ChatGPTのような生成系AIが急速に普及してきていますね。クリエイティブ分野ではもはや手作業よりもディレクションが重要になっています。2006年に起業してからプロダクトやウェブ、グラフィックなどさまざまなデザインに関わってきた私も一念発起、AIと協業してみることに。すると、なんと数時間でオリジナルデザインのレザーでバッグが出来てしまいました!

【クラフトワークでAIと共創!】個人でなんでもオートクチュールできる時代に

実際に試してみて感じたのは、「もう個人でなんでも作り出せる」ということ。必要なのは制作するためのツールや材料と加工の知識だけ。これらが揃えば1個からでもハイクオリティな製品を作って販売することができます。

今回は図案としてエジプトの壁画をモチーフに選びました。以前から好きだったのですが、自分でデザインするには時間がかかりすぎるためです。そのテイストを活かしながらの現代風アレンジがAI向きだからという理由もあります。

筆者撮影

使用したレザーはLASERSTYLEというショップで売っている合成皮革、通称シンセティックレザーです。この素材は、表面をレーザーで削ると2層目の金色が現れ、箔押ししたような見た目になる特殊な材料。レーザー加工したものは縁が焦げていたり、模様が必ず濃い色になってしまったりと一見それっぽく見えることがあります。私はそれがあまり好きではないので、できるだけレーザー加工の雰囲気が出ないように工夫しました。

筆者撮影

画像元:Laser Style公式サイト

シンセティックレザーの面白いところは削る深さの違いで風合いを変えられる点。今回は持ち手と本体の深さを変え、持ち手の方が最初からより年季が入っているように見せました。

筆者撮影

筆者撮影

ちなみに使ったAIはStable Diffusion。MacだとDiffusion Beeというソフトを使うとさまざまな方法で生成できて便利です。一人で作業しているにも関わらず、AIに50パターンくらい出させてイメージに近いものからさらに生成を詰めていったので、推敲の度合いで言えば大人数のチームで進めたデザインと遜色ない印象。こうしたディレクション力がAI時代に求められているんだなと感じました。

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