運用益が非課税になる「NISA」と「ジュニアNISA」

「NISA(Nippon Individual Savings Account:ニーサ)」は、2014年1月にスタートした、個人投資家のための税制優遇制度です。

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して20.315%(20%+復興特別所得税)の税金がかかります。ところが、「NISA口座(非課税口座)」内であれば、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります。

2016年度からは、未成年者(0~19歳)を対象とした「ジュニアNISA」も始まりました。「NISA」と「ジュニアNISA」の違いはまず、利用できる人の年齢です。「NISA」は、日本に住む20歳以上の人が対象で、「ジュニアNISA」は0歳~19歳の人が対象です。

非課税期間はいずれも最長5年間ですが、非課税投資枠の上限は「NISA」が毎年120万円、「ジュニアNISA」が毎年80万円です。このため、「NISA」の非課税投資枠は最大600万円、「ジュニアNISA」の非課税投資枠は最大400万円となります。

「ジュニアNISA」で注意すべきは、口座開設者が18歳(3月31日で18歳である年の前年12月31日)になるまでは払出しができないことです。途中で払出しをした場合は、原則として過去に非課税とされていた利益に課税されます。

2018年1月から「つみたてNISA」がスタート

2018年1月から「NISA」に新たな制度が加わります。「つみたてNISA」です。「つみたてNISA」はその名のとおり、定期的に継続した買付(積立)で投資を行う場合に、利益・分配金が非課税となります。

非課税枠は毎年40万円ですが、非課税期間が最長20年間と長く、このため、非課税投資枠は20年間で最大800万円になります。現行のNISA(以下、「一般NISA」)は、非課税投資枠を繰り越すことができますが、「つみたてNISA」は、未使用分があっても翌年以降への繰り越しはできません。

また、「つみたてNISA」は、投資対象商品がかなり限られています。というのも、「つみたてNISA」は、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するのが大きな目的です。このため、「一般NISA」であれば、国内上場株式、REITなどにも投資できますが、「つみたてNISA」は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。

「iDeCo」はあくまでも年金。年齢と投資目的で使い分けを

「NISA」だけでも3種類があり、それぞれ制度が異なります。複数のNISAを併用することはできません。また、「つみたてNISA」と「一般NISA」を1年単位で変更することは可能ですが、「ジュニアNISA」は、金融機関の変更はできません。

ところで、税優遇で資産形成を支援する制度には「NISA」のほかに個人型確定拠出年金(DC)の「iDeCo(イデコ)」もあります。

ただし、「NISA」の所管が金融庁なのに対して、「iDeCo」の所管は厚生労働省です。「NISA」の大きな目的の一つが「貯蓄から投資へ」の流れを推進することであることに対して、「iDeCo」は公的年金を補完するものです。

「iDeCo」は、運用中の利益が非課税であることに加えて、掛金も全額所得控除になります。さらに、リタイア後に受け取る際にも税制優遇があります。元本確保型の預金や保険も利用できるのも大きな特色です。2017年1月からは公務員や専業主婦(夫)なども利用できるようになりました。

ただし、「iDeCo」が「NISA」と大きく異なるのは、原則として60歳まで資金を引き出せないことです。

まとめ

このように複数の制度があると、どれを選べば悩むところです。ざっくり言うと、子どもの教育資金には「ジュニアNISA」、長期で資産形成を目指すなら「つみたてNISA」がいいでしょう。一定のリスクを取って、お金を増やしたいなら「一般NISA」のほうが株式などのラインアップが豊富です。

一方、「iDeCo」はあくまでも年金です。原則として60歳まで投資資金を引き出せないだけでなく、60歳以上の人は利用できません。選択にあたっては自分の年齢と投資目的を合わせて検討するといいでしょう。

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制作:株式会社モニクルリサーチ

上山 光一