退職金は退職日で異なることも

しかし、退職日を自由に選ぶことができるのであれば、次のようなことができます。

例えば同じ方の場合、勤務期間を38年と1日とすることで、勤務年数は39年にできます(たとえ1日であっても、勤務年数は繰上げとし1年と計算します)。

同じように計算すると、39年間勤務した職場で退職金を2500万円受け取った場合の税額と手取り額を試算してみましょう。

20年を超えているので、800万円+70万円×(39年–20年)=2130万円

(収入金額2500万円–退職所得金額2130万円)×1/2=185万円

  • 所得税 185万円×5%=9万2500円
  • 復興特別所得税 9万2500円×2.1%=1942円
  • 住民税 185万円×10%(一律)=18万5000円

合計で、27万9442円が天引きされます。

2500万円の退職金があった場合、所得税や住民税の税金が引かれた上で、手取りが2472万558円となります。

たった1日退職日が遅くなるだけで、退職金の手取り額が変わってくるのです。

定年退職の場合はできないかもしれませんが、自己都合での退職の場合は、退職日を決めやすいです。

退職金の額面自体は変わらないのですが、税金の計算によって、手取り額が増えてしまうのです。

もちろん、退職日は手取りだけで考えることはできないのですが、このような方法があります。

退職金のまとめ

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退職金の手取りについて解説しました。

実際には、退職金を受け取る際も一部を年金形式で受取指定されている勤務先もあるので、全ての方がこの方法を利用できるかどうかわかりません。

退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税や住民税を計算するのですが、勤務先で退職の手続きをする際に、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、勤務先が税額を計算し、源泉徴収をしてくれるため、確定申告をする必要はありません。

一方、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、退職金等の支払い金額の20.42%の所得税や復興特別所得税が源泉徴収されます。

翌年、確定申告をすることで、所得税や復興特別所得税の精算がされます。

多くの場合、勤務先で「退職所得の受給に関する申告書」の記入や提出が求められるため、忘れないように提出しましょう。

また、退職した年の未払の住民税など未払のものがあれば、退職時に精算されることがあります。

退職前、退職時、退職後にもいろいろな手続きがあるので、しっかりと準備しましょう。

参考資料

香月 和政