6月からは大手電力会社で値上げが実施されるなど、家計への負担が高まっています。

「お金があれば」と考える方も多いでしょう。

気になる「富裕層」と呼ばれる方の生活について、今回は保険をテーマに解説します。

生命保険文化センターの「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、個人年金保険を含む生命保険の世帯加入率は89.8%となっており、高い水準を保っています。

出所:生命保険文化センター「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」

一般的に保険というと「不測の事態の支出に備えるもの」というイメージがありますが、潤沢な資産を持つ富裕層はどのような目的で保険に加入しているのでしょうか。

この記事では、富裕層の保険の活用方法について紹介します。

富裕層が活用している生命保険

多くの人が「ケガや病気にかかる医療費の備え」や「死亡したときに遺された家族の生活費の備え」として加入する保険ですが、富裕層は異なる目的で保険を活用することがあります。

ひとくちに保険といっても「医療・がん保険」「個人年金保険」「生命保険」「介護保険」といった多くの種類があり、この中で富裕層のマネー術に役立てられているのが「生命保険」です。

多くの方と同じように「遺された家族の生活費のために」生命保険に入られる富裕層もいます。

一方で、富裕層が生命保険に加入する目的の中には「相続税対策」と「遺産トラブル防止」があるケースもあります。

それぞれくわしく見ていきましょう。

生命保険には相続税の非課税枠がある

国税庁の「令和3年分相続税の申告事績の概要」によると、2021年の死亡者数のうち相続税が発生したのは9.3%でした。

出所:国税庁「令和3年分相続税の申告事績の概要」

被相続人1人あたりの納税額の平均は1819万円となっており、富裕層にとって相続税対策は避けて通れない問題です。

相続税の対策には生前贈与や不動産の活用などさまざまな方法がありますが、生命保険への加入もそのひとつです。

生命保険で受け取った死亡保険金は「500万円×法定相続人の人数」の非課税枠が適用され、課税対象の財産から差し引くことができます。

たとえば法定相続人が3人の場合、生命保険の非課税枠は「500万円×3人」の1500万円となり、1500万円までの保険金は相続税が課されません。

同じ金額を預貯金で遺した場合は相続税の課税対象となりますので、家族に遺すつもりの財産は生命保険として遺した方が税制メリットが大きいといえます。