厚生労働省の発表によると、2023年の大卒の初任給は21万2500円と、前年比で1.2%増加しているようです。
ちなみに、平成元年は15万5700円だったので、6万円ほど増えていることがわかります。キャリアを重ねることで昇給するため、初任給が人生で最も低い月給という方も多いでしょう。
一方で、老後の年金に目を向けると厚生年金の全体平均は14万円台です。平成元年の初任給より少ないですから、老後の懐事情は厳しそうですね。
そこで今回は、年金について現在の初任給と同程度である「20万円台」を受け取る方の割合などを深堀していきます。
1. 日本の公的年金制度をおさらい
年金の受給額を確認するには、「国民年金」と「厚生年金」の違いを押さえる必要があります。まずは下記の図を使い、日本の年金制度についておさらいをしておきましょう。
1.1 国民年金(1階部分)
- 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満の方
- 保険料:一律(年度ごとに見直し)
- 年金額:納付期間によって決定。2023年度の満額は月額6万6250円(67歳以下の場合)
1.2 厚生年金(2階部分)
- 加入対象:主に会社員、公務員など
- 保険料:報酬比例制
- 年金額:加入期間や納付保険料により決定
仮に国民年金に40年間加入して満額を納めている場合、満額の老齢基礎年金がもらえます。一方、厚生年金には満額という概念がないため、加入期間や現役時代の報酬によって左右されます。
国民年金と厚生年金の違いがわかったところで、次はそれぞれの受給額を見ていきましょう。月額20万円は目指しやすい水準なのでしょうか。
2. 国民年金は満額でも月額6万6250円
結論から言うと、国民年金のみでは「月額20万円」を受け取ることができません。
2023年度の水準では、新規裁定者(67歳以下)の年金額は満額79万5000円(月額6万6250円)です。
毎年改定されるものの、おおよそ年額80万円が目安になるでしょう。もし夫婦ともに国民年金の場合、2人で合計しても月額13万2500円となり、20万円には到底届きません。
月額6万円台となると、単身世帯でも厳しいといえるでしょう。そのため、一度も厚生年金に加入したことがない方は、年金以外の備えが必要になります。
では厚生年金ではどうでしょうか。