3. 厚生年金はみんな月平均でいくら受給してる?
参考までに、直近データである2021年度末時点での「厚生年金の支給額」も確認しましょう。
厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに見ていきます。
3.1 厚生年金(第2号~第4号)の年金総額
厚生年金保険は第1号~第4号にわけられます。
- 第1号厚生年金被保険者:第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者及び第4号厚生年金被保険者以外の厚生年金保険の被保険者
- 第2号厚生年金被保険者:国家公務員共済組合の組合員である厚生年金保険の被保険者
- 第3号厚生年金被保険者:地方公務員共済組合の組合員である厚生年金保険の被保険者
- 第4号厚生年金被保険者:私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者である厚生年金保険の被保険者
公務員を含む第2~第4号の年金総額は、下表の通りです。
一人あたりの受給額については第1号しか公表されていないため、参考までに下記で見ていきましょう。
3.2 厚生年金(第1号)の受給額
〈全体〉平均年金月額:14万3965円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3380円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4686円
※国民年金の金額を含む
3.3 厚生年金受給額ごとの人数
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
グラフを見る限り、幅広い受給額に分布しているのがわかります。
厚生年金は現役時代の働き方が大きく影響するため、男女差・個人差が大きくなるのです。
公務員は比較的安定した給与を受け取っているものの、最近では社会人枠として入職する方など、加入期間が短いケースもあります。
大卒と高卒では給与形態に違いがありますし、評価制度も導入されたため、個人による給与の差異は会社員と同じく開くことも予想されます。
4. 公務員も会社員も考えたい老後のお金
厚生年金へ統合されたものの、それまで払っていた分や新たな年金払い退職給付もあり、まだまだ公務員の年金は優遇されていると感じる方もいます。
ただし年金支給額を見てみると、「公務員と会社員の違い」というよりも、個人間格差が重要になると予想できます。
今の働き方が将来の年金額に影響することを踏まえ、キャリアについて考えるきっかけとしてみましょう。
誰にとっても「老後のお金」は重要になります。
公務員の約5割が資産運用を実施しているというデータからわかるとおり、将来を考えて着実に行動に移している方はいるようです。
年金の見込額を確認しつつ、不足する老後資金の準備方法について、一人ひとりが向き合う必要があるのではないでしょうか。
参考資料
- 文部科学省共済組合「共済年金は厚生年金に統一されます」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 株式会社バイアンドホールド「<調査>公務員の資産運用に関するアンケート調査 公務員の約5割が資産運用を行っていることが明らかに」
太田 彩子