5. イオンの株価に対して考えられる3つのリスクとは

イオンの株価ですが、主に3つのリスクに留意しておきたいところでしょう。

  1. 国内市場への依存
  2. 配当性向の高さ
  3. スーパー以外のインパクトも大きい

一つ目の「国内市場への依存」は、イオン自身が事業上のリスクとして表明しています。イオンWebサイトにおいては「事業などのリスク」としてさまざまなリスク要因を公表しています。

日本は長期で見ると少子高齢化で人口が減少する国であるため、今後食品をはじめあらゆるモノの需要が減少する恐れがあります。

資源の乏しい日本では、食品などにおいて輸入に頼る部分も多くなります。イオンのような内需主体の企業では円安や資源高が逆風要因となる可能性が懸念されます。

また、イオンは配当性向が高い傾向にあります。

最後に見落としがちなのがスーパー以外の事業インパクトの高さです。イオングループには商業施設の開発などをおこなうイオンモールや金融業をおこなうイオン銀行など、さまざまな業種の企業を傘下におさめています。

2023年2月期の決算においては、スーパーマーケットやディスカウントストアの売上貢献は3兆円程度で、その他に郊外型の大型店などが含まれるGMSが約3兆円、残り約3兆円がその他の細かいセグメントで構成されています。

スーパーマーケット単体の収益貢献は全社売上の1/3程度のため、スーパー以外の事業の影響を強く受けるリスクがあるのです。

コロナ禍にあった2021年2月期は、スーパーマーケットは先ほど紹介した通り安定した業績を実現しましたが、それ以外のセグメントの業績悪化により赤字となっています。実は、イオンの株価を考えるうえでは、スーパー以外の業績変化にも留意が必要でしょう。

参考資料 

宮野 茉莉子