売上高と営業利益が上がります。

例えば、当社は国際バカロレアを文部科学省のもとで啓蒙活動・推進している立場でもあるため、地方の方から「こちらに来ませんか?」というお話をよくいただきます。このような観点で考えると、東京もまだ余地がありますが、それ以上に大阪、名古屋、福岡などの地方都市にも、まだ十分に余地があるだろうと思っています。

さらに、海外では「オンラインインターナショナルスクール」というビジネス形態は、2025年3月期以降も伸びると考えています。海外に拠点を置くことも、この中期経営計画が終わった後のアジェンダとして出てくる可能性はあると思っています。以上のことから、プラットフォーム事業では、すでにリアルとオンラインの双方で足場を築いているため、お話ししたような、さらなる成長戦略の基盤になるだろうと思っています。

また、オンライン形式のビジネスは、当然のことながら対面形式よりも利益率が高くなるため、こういった観点からも、プラットフォーム事業は売上成長だけでなく、利益率貢献にもさらに寄与するものと見込んでいます。

一方で、リカレント教育セグメントの成長戦略については、主軸はUniversity事業と法人人材育成事業です。現在は後者が非常に伸びているため、大きな成長戦略の1つはこの領域となります。

「法人人材育成とはなんですか?」「強みはなんですか?」というご質問については、当社は業界で評価される一流の先生の動画コンテンツをたくさん保有しているため、どのような切り口や依頼をいただいたとしても、ランニングコストを支払って新たに先生や研修を提供するといった従来型ビジネスモデルではなく、動画をオンデマンドのかたちで顧客に提供できる点が大きな強みであると思っています。

法人向けの「サクセッションプラン」では、新しい経営幹部を育成するため、高利益率の動画講義の提供に加え、最終的には非常に重要な自社の事業計画の策定などをBBT大学の教授陣や講師陣が指導するという、ハイブリッド形式の授業提供を実施しています。このような手法を用いた、ハイエンドのサービスを提供できる企業はまだ限られているため、大きい基軸になると考えています。

大学と大学院を持つUniversity事業は、良くも悪くも安定してきてしまっているものの、現在は新しいプログラムを拡充しているところです。今後は、卒業資格を果たすための講座提供のみならず、「ショートコース」で伸ばしていくかたちが多角的かつ大きな事業の成長戦略だと思っています。

この戦略を支えるのは、AIやDXに関連する教育コンテンツのご提供で、AIをフル活用したプラットフォームを用いたビジネス展開です。また、法人や個人の方に「このプラットフォームで学びたい」と思っていただくことを目的とした、AIに対応したオンライン教育プラットフォームも、非常に大きなポイントだと思います。

プラットフォームのAI化競争には経営体力が必要です。各社で進めていく中で、グローバルプレイヤーは経営体力がありますが、日本のプレイヤーでいえば、当社も十分勝ち抜けると思っています。

我々はこういった説明会を四半期ごとに開催していきたいと思っていますし、個別でもご案内させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。

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