2017年1月から、20歳以上60歳未満のほぼすべての人が加入できるようになった個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)。掛け金が全額所得控除の対象になるなどといった節税メリットが注目され、2017年8月には加入者数が62万人を突破しています。一方でなかなか最初の一歩を踏み出せない人もいるようです。一体なぜなのでしょうか。
「運用」するのがこわい
iDeCoでは加入者自ら掛け金を拠出し、運用する商品を選び、運用していきます。自身の運用成果が将来の受取額を左右することになるので「失敗したらどうしよう」と不安を感じてしまうというわけです。ですが「運用」といっても、必ずしもリスクのある商品を選ばなければならないというわけではありません。
iDeCoの運用商品は「元本確保型」と「元本変動型」に分けられます。
元本確保型とは、決められた金利で運用され、満期時に元本と利息を受け取ることができる商品です。「定期預金」「保険」がその代表的な商品となります※。
※中途解約をする場合には定期預金では中途解約利率が適用されて受け取る利息が少なくなったり、保険商品に関しては解約控除によって元本を下回るケースがあります。
「節税メリットは享受したいがリスクはとりたくない、損をしたくない」という方であれば、まずは定期預金を選んで積み立て、節税メリットを得るというのも一手です。
運用商品の選び方がわからない
定期預金は安全性が高い商品ですが、利率の低さが気になるという人もいるでしょう。また、iDeCoの節税メリットのひとつである「運用益が非課税」という点を生かすことや、iDeCo口座にかかる手数料、インフレリスクを考えて、元本変動型の商品である投資信託と組み合わせた運用をしたいという人もいるかもしれません。
ただ、どういう投資信託を選べばよいのか皆目見当もつかない、という投資初心者の人もいるようです。
投資信託には国内外の株式・債券に投資するものや、複数の投資対象を組み入れて運用を行うバランス型など、様々な種類があります。目指す運用の成果という観点では、インデックス型、アクティブ型にも分けることができます。
投資初心者なら、信託報酬が安いインデックス型の組み合わせからスタートするのはいかがでしょうか。なかなか選べないという人であれば、バランス型にしてしまうのも一つの方法です。
なお、途中で変更したくなった場合、iDeCoでは配分変更(毎月の掛け金で購入する商品の比率を変更すること)やスイッチング(運用している商品を売却し他の商品に買い替えること)もできます。
途中で引き出せないのが心配
iDeCoは老後に向けた資産形成を行うための制度です。だからこそ税制優遇もされています。老後の資産形成が目的ですので、原則として60歳まで引き出すことはできません。
それだけに「60歳までの間に急にお金が必要になったらどうしよう」という不安から二の足を踏む人もいます。
iDeCoではあくまでも老後のためのお金と割り切り、無理のない範囲で積み立てていくのも一つの考え方です。そう考えれば、半ば強制力を持って60歳まで積立と運用ができるこの制度のメリットをより多く得られるのではないでしょうか。
どの金融機関を選んでいいのかわからない
iDeCo口座を開設する金融機関を選べないという人もいます。検討のポイントは「口座管理手数料」と「商品ラインナップ(信託報酬)」です。
iDeCo口座を開設し、掛け金を積み立てていくときには、①国民年金基金連合会に支払う手数料(年間1,236円)、②事務委託先金融機関手数料(年間768円)③金融機関の運営管理手数料、という3つの手数料がかかります。
このうち①と②はどの金融機関で口座を開設しても必要ですが、③の運営管理手数料は無料のところもあれば月々数百円かかるところもあり、金融機関によって大きく異なります。特に定期預金メインで積み立てることを考えている場合は、手数料が安い金融機関を選ぶに越したことはありません。
一方、商品選びという観点から見ておきたいのは、ラインナップされている投資信託の信託報酬です(運用管理費用と表示されている場合もあります)。
信託報酬は、投資信託の運用や管理に対する手数料で、投資信託を保有している間、ずっと払い続けなければなりません。信託報酬の差は運用期間が長くなればなるほど大きくなり、運用成果にも影響を与えます。その点から考えれば、信託報酬が低い投資信託が多くラインナップされている金融機関を選ぶこともiDeCoの大きなポイントになってくるといえます。
まとめ
いかがでしたか? もしかすると一番大きな理由は「手続きが面倒」ということだったりするかもしれません。とはいえ、悩んでいるうちに時間は過ぎていってしまいます。積立では時間が大きな味方になってくれます。ぜひ第一歩を踏み出してみてください。
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LIMO編集部