日本が誇る一大観光都市・京都。2023年は夏休みやお盆の休暇を使って、京都旅行を計画している方も多いと思います。

そんな京都がいま直面しているのが、オーバーツーリズムです。観光客が訪れ過ぎて、かえって旅行の満足度が下がりやすくなったり、地元民の生活に支障が出たりしています。

今回は京都のオーバーツーリズムの現状・対策などについて、現地民の体験談を交えながら紹介します。

京都ではどんなオーバーツーリズムの問題が発生しているの?

オーバーツーリズムとは、観光客の増加などにより、地元民の生活環境に負の影響を与えたり、観光客の満足度を低下させたりする状況のこと。オーバーツーリズムは、地元民だけでなく観光客にとってもデメリットがあるのですね。

ここでは、京都ではオーバーツーリズムによりどのような問題が発生しているのかを簡単に紹介します。

公共交通機関の麻痺、地元民が利用できないことも

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目的地へ向かうとき、公共交通機関の利用は必要不可欠と言っても過言ではありません。京都でも、電車やバスは地元民だけでなく観光客にとっても大切な移動手段です。

しかし、あまりにも多くの観光客が訪れ過ぎて、地元民が乗車できない事態が度々発生しています。すべての便というわけではないのですが、バスの場合は清水寺や平安神宮方面、電車の場合は嵐山方面へ向かう車両が特に混雑する傾向にあります。

春や秋などの繁忙期は、首都圏の通勤電車と同等の混雑が朝から晩までずっと続くことも。あまりにも混雑するため、地元民が乗車を断念して外出を諦めるケースも発生しています。

雇用の不安定化、繁忙期とそれ以外で必要な人数が大きく異なる

京都市が公表している資料によると、京都市の雇用の非正規率は政令指定都市のなかで最も高い43.7%です。特に、宿泊業や飲食サービス業で非正規率は高くなっています。

非正規雇用の割合が多い理由のひとつに挙げられるのが、繁忙期とそれ以外での必要なスタッフの人数の差。

繁忙期は数十人で運営しているお店も、普段は半分程度で人手が足りるため、繁忙期の間だけ派遣スタッフやアルバイトを短期雇用しているケースがよくあるのです。

非正規雇用は給料が安定しにくく、手当や賞与を受け取れないこともあるので、労働者の生活の質などに影響を与える可能性があります。

人が多すぎてかえって観光客の満足度が下がる

京都を旅行した人のなかには、「紅葉を見に来たのか人を見に来たのか分からない」という感想を抱く人もいます。観光客が訪れ過ぎて、京都らしい景観を守りにくくなっているのが原因のひとつです。

もてなす側としては大勢の観光客が京都を見に来てくれるのが嬉しい一方、京都の本当の魅力を感じてもらうのが難しくなり、心苦しく思うことも。京都ではオーバーツーリズムの影響で、人気の高さと満足度のバランスを取るのが難しい状況になりつつあります。