地元民が感じている京都のオーバーツーリズム

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観光客だけでなく、地元民にも負の影響があるオーバーツーリズム。地元民が感じていることを、以下に簡単にまとめてみました。

  • 観光地やお祭りの会場付近には近寄れない
  • 観光地周辺のゴミのポイ捨てが気になる
  • 観光客が道いっぱいに広がり、車がなかなか通れないことがある
  • 観光のための施設が増えて、昔ながらの京都らしさが減っているのがさみしい
  • 学校や会社の場所によっては通勤・通学が大変

京都に住んでいると、人気観光地には人が集中しており、観光地が近くにない住宅街では比較的落ち着いて過ごせている印象を抱きやすいです。

しかし買い物や用事などで市の中心に出かけたり、公共交通機関で観光地付近を経由したりすると、人の多さや観光地ならではの熱気に圧倒されることも。

清水寺や金閣寺などの大人気スポットの周辺に住んでいる人は特に大変でしょうし、観光客の満足度を高めるためにもオーバーツーリズムの解消を望んでいる人は多いと考えられます。

行政や観光協会も動いている!オーバーツーリズムを解消するための対策

京都ではオーバーツーリズムを解消するため、行政や観光協会、旅行会社などがそれぞれ対策を講じています。対策内容は、観光客が行動する時間帯や行先の分散、地元民の不満を解消する制度などさまざまです。

ここでは、京都で実際に行われているオーバーツーリズムの解消対策を紹介します。京都の新しい魅力を発見できる方法や、地元民にとってお得な制度もあるので、ぜひご覧ください。

時間帯の分散、朝京都・夜京都を観光するプランを提案

観光客が行動する時間帯を分散するため、観光協会や旅行会社は早朝や夜の京都を観光するプランを提案しています。例えば清水寺は朝6時から拝観できますし、伏見稲荷大社や八坂神社などは24時間境内に入ることが可能です。

お守りを購入したり御朱印をいただいたりするのが難しいかもしれませんが、人が少ない間にゆっくりと散策し、京都らしさを満喫できます。

行先の分散、穴場観光スポットの紹介

特定の場所に観光客が集中しやすい京都。同じ世界遺産でも、清水寺のGoogleマップの口コミは4万4000件、金閣寺は4万3000件を超えているのに、場所によっては1000件程度のところもあります。(2023年7月25日時点)

また、桜や紅葉は「じっくり鑑賞したい」というニーズに応えるため、穴場スポットの特集が盛んに行われています。穴場スポットの紹介は観光客の行先の分散になりますし、京都の新しい魅力を発見してもらえるので、良い手段かもしれませんね。

公共交通機関の利用者の分散、バスの割引乗車券の見直し

京都市は市バスの混雑を和らげるため、観光客がよく利用するバスの1日乗車券を2023年9月30日で発売を停止(有効期間は2024年3月31日)することを決定しています。

1日乗車券の販売・利用停止以降は、バスと地下鉄がセットになっている1日乗車券を利用することが可能です。京都駅からは地下鉄だけで二条城・京都御所・平安神宮の近くまで行けるので、公共交通機関の利用者の分散が期待できます。

また、2023年4月1日より関西圏で普及しているICカードのICOCAとPiTaPaの利用者を対象に、市バス・地下鉄・京都バスの利用状況に応じてポイントを付与するサービスを開始しました。

京都市交通局には「市民を中心としたご利用頻度の高い方を優遇する」とあり、地元民の満足度の向上が期待できます。