2. 厚生年金を月額20万円受給する割合は
では、比較的手厚いとされる厚生年金を「月額20万円」受給している方はどれぐらいいるのでしょうか。
厚生労働省が公表した「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金保険(第1号)の年金月額階級別受給権者数を抽出し、割合を算出してみましょう。
なお、こちらの資料では厚生年金に国民年金の金額も含むとされています。
- 男性平均:16万3380円
- 女性平均:10万4686円
このデータをもとに、男女それぞれで厚生年金をひと月20万円受け取っている人の割合をみていきましょう。
2.1 男性で月額20万円の割合
- 厚生年金受給者:1082万8213人
- 厚生年金を月額20万円以上21万円未満受け取っている人:75万1043人
75万1043人 ÷ 1082万8213人 = 6.94%
男性の約7%が厚生年金を月額約20万円受給していることが分かります。
2.2 女性で月額20万円の割合
- 厚生年金受給者:535万2232人
- 厚生年金を月額20万円以上21万円未満受け取っている人:2万4351人
2万4351人 ÷ 535万2232人 = 0.45%
女性の場合、約0.5%が厚生年金を月額約20万円受給しているようです。
上記のグラフを見てもわかるとおり、男性の方が受給額のボリュームゾーンは高く、平均でも約6万円の男女差があります。
女性は結婚や出産などで仕事を離れ、専業主婦になったり、パートや時短になったりする方も多いので、受給できる厚生年金の額が少なくなっているのだと考えられます。
3. 厚生年金は個人差も大きい
男女差に加え、個人差も大きいのが厚生年金の特徴です。
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
1歳刻みで受給者数を整理してみると、幅広く分布している様子がよくわかりますね。
ボリュームゾーンは10万円以上11万円未満ですが、17万円以上~18万円未満も多いです。また、多くの人は65歳以降の生活費の目安である「約15万円」にも届いていません。
4. 計画的に老後資金の準備を
厚生年金で月額20万円を受給している人は、男女ともに非常に少数であることが分かります。
今後物価の高騰や、社会保険料の増加は避けては通れない未来になりつつあります。「月20万円」でもお金が足りない、そんな可能性もあるでしょう。
今あるお金を、今を楽しむために使うことは何も問題ありません。しかし今を繰り返すうちに老後の生活はすぐにやってきます。
そんな時にお金が足りなくなって、自分の子供からお金をもらう、そんな未来は考えたくないですよね。
そのために、今あるお金のいくらかを将来の自分のために投資してみてはいかがでしょうか。
必ず将来の自分を助けてくれるはずです。
参考資料
杉田 有毅