生命保険は遺産をめぐるトラブル防止としても有効

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生命保険の大きなメリットとして、「保険金の受取人を事前に指定できること」が挙げられます。

富裕層の中には、「自分の遺産で家族が揉めないだろうか」という不安を抱いている人が少なくありません。

実際に相続によるトラブルは年々増加傾向にあり、富裕層にとっては相続税と同様に軽視できない問題です。

「誰にどれくらいの財産を遺したい」という意向がある場合は、生命保険の活用が便利です。

生命保険は保険金の受取人を事前に指定できるため、相続人たちが自ら遺産の分け方を話し合う必要がありません。

生命保険は遺留分対策にも有効

事前に遺産の分け方を指定する方法として遺言を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、遺言では「遺留分」を請求されるケースもあります。

遺留分とは、「相続する遺産の最低保障額」のことです。

たとえば、遺言によって指定された遺産の分け方が極端に偏っていた場合、相続人は一定の遺産を受け取る権利として遺留分を主張することができます。

そのため、きちんと遺言を作成していたとしても、自分の思うようには遺産を遺せない可能性があるのです。

一方、生命保険で受け取った保険金については、原則遺留分を請求できないとされています。

これは、死亡保険金は相続財産ではなく「保険金受取人の固有財産」と考えられているためです。

保険の活用方法は多種多様

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保険は不測の事態の支出に備えるだけでなく、相続税対策や遺産トラブルの防止などさまざまな目的に活用できます。

一概に「保険は不要」と決めつけてしまうのではなく、自分のライフプランに活用できる機能や税制はないか、よく検討してみましょう。

参考資料

椿 慧理