配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。
株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。
よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。
今回はアサヒグループホールディングス(2502)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
1. アサヒグループホールディングス(2502)の配当金のリターンはいくらか
アサヒグループホールディングスの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2022年12月期の中間配当と、2022年12月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。
出所:アサヒグループホールディングス株式会社「2023年12月期 第1四半期決算短信[IFRS](連結)」
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年6月2日
- 株式の取得価格:4429円(取得日の終値)
- 2022年12月期・中間配当:55円
- 2022年12月期・期末配当:58円
- 100株ベースの配当金のリターン:1万1300円
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. アサヒグループホールディングスの株主優待のリターンはいくらか
アサヒグループホールディングスでは、毎年12月31日現在の株主名簿に名前が記載の100株以上保有の株主に対し、下記の条件で自社グループ商品の詰め合わせ等を贈呈しています。
- 100株以上500株未満 1000円相当のグループ商品詰め合わせ等
- 500株以上1000株未満 2000円相当のグループ商品詰め合わせ等
- 1000株以上 3000円相当のグループ商品詰め合わせ等
そのため、優待のリターンは1000円です。
出所:アサヒグループホールディングス株式会社 株主優待制度
3. アサヒグループホールディングスの株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年6月2日
- 株式の取得価格:4429円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年6月2日
- 1年後の株価の終値:5402円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:+9万7300円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:1万1300円
- 株主優待のリターン:1000円
- 株価変動によるリターン:+9万7300円
- トータル・リターン(金額ベース):+10万9600円
- トータル・リターン(%ベース):+24.7%
トータル・リターンは金額ベースで+10万9600円でした。
4. アサヒグループホールディングスの配当金の推移を確認
アサヒグループホールディングス株式の年間リターンは+24.7%でした。
最後にアサヒグループホールディングスの配当金の推移を確認しましょう。
出所:アサヒグループホールディングス株式会社 配当情報(1株当たり配当金推移)
配当金・株主優待・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。
配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。
参考資料
- アサヒグループホールディングス株式会社「2023年12月期 第1四半期決算短信[IFRS](連結)」
- アサヒグループホールディングス株式会社 株主優待制度
- アサヒグループホールディングス株式会社 配当情報(1株当たり配当金推移)
石井 僚一