3.「日本の公的年金制度」仕組みを理解しよう

「国民年金」や「厚生年金」という言葉自体を知っていても、その仕組みや自分が加入する年金がどちらなのか知らないという方もいるでしょう。

先ほど確認した70歳代の平均受給額で、老後に受け取る年金は「国民年金」と「厚生年金」で大きな差があることがお分かりいただけたと思います。

まだまだ先の老後のことにはなりますが、大切な年金制度について正しく理解しておきましょう。
日本の公的年金は2階建て構造と呼ばれています。

3.1 国民年金(1階部分)

2階建てのうち、1階部分は「国民年金」です。原則、日本に住む20歳~60歳未満の方が加入対象となります。

自営業やフリーランス、専業主婦(主夫)などの方は、将来、国民年金(老齢基礎年金)が受給できます。

国民年金の保険料は一律(年度ごとに見直しあり)のため、受給額に大きな差はありません。

3.2 厚生年金(2階部分)

2階部分は「厚生年金」です。会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入します。

厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与などの報酬によって決定するため個人差があります。この保険料と加入期間により老後の年金額が決定する仕組みです。

ご自身の年金に関する情報は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。ねんきん定期便は、毎年の誕生月に郵送されてくるので、年に1度、老後生活を考える機会としてご確認ください。

4. 貯蓄に見栄と無理は禁物

これまで貯蓄と年金のデータを見てきましたが、平均額では少し不安を覚えた方もいるのではないでしょうか。

貯蓄も年金額も急には増えるものではありませんが、ここではもう少し貯蓄について考えたいと思います。

筆者が前職の信用金庫時代に2000万円以上の貯蓄を保有する70歳以上の方には、たくさん出会ってきました。

みなさん見た目に派手なところはなく、お金を持っていると知らないとそう見えない方ばかりでした。

どちらかというと慎ましく暮らしている方がほとんどでした。

おそらく昔からそのように暮らしてきたから70歳以上になっても平均額以上の貯蓄を持って、老後を迎えられたのでしょう。やはり貯蓄するには、見栄と無理は禁物なのかもしれません。

5. まとめにかえて

今回は貯蓄2000万円以上の世帯について眺めてきましたが、達成している方は28.3%、約5世帯に1世帯という割合でした。

さらに今は物価上昇も続き、預貯金にお金があればそれで安心とも言えない時代がつづいております。

いつでも引き出せる預貯金にある程度のお金は必要ですが、低金利の時代ですので「運用」も取り入れながら効率良く資産を増やしていきたいものです。

まずは正しい知識を身に着けるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

山本 大樹