2. 年金受給開始の合図「老齢年金請求書」とは
老齢年金請求書は、年金の受給権がある人に対して「受給開始年齢に達する3カ月前」に送られる書類です。
「受給開始年齢の誕生日の“前日以降”」になると、必要事項を記入した老齢年金請求書と添付書類を年金事務所に提出できるようになります。
たとえば、7月15日に65歳の誕生日を迎える人の場合、4月中旬に年金請求書が届き、提出できるのは7月14日以降とタイムラグがあります。
その期間に紛失したり、出したつもりで忘れていたり、といったうっかりがないよう注意しましょう。
3. 老齢年金請求書が届いたら
ここからは、年金請求書が届いた時の注意点についてお話していきます。
3.1 記載内容に間違いがないか確認する
日本年金機構から老齢年金請求書が届いたら、まずは内容に誤りがないか確認しましょう。老齢年金請求書には、以下の項目が記載されています。
- 基礎年金番号
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 年金の加入記録
個人情報の確認はもとより、転職や結婚など加入する年金制度が変わるタイミングで手続きが漏れてしまうと年金の加入歴に空白期間ができるケースがあります。
年金の受給額に影響しますから、万が一記載内容に誤りや漏れがないかしっかり確認しましょう。不明点がある場合は、年金事務所に問い合わせを。
3.2 年金請求書の提出準備をする
記載内容に誤りがないことを確認したら年金請求書を記入していきます。
年金の受取口座やこれまでの年金の加入状況、現在の年金受給状況および雇用保険の加入状況などパッと思い浮かばない項目もあるかもしれませんが、記入例や注意事項をよく読み正確に記入しましょう。
また、年金請求書に添付する書類は人によって異なるため、誕生日までの間に必要な書類を揃えておくことも忘れずに。
不備なく年金請求書を提出し年金決定書と年金証書が届いた約2カ月後から年金の支給が始まるため、退職後の無収入期間をできるだけ短くしたい人は早めに準備を整えておきましょう。
3.3 年金請求書が届かない場合は問い合わせを
原則65歳になる誕生日の3カ月前に届くはずの年金請求書ですが、住所の誤りなどでまれに届かないケースがあります。
対象者のはずなのに年金請求書が届かない場合は、年金事務所に問い合わせましょう。
仮に老後も仕事を続けていれば年金を受け取らなくても生活に支障は感じないかもしれませんが、所定の手続きをせずに5年以上ほっておくと時効を迎えてしまいます。
時効になった分の年金は原則消滅してしまいますので、長年納めてきた年金保険料がむだにならないよう気をつけましょう。
4. まとめにかえて
年金の受給には申請が必要であること、申請をしてからも実際に口座に振り込まれるのは約2カ月程度かかることがわかりました。
給与という形で毎月あった収入がなくなる期間が生まれますから、毎月の支出✕最低2カ月分の現金預金は手元に置いておく必要があります。
年金生活に入る前に毎月の支出をきちんと知っておくこと、年金生活を見据え家計や資産を整えておくことも大切です。
後手にまわってあわてないよう、余裕をもった準備を心がけたいですね。
4.1 【ご参考】老齢年金にまつわるデータまとめ
参考資料
- 日本年金機構「年金の受給に関する届出・手続き」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和5年度版」
- 日本年金機構「受給資格期間」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 日本年金機構「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付 事前送付用)(記入例)」
尾崎 絵実