高齢者においても貯蓄の差は激しい
とはいえ、60、70歳代以上の世帯においても少ない貯蓄の中で生計を立てている方も多くいます。
前述の調査によると、60歳代・70歳代以上で貯蓄が100万円以下の世帯は約7~8%、100〜200万円の世帯は約3%、200〜300万円の世帯は約3%となっており、貯蓄が300万円未満の60歳代・70歳代以上の世帯は約15%です。
少ない貯蓄に加えて年金や生活保護、給与などでやりくりされている世帯も少なくないと考えられるでしょう。
「家計にゆとりはないが、心配なく暮らしている」高齢者が多数
内閣府「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」では60歳代以上の男女4000人を対象にした暮らしに関する調査結果が明らかにされています。
この調査において「経済的な暮らし向き」について質問したところ以下の結果になりました。
調査の結果、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答した人が最多で55.3%となりました。次いで、「家計にゆとりがなく、多少心配である」と回答した人が多い結果に。
また、「家計が苦しく、非常に心配である」と回答した人も7.4%おり、経済的に困窮した状況にある人も少なくないことが分かります。
一方で、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と回答した人は全体の1割程度という結果でした。
この調査の結果にも言えるように、高齢者=お金持ちであると一概にみなすことはできません。
貯蓄4000万円世帯のまとめ
少子高齢化の影響によって、高齢者の負担が年々増大することが予想されています。
若年層の中には「若者よりも高齢者の方が経済的にゆとりがある」といった見方をする人もいますが決してそういうわけではないようです。
また、近年では多くの人たちが働いていても経済的に厳しい状況にあることからも、年金世代をうらやむような声も少なくないでしょう。
4000万円以上の貯蓄を保有している世帯は60歳代がもっとも多いものの、多額の資産を保有する高齢者は限られています。
多くの高齢者が経済的ゆとりが全くないというわけではないものの、限られたお金の中でつつましく、かつ堅実に暮らしています。
この時期は旅行やレジャーにお金がかかり、家計を振り返るかたも多いでしょう。今回の統計を参考にしながら、ご家庭のマネープランを検討しましょう。
参考資料
西田 梨紗