昨今、物価の高騰が世間を騒がしています。
つい先日はガソリンのレギュラーが1リットルあたり170円を記録するなど、日々確実に物の値段は上がってきているようです。
私たちが老後の人生を迎えるにあたって物価の高騰を加味した際、年金だけで生活費は足りるのでしょうか。
そもそも、厚生年金がどのくらいもらえるのかを知らない方も多いと思います。
平均は月額14万円とも言われますが、実際にはピンキリとなっています。
今回はそんな年金制度について紐解いていきたいと思います。
1. 公的年金は「厚生年金と国民年金」の2階建て構造
最初に年金の仕組みについて、図を使って整理しましょう。
日本の年金制度は、日本に住む20歳~60歳未満の全ての人が原則加入する国民年金と、会社員などが加入する厚生年金による「2階建て構造」です。
1.1 第1号被保険者
自営業者などの第1号被保険者は、毎月の国民年金保険料を自分で納めます。こちらは一律のため、将来の老齢基礎年金は「支払った期間」によって左右されます。
1.2 第2号被保険者
一方、厚生年金(あるいは旧共済年金)に加入している会社員や公務員などの第2号被保険者は、毎月の保険料を勤務先の事業所と折半で負担し、毎月の給料天引きで納めています。
そもそも保険料は報酬比例制で個人によって異なるため、将来の老齢厚生年金は年収や加入期間によって左右されます。
1.3 第3号被保険者
最後に第3号被保険者ですが、専業主婦などで第2号被保険者に扶養されている配偶者があてはまります。
こちらに該当する場合、個人としては国民年金保険料を負担する必要はありません。
受給要件を満たした場合に受け取れる年金は、国民年金だけに加入していた人は「老齢基礎年金」のみ。厚生年金に加入していた人は、老齢基礎年金に上乗せして「老齢厚生年金」を受け取ることができるというのが、日本の年金制度です。
2. 厚生年金は2023年度から3年ぶりの引き上げ
2023年(令和5年)度の年金額は、国民年金と厚生年金ともに引き上げとなりました。新規裁定者(67歳以下)の年金額の例は以下の通りです。
2.1 国民年金(老齢基礎年金)
- 6万6250円(1人分)
2.2 厚生年金(「標準的な夫婦世帯」が受給する2人分の金額)
- 22万4482円(※夫婦2人が受け取る標準的な「モデル年金」)
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
ちなみに2022年度のモデル年金額は22万9593円だったので、前年度より4889円の引き上げです。
しかし、実は物価上昇の幅のほうが大きく、実質的には目減りという現状があります。
同じく貯蓄に関しても、物価が上昇すればその分現金の価値が目減りされてしまうため、シニアにとっては苦しい老後となります。