2022年12月16日に発表された「令和5年度税制改正大綱」を受けて、未成年の非課税制度である「ジュニアNISA」は2023年末で廃止されることが決定しました。

2023年は新規口座開設・新規投資が可能であることから、駆け込み利用をするか悩んでいる人もいるかもしれません。

この記事では、2023年にジュニアNISAを利用する際の注意点を解説します。

NISA制度は2024年から大きく改正

2024年度の税制改正により、NISA制度は大きく改正されることが決定しています。

成人のNISAについては、制度の恒久化や非課税投資枠の拡大など抜本的な拡充が行われる一方、ジュニアNISAについては2023年で廃止されることとなりました。

ただし制度廃止に伴い、利便性が向上した面もあります。

現行のジュニアNISAでは子供が18歳になるまで引き出しができない払い出し制限がかけられていますが、2024年以降は年齢にかかわらず非課税での引き出しが可能です。

2023年のジュニアNISAを利用する際に気を付けたいこと

ジュニアNISAは2023年末で廃止されることが決定していますが、2023年内は新規口座開設や新規投資を行えます。

出所:金融庁「ジュニアNISAの概要」

そのため、「2023年分だけでも利用した方がいいのだろうか」と考えている人も多いでしょう。

たしかに、非課税で投資ができることや払い出し制限が解除されたことは大きなメリットです。

しかし、2023年のジュニアNISAを利用する際は、これから紹介する2つの点に注意する必要があります。

ジュニアNISAのデメリット1. 投資のタイミングを分散できない

ジュニアNISAを利用して非課税で新規投資ができるのは2023年内だけであるため、買付のタイミングを分散することができません。

仮に積立投資で買付を行っても数ヶ月の分散に留まるため、それほどリスクの低減効果があるとはいえないでしょう。

出所:金融庁「ジュニアNISAの概要」

そのため、ジュニアNISAで買い付けた商品で利益が出るかどうかは、購入時の価格水準が重要となってきます。

仮に2023年が高値圏だったとすると、含み損を抱えることも覚悟しておかなければなりません。

ジュニアNISAのデメリット2. 成人NISAへの移管ができない

現行のジュニアNISAでは、子供が18歳である年の1月1日に自動でNISA口座が開設される仕組みとなっています。

出所:金融庁「ジュニアNISAの概要」

この際に「つみたてNISA」と「一般NISA」のどちらを開設するか選択しますが、一般NISAを選んだ場合はジュニアNISAで保有している商品を成人NISAの口座へ移すことが可能です。

しかし、2024年以降は成人NISAの自動開設や、成人NISA口座への移管が行われず、課税口座へ払い出しされることとなっています。

18歳以降は非課税で保有できないため、課税口座へ移したくない場合はそれまでに売却しなければなりません。

「いずれは成人NISAに移して、子供本人に管理を任せたい」と考えている人は、その選択肢がなくなる点を理解しておきましょう。

目的が「教育費を貯める」なのであれば、学資保険などの貯蓄性が高い保険を利用するのもひとつの方法です。

学資保険は教育資金の準備に特化した保険のため、途中で解約しない限り計画的に貯蓄できるメリットがあります。

加えて、保険料の払い込み中に親が亡くなってしまった場合、それ以降の払い込みが免除されることも安心できるポイントです。

「教育資金を貯めつつ、万が一のことにも備えたい」と考える方は、学資保険を検討してみるのもよいでしょう。

ジュニアNISAを利用する際は注意点をよく理解しておこう

ジュニアNISAは2023年の年内まで新規口座開設・新規投資を行うことが可能です。

しかし、駆け込み利用をする場合は「投資のタイミングが分散できないこと」や「成人NISAへ移管できないこと」をあらかじめ理解しておきましょう。

教育費を貯めるということが目的の場合、この他にも学資保険など選択肢があります。

それぞれのデメリットや注意点を理解し、対策を講じることが大切です。

参考資料

椿 慧理