児童手当拡充、出産費用の保険適用導入など「少子化対策」4つのポイント
では、次元の異なる少子化対策として2023年6月13日公表に公表されたこども未来戦略会議 「『こども未来戦略方針』案」より、その中身を一部ご紹介します。
児童手当の拡充
- 所得制限を撤廃(現行は特例給付と廃止がある)
- 支給期間について高校生まで(現行は中学生まで)
- 第3子以降に3万円
出産等の経済的負担の軽減
- 令和4年度第二次補正予算で創設された 「出産・子育て応援交付金」(10 万円)を制度化に向けて検討
- 2026年度を目途に出産費用(正常分娩)の保険適用の導入
- 妊婦が安全・安心に出産できる環境整備
「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設
- 月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付(「こども誰でも通園制度(仮称)」) を創設
高等教育費の負担軽減
- 授業料等減免及び給付型奨学金について、2024 年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層(世帯年収約 600 万円)に拡大
- 多子世帯の学生等に対する授業料等減免についてさらなる支援拡充(対象年収の拡大、年収区分ごとの支援割合の引上げ等)を検討
児童手当の拡充や高等教育費の負担軽減などが盛り込まれ、助かる子育て世帯も多いでしょう。
未就園児を預けられるようになれば、特に孤立化しやすい0~2歳児の育児期への対策として有効だと言えます。
一方で、平均年収が30年間上がらず、社会保険料が増え、私立大学の授業料が上昇傾向にある日本では、安心とは言いきれない面もあります。
誰にとっても時間と体力は有限。仕事と家事育児の両立対策を
「1人目の壁」の理由で挙げられていた通り、産前産後のギャップの大きさや、それまでのキャリアが断絶してしまうことに対する不安を抱える女性は多いです。
共働き社会でも女性がフルタイムで働く割合は増えておらず、それだけ「仕事と家事育児の両立」がいかに難しいかもわかるでしょう。
誰にとっても一日は24時間であり、また体力も気力も有限です。現状ではさまざまな葛藤を抱えながら、気力体力ともにすり減らし、無理をして働く女性も少なくありません。
「こども未来戦略方針」案でも仕事と育児の両立について触れていますが、今回の少子化対策に挙げられた内容とともに、無理なくキャリアを持続できる体制作りは優先度が高く、重要と言えるでしょう。
参考資料
- こども未来戦略会議 「こども未来戦略方針」案 (2023年6月13日公表)
- PRTIMES 【生める子どもの数は?出産のハードルがあがる人数と理由は?】ママ100人にアンケート調査
- 内閣府男女共同参画局「令和4年版 男女共同参画白書」
- 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
宮野 茉莉子