第45回東京モーターショーが閉幕

10月27日から江東区・有明の東京ビッグサイトで開催されていた「第45回東京モーターショー2017」が11月5日で閉幕しました。最終日には相応に華々しいイベントも行われたようです。ただ、5日から米国トランプ大統領が来日していたこともあり、東京モーターショーの閉幕に関するニュースは思った以上に少なかったという印象があります。

今回の東京モーターショーは『世界をここから動かそう BEYOND THE MOTOR』をテーマ(ステートメント)に掲げ、10日間の日程で行われました。

各社の新型車やコンセプトカーの展示はもちろんですが、今回は“世界的な流れになりつつある”と評されている電気自動車(EV)や、前回からのテーマである自動運転、とりわけ、人工知能(AI)をさらに駆使した最先端の自動運転技術などが注目点でした。

1日当り入場者数は前回を上回ったが

SUBARU VISIV PERFORMANCE CONCEPT

さて、今回の東京モーターショーの盛り上がり具合はどうだったのでしょうか。

数字上の結論から言うと、盛り上がりには今一つ欠けたということになります。まず、総入場者数を開催期間(日数)で割った1日当り入場者数を見てみましょう。モーターショーの成否は入場者数だけで判断されるものではないと思いますが、一般消費者の関心度などを含め、1つの重要な指標であることは確かです。

今回の1日当り入場者数は77,120人となり、前回(2015年)の73,864人から約+4.4%増となりました。前回は最後の週末、とわけ、最終日の日曜日が悪天候に見舞われたという事情がありました。しかし、今回も開幕直後に台風22号の影響を受けたことを考えると、天候によるハンディキャップは概ね中立だったと見ていいでしょう。

いずれにせよ、前回よりも1日当り入場者数が増加したことはよいことだったと言えましょう。ちなみに、前回は11日間の開催だったため、総入場者数で見ると今回は約▲5%減でした。

バブル経済期には1日当り16万人を超えた入場者数

トヨタ Tj CRUISER

しかし、前回より増加したとはいえ、1日当り入場者数の低迷が続いていることは事実です。バブル経済期と比べても無意味かもしれませんが、1989年は160,350人、1991年は134,567人を記録しました。

当時は幕張メッセでの開催でしたが、今回の2日分が1日で達成されたこと(1989年)に驚かずにはいられません。その後、1日当り入場者数は減少が続きましたが、それでも2003年までは10万人をキープしていました(2001年を除く)。

入場者数の減少が深刻になったのは2005年(88,947人)からでしょうか。その後は一度も10万人を回復することなく、今日に至っています。

ただ単に景気変動の影響だけが理由ではない

日産 リーフ NISMO コンセプト

こうしたイベントの入場者数は景気の変動を受けやすいという声があります。確かに、バブル崩壊後に減少に転じたことや、リーマンショックの影響をもろに受けた2009年は閑散状態(47,262人。1958年以来の低水準)だったことなど、それを裏付ける事象もあります。

しかしながら、2005~2007年、2015~2017年などは、様々な経済指標は決して悪くありません。むしろ、雇用関係などはバブル期並みの水準でもあります。やはり、景気の変動だけでは片づけられないのでしょう。

すると、必然的にクルマに対する興味が減ったということに辿り着きます。実際、国内の新車販売台数(軽自動車を含む)は、ピークだった1990年度の6割強の水準に落ち込んでいます。

高級耐久消費財であるクルマは、興味があっても必ずしも購入できるわけではないのですが、若年層を中心に興味が薄れていることは否定できません。

自工会の新たな取り組みに期待高まる

一方、主催者である日本自動車工業会(自工会)の取り組みはどうでしょうか?

自工会は、2011年から開催場所を交通アクセスの便利な東京ビッグサイトに移し、2015年からは午後4時以降に入場料が半額となる「アフター4チケット」を導入するなど、入場者数回復への取り組みを行っています。これはこれで評価できるでしょう。

ただ、現在のネット社会・ネット技術を最大限利用しているかと言うと疑問が残ります。たとえば、インターネットにつなぐことで会場を歩いているようなバーチャル体験などがあってもいいかもしれません(注:筆者が確認した限りではなし)。

2019年はどんなテーマに?

2019年は会場が分散開催となる可能性も?

次回、2019年開催の東京モーターショーは、2020年の東京五輪準備のため、会場が分散開催になるという話があります(注:筆者は未確認)。かつて世界3大モーターショーの1つを誇った東京モーターショーが、さらに大きな岐路を迎えることになるかもしれません。

なお、筆者が行ったのは3連休前の11月2日(木)の夕方でした。EVやAIばかりの展示かと思いきや、既存モデルの展示スペースも広く、また、来場者の興味もEVやAIにはあまり向かっていなかったような印象を受けました。3連休前とはいえ、平日の夕方としては混んでいたようです。

なお、後日の正式発表によれば、この日は平日の入場者数としては過去最高を記録したようです(注:東京ビッグサイト開催以降)。やはり、クルマに対する憧れは今も根強く残っているのでしょうか。

LIMO編集部