NHKの連続テレビ小説「らんまん」第20週のサブタイトルは「キレンゲショウマ」。夏に鮮やかな黄色い花を咲かせ、希少価値があることで注目を集めている山野草です。
ドラマでは主人公の万太郎と東大の田邊教授が同時期にキレンゲショウマを発見。タッチの差で田邊教授が新種発見者として認められました。
今回はキレンゲショウマの魅力や育て方を紹介します。
【NHK朝ドラ】『らんまん』第20週に登場する「キレンゲショウマ」ってどんな植物?
- アジサイ科キレンゲショウマ属
- 多年草
- 原産地:日本 紀伊半島・四国山地・九州
- 草丈:80〜120センチ
- 開花時期:7~8月
- 参考価格:800~1000円前後(3号ポット苗)
キレンゲショウマの学名は「Kirengeshoma palmata Yatabe」。1860年に東京大学の初代植物学教授矢田部良吉氏によって発表されたことから、学名にも矢田部氏の名前が記されています。
キレンゲショウマは日本の固有種で、四国の石鎚山や剣山などに多く自生。矢田部氏もキレンゲショウマを石鎚山で見つけました。
紀伊半島や九州にも群生地があり、石灰質の山地で湿った岩場や傾斜地などに生育。日本でも自生地が限られているため、希少価値があるとされています。
黄色い花を咲かせ「レンゲショウマ」に似ていることから、「キレンゲショウマ」と名付けられました。実はキンポウゲ科のレンゲショウマに対し、キレンゲショウマはアジサイ科でまったくの別品種です。
【NHK朝ドラ・らんまん】「キレンゲショウマ」の魅力は?
うつむいて咲く黄色い花が可憐
ポッテリとした肉厚の5枚花は3~4センチほどの大きさ。うつむきがちに咲く黄色い花が可憐で、物静かな印象を与えます。先が尖った花弁は全開せずラッパのような形に。
つぼみは直径約1センチの球形で、コロンとした愛らしい形です。
伸びやかな草姿がスタイリッシュ
背丈は大株になると1メートルを超え、細い茎をまっすぐに立ち上げる姿がスタイリッシュ。葉も10~20センチほどと大きめで、手をパッと開いたかのような形が存在感を放ちます。
シェードガーデンを明るく彩る
キレンゲショウマはもともと森林の奥深くに自生する植物で、やや暗い場所を好みます。耐陰性が強いのでシェードガーデンにオススメ。
キレンゲショウマを題材にした宮尾登美子さんの小説「天涯の花」で、「月光のように澄み、清らかに輝いてみえた」とあるように、薄暗い場所に咲く黄色の花が鮮やかに映えます。
たくさんのつぼみがぶら下がっている様子も、闇夜で光るホタルのようでロマンチックです。
一属一種で希少価値がある
一属一種とは文字通りその植物が単独品種で、仲間となる近縁種がないということ。キレンゲショウマはまさにオンリーワンの植物と言えるのです。
キレンゲショウマは育つ環境が限られていることに加え、近年シカなどの食害が増えてますます個体数が減りつつあります。地域によっては絶滅危惧種とされているところも。
育てるのもやや難しく自然界で目にする機会も少ないため、愛好家からはレア植物として大切にされています。