3. 年金の損益分岐点は11年9ヵ月
年金の損益分岐点は「繰下げ期間」を「年金の増額率」で割ると計算できます。
仮に、年金の受給を67歳と75歳まで繰下げ受給した場合、損益分岐点は以下の通りです。
- 67歳:繰下げ期間(2年)÷増減率(16.8%)≒11.9
- 75歳:繰下げ期間(10年)÷増減率(84%)≒11.9
つまり、年金を受給してから11年9ヵ月が損益分岐点となります。
67歳の場合だと78歳9ヵ月、75歳だと86歳9ヵ月が損益分岐点です。
厚生労働省の「2021年簡易生命表の概況」によると、男性と女性の平均寿命は以下の通りです。
- 男性:81.47歳
- 女性:87.57歳
損益分岐点である11年9ヵ月を差し引くと、受給年齢はそれぞれ次の通りになります。
- 男性:81.47-11.9=69.57歳
- 女性:87.57-11.9=75.67歳
平均寿命をもとに考えると、男性は69歳、女性は75歳が損益分岐点でした。
年金をいつから受け取るか検討している場合は、損益分岐点を考えながら検討してみるのも良いでしょう。
4. 年金を受け取るタイミングは老後の生活で重要なテーマ
60歳代から70歳代の年金受給額を1歳刻みで解説しました。
年金をいつから受け取るかは、老後の生活において重要なテーマになります。
2019年5月22日に、金融庁のワーキンググループにおいて、寿命が尽きる前に保有資産が枯渇する「資産寿命ゼロ問題」をクローズアップされました。
今ある資産を切り崩す場合、年金をいくら増やせば資産寿命が伸ばせるかも検討しながら、年金を受給するタイミングを決定しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2021年簡易生命表の概況」
- 金融審議会市場ワーキング・グループ 「高齢社会における資産形成・管理」報告書
川辺 拓也