2023年5月16日に開催された、アルフレッサ ホールディングス株式会社2023年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:アルフレッサ ホールディングス株式会社 代表取締役社長 荒川隆治 氏
アルフレッサ ホールディングス株式会社 取締役副社長 岸田誠一 氏
2023年3月期決算説明
荒川隆治氏(以下、荒川):みなさま、こんにちは。アルフレッサ ホールディングス株式会社の荒川隆治です。平素は格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
5月15日に2023年3月期決算発表を行いましたが、本日はより多くの方にご視聴いただくため、Webライブ配信形式で決算説明会を開催させていただきます。よろしくお願いします。
はじめに、副社長の岸田から2023年3月期の業績について、次に私から主な取り組みと業績予想、そして今回は新たに策定したアルフレッサグループ中長期ビジョンについてご説明します。
連結損益計算書
岸田誠一氏:こんにちは。アルフレッサ ホールディングスの岸田です。2023年3月期の連結損益計算書からご説明します。
2023年3月期の売上高は前年比4.3パーセント増加の2兆6,960億円、売上総利益は2.5パーセント増加の1,920億円となりました。売上比は7.12パーセントで、前年より0.13ポイント低下しました。
販管費は2.2パーセント増加の1,619億円、営業利益は3.6パーセント増加の301億円、売上比は1.12パーセントで、増収増益となりました。経常利益は0.8パーセント増加の328億円、当期純利益は19.9パーセント減少の257億円でした。
医療用医薬品等卸売事業が大幅に増収となったことで、粗利が増加しました。一方で、運送費、光熱費等の販管費は増加しましたが、結果は増益となりました。
なお、特別利益に投資有価証券売却益として、93億円を計上しています。特別損失に独占禁止法関連損失引当金繰入額として9億円を計上しています。ROEは5.4パーセントです。
当初予想に対する達成率は、スライドの表、一番右の列に記載のとおり、売上高は103パーセント、営業利益は102.2パーセント、当期純利益は121.6パーセントの達成となり、先日、上方修正のリリースを行いました。
配当については、配当方針の純資産配当率(DOE)2.4パーセントに基づき、年間配当57円とし、設立以来の連続増配を継続しています。
連結貸借対照表
貸借対照表についてご説明します。2022年3月末と比較し、資産合計は358億円増加の1兆3,398億円となりました。
主な増加要因として、資産の部は流動資産が180億円、固定資産が178億円増加しています。流動資産は、売上増加に伴い売上債権が211億円増加した一方、現預金が203億円減少しています。固定資産は、有形・無形固定資産の取得により131億円増加しています。
負債の部では、売上増加に伴い仕入債務も250億円増加しました。また、純資産は165億円増加し4,883億円、自己資本比率は36.4パーセントとなりました。
連結キャッシュ・フロー
続いて、連結キャッシュ・フローです。営業活動によるキャッシュ・フローは130億円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは205億円の減少、うち物流センター、営業支店の新設等、固定資産の取得による減少が254億円です。一方、投資有価証券の売却によりプラス105億円です。
フリー・キャッシュ・フローは74億円の減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは129億円の減少、うち配当金の支払いは111億円でした。この結果、キャッシュは203億円減少し、期末残高は1,587億円となりました。
医療用医薬品等卸売事業
セグメント別の営業損益についてご説明します。まず、医療用医薬品等卸売事業の業績です。売上高は、前年比4.7パーセント増加の2兆3,953億円です。売上総利益は2パーセント増加の1,409億円となり、売上比は前年から0.16ポイント低下して5.88パーセントとなりました。
販管費は0.6パーセントの増加に留まり、1,139億円となりました。営業利益は8.6パーセント増加の269億円、売上比は前年から0.04ポイント上昇し1.13パーセントとなりました。予想に対する達成率は103.7パーセントとなっています。
医療用医薬品市場は2.9パーセント成長の中、当社の売上高は、メディカル品も含め4.7パーセント増加しました。市場の伸長や入札指名停止期間の終了、メディカル品への注力等による増収と、流通改善等による売上総利益率の維持および販管費の抑制に努めた結果、増収増益となりました。
売上構成比・妥結率
カテゴリー別の売上構成比はご覧のとおりです。新薬創出加算品と特許品・その他を合わせると、構成比が73.3パーセントとなり、前年に引き続き取り扱いが大幅に増加しています。
長期収載品は14.2パーセント、後発医薬品は12.5パーセントの売上構成比になっています。期末時点での価格妥結率は、金額ベースで99.6パーセントとなっています。
セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業の業績です。売上高は前年比0.8パーセント増加の2,466億円、売上総利益は3.1パーセント増加の247億円、売上比は10.05パーセントで前年より0.22ポイントアップしました。
販管費は2.3パーセント増加の226億円、営業利益は12.9パーセント増加の21億円、売上比は前年より0.1ポイントアップして0.86パーセントとなりました。予想に対する達成率は111.1パーセントです。
新型コロナウイルス感染予防関連商品の需要の落ち込み等の一方、インバウンド需要の回復や、利益・コスト面の管理を徹底したことなどにより、増収増益となりました。
医薬品等製造事業
医薬品等製造事業です。売上高は前年比3.6パーセント増加の490億円、売上総利益は0.3パーセント減少の125億円、販管費は13.1パーセント増加の121億円、営業利益は4億円となりました。
長期収載品の承継品の売上伸長、および新型コロナウイルス抗原迅速検査キットの需要拡大の一方で、減価償却費やALS治療薬に係る契約一時金の支払いなどの経費増により、増収減益となりました。
医療関連事業
最後は、医療関連事業および調剤薬局事業の業績です。売上高は前年比5パーセント増加の362億円、売上総利益は6.1パーセント増加の137億円、販管費は5パーセント増加の133億円、結果として営業利益は3億円の増収増益となりました。
薬価改定に伴う減収の一方、連結子会社のアポクリートによる同社の非連結子会社からの事業譲受、技術力獲得の強化などによる増収とコスト低減により、利益改善を図りました。以上が、2023年3月期決算の概要です。私からのご説明は以上です。
アルフレッサ ホールディングス(株)の機構改革
荒川:引き続き、荒川より「22-24 中期経営計画」の取り組み状況をご説明します。アルフレッサ ホールディングス株式会社では、2023年4月1日付で機構改革を行いました。この機構改革により、グループガバナンス体制のさらなる整備と強化を推進しつつ、グループシナジーの発揮により、基盤事業の強化、および成長事業や新規事業の拡大を進め、「22-24 中期経営計画」の目標達成を目指します。
医療用医薬品等卸売事業における新規事業開発
医療用医薬品等卸売事業における新規事業開発についてご説明します。アルフレッサ ホールディングス株式会社は、2022年11月に地域医療連携の推進を目的とする新会社、株式会社ゲッカワークスを設立し、医師向け会員制Webサービス「ドクシル」の実証実験を開始しました。
「ドクシル」は実名医師の専門性データ、全国の医療機関データを活用することで地域の医師や遠隔地の専門医同士をオンラインでつなぐ、医師向けの会員制Webサービスです。このサービスにより地域医療連携の推進を支援し、ヘルスケアに携わる方々を「つなぐ」私たちの活動を新たなステージへと進め、地域医療構想の実現に貢献していきます。
再生医療事業分野のサプライチェーン構築①
再生医療事業分野のサプライチェーン構築についてご説明します。アルフレッサ株式会社は再生医療等製品の安定供給に貢献するため、2022年4月に新会社としてセルリソーシズ株式会社を設立しました。同社は「細胞の抽出・加工」から「再生医療等製品の製造」までの事業を行うことを目指しています。
また、他家細胞を抽出・加工し、再生医療等製品の中間製品であるマスターセルの保管を行う細胞培養加工施設として「郡山Cell Processing Center」を建設し、2023年3月より稼働を開始しました。
再生医療等製品の中間製品であるマスターセルを安定供給することで、創薬を行う製薬企業をサポートし、再生医療等製品の安定供給に貢献していきます。
再生医療事業分野のサプライチェーン構築②
さらに、アルフレッサ株式会社がヒューマンライフコード株式会社、東京大学医科学研究所附属病院、ロート製薬株式会社とともに推進するプロジェクト「国産かつ備蓄可能な臍帯から希少難治性疾患の患者さんの命を紡ぐ国産国消型プラットフォームの社会実装」が内閣府主催の「第5回日本オープンイノベーション大賞」の厚生労働大臣賞を受賞しました。
有効な治療手段の開発が進まず、苦しんでいる希少難治性疾患の患者さまにとって生きる希望となりうる再生医療において、海外依存度が高く制約を抱える日本の実態を変えるべく、再生医療の原材料としての臍帯(へその緒)のポテンシャルに着目し、「国産国消型の細胞医療プラットフォーム」の社会実装を目指していきます。
原材料としての臍帯の調達から臍帯由来間葉系細胞の製品化に向けた大量培養、同細胞製品の医療機関への輸配送から販売に至るまで、一気通貫のサプライチェーンの座組を構築しました。
この細胞製品を用いて、有効な治療手段がない複数の難治性疾患に対する治験を実施しています。再生医療等製品として薬事承認を取得し、医療現場での実用化を目指します。
九州エリアにおける事業基盤の強化
九州エリアにおける事業基盤の強化についてご説明します。弊社は九州エリアにおける事業基盤の強化を目的として、2023年2月に株式会社宮崎温仙堂商店を完全子会社としました。
九州エリアにおいて弊社グループが持つ従来の市場に加え、新たな商圏を得ることにより、エリアシェアの拡大が実現できるとともに、大規模災害などへの対応力向上を通じて地域医療に貢献するなど、企業価値のさらなる向上を目指します。
また、アルフレッサ株式会社が株式会社宮崎温仙堂商店との間で、医薬品等の流通に関する業務提携契約を締結しました。これにより、医療用医薬品等卸売事業における仕入・物流・情報システムなどの機能の充実や、災害時のBCPなどの強化につながると考えています。
製造事業における新規開発医薬品
続いて、製造事業における新規開発医薬品についてご説明します。アルフレッサ ファーマ株式会社は、株式会社ケイファーマとの間で、創薬研究による治療薬の候補化合物としてのロピニロール塩酸塩の日本国内における開発権・製造販売権許諾契約を締結しました。
ALSは重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患であり、日本国内には約1万人の患者さまがいます。日本国内では特定疾病に認定された指定難病であり、アンメットメディカルニーズの高い疾病です。
アルフレッサ ファーマ株式会社は、治療の新たな選択肢として、新規開発医薬品を患者さまに1日でも早くお届けできるように取り組んでいきます。
製造事業セグメント内の合併
製造事業セグメント内の合併についてご説明します。医薬品の製造・販売に加え、診断薬・医療機器・医薬品原材料の製造・輸出入・販売に強みを持つアルフレッサ ファーマ株式会社が、医薬品・医薬部外品などの受託製造に強みを持つサンノーバ株式会社と合併し、2023年4月に「新生」アルフレッサ ファーマ株式会社としてスタートしました。
これまでの両社の強みを活かし、医薬品や医療機器などの製造販売および製造受託分野において、新たな価値の創造を通じた顧客満足を追求します。
『ダイバーシティ』を中心とした人財戦略の推進
続いて、ESG課題への取り組みとして、「ダイバーシティ」を中心とした人材戦略の推進についてご説明します。アルフレッサグループでは、「働きやすい環境と健康増進」を掲げ、社員の健康確保・増進、組織の活性化、および生産性の維持向上に向けた取り組みを進めています。
2023年3月にサンノーバ株式会社が子育てサポート企業として、厚生労働大臣より「くるみん認定」を取得しました。また、「健康経営優良法人2023」の認定を、アルフレッサグループのうち11社が取得しました。
弊社グループはこれからも健康経営に積極的に取り組み、社員の健康と生産性の向上の両立を実現し、働きがいのある職場作りを推進していきます。
連結業績予想
続いて、2024年3月期の業績予想です。まずは、2024年3月期の連結業績予想です。詳しくはお手元の資料でご確認ください。
医療用医薬品等卸売事業
セグメント別の業績予想についてご説明します。医療用医薬品等卸売事業では、1.5パーセントの市場伸長(クレコン予測)に加え、一部メーカーの限定流通の獲得などにより、1.9パーセントの増収の計画です。
物流センターへの投資による減価償却費など、販売管理費の増加はありますが、適正価格での販売を継続し、増益を見込んでいます。
セルフメディケーション卸売事業
続いて、セルフメディケーション卸売事業です。セルフプリベンション商品と専売メーカーの販売に注力し、引き続き利益とコストの管理を徹底することにより、増収増益を見込んでいます。
医薬品等製造事業
医薬品等製造事業です。販管費は株式会社ケイファーマとの提携に伴い、契約一時金等の経費の増加を予定していますが、原薬製造および受託製造の増加などによる増収増益を見込んでいます。
医療関連事業
最後のセグメントは医療関連事業(調剤薬局事業)です。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関の受診抑制からの回復や、技術料獲得に伴う増収効果はあるものの、薬価改定の影響等により、減収減益を計画しています。
アルフレッサ ホールディングス(株)の新体制
5月15日開催の取締役会において、代表取締役の異動を内定しました。新たに岸田誠一氏と福神雄介氏が代表取締役に就任予定です。経営環境が変化する中で、企業価値向上に向け、代表取締役を3名として経営体制の強化を図ります。
社外監査役には、新たに木﨑博氏が就任予定です。なお、神垣清水氏は退任されます。
6月27日に開催する株主総会、およびその後の取締役会において決議・選任されることを前提に、スライドに示したとおりの新役員体制となる予定です。新体制に対し、ますますのご指導とご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。以上をもちまして、弊社からの決算説明を終わります。
「アルフレッサグループ中長期ビジョン」全体像
引き続き、この度新たに策定した「アルフレッサグループ中長期ビジョン」についてご説明します。まず、「アルフレッサグループ中長期ビジョン」の全体像についてです。中長期ビジョン目標の達成のために、事業戦略、財務・資本戦略、ESG戦略があります。
1つ目の事業戦略では、基盤事業の収益性強化および成長事業・新規事業の収益拡大による利益成長を目指します。
2つ目の財務・資本戦略では、「22-24 中期経営計画」期間においてDOE2.4パーセント以上、そして以後も段階的に向上させたいと考えています。また、今年度は過去最高水準となる350億円の自己株式取得を行い、以後も機動的に実施する予定です。
3つ目のESG戦略では、「環境」においてCO2排出量削減・効率化推進、「社会」において人的資本への積極的投資、「ガバナンス」においてコンプライアンス遵守の徹底を引き続き実施します。
「アルフレッサグループ中長期ビジョン」策定の背景
続いて、「アルフレッサグループ中長期ビジョン」策定の背景についてご説明します。弊社株価が2020年以降、PBR1倍割れで推移していることを課題として認識しています。
そこで、魅力ある成長戦略の策定と実行を通じて収益水準の回復に向けた対応を行い、さらなる資本効率向上に向けたB/Sコントロールの強化が重要だと考え、「環境変化を踏まえた基盤事業および成長・新規事業の利益拡大」と、「最適資本構成を見据えた財務・資本戦略」の策定に至りました。
「アルフレッサグループ中長期ビジョン」の位置づけ
「アルフレッサグループ中長期ビジョン」の位置づけは、スライドに記載のとおりです。弊社の経営の原点である企業理念が最上位にあります。続いて、弊社グループのサステナビリティ基本方針があります。この基本方針を前提において、アルフレッサグループのなりたい姿を策定しています。「アルフレッサグループ中長期ビジョン」はここに位置づけられます。
時系列としては、昨年発表した「22-24 中期経営計画」の延長線上に、この「アルフレッサグループ中長期ビジョン」があります。中でもスライド下部に記載されている①『事業モデルの強化』と『新たな価値の創造』、②『グループ一体となった取り組み』による地域の健康・医療への貢献が、今回の事業戦略に整合する部分となっています。
目指す目標の達成に向けたロードマップ
目標の達成に向けたロードマップについてです。2032年度までに目指す目標は、売上高が4兆円、営業利益が700億円以上です。ROEについては、本中期経営計画期間中に利益率を向上し総資本回転率を改善することで、資本コストより上回ることを目指します。年度ごとに段階的に向上させながら、2032年度までにROE8パーセント以上を目指します。
今年度のDOEは設立20周年の記念配当10円を含んで2.8パーセントとなり、350億円の自己株式取得を行うことで、本中期経営計画期間中の総還元性向を100パーセントとしています。以後もDOEを段階的に向上させ、自己株式取得においては機動的な実施の継続を目指します。
なお、総投資額は本中期経営計画の3年累計で1,200億円、2025年以降の8ヶ年で3,200億円を計画しています。
【事業戦略】社会価値創造ストーリー
事業戦略についてご説明します。弊社の強みは、医療用医薬品等卸売事業にあります。社会価値の創造を目指す中、その価値創造の源泉としてこの事業で培ってきたお取引先さまとの強固な信頼関係、高機能な物流インフラ、豊富な人的資本があります。
それを基に基盤事業の強化、成長事業の育成、新規事業の開発を行います。さらにデジタイゼーション、デジタライゼーション、そしてデジタルトランスフォーメーションを展開することで、トータルサプライチェーンサービスを強化・拡大していきます。
その上で、患者さまの治療やお客さまの健康・予防、クオリティ・オブ・ライフの向上を通じた健康寿命の延伸に尽力します。また、医療従事者の働き方改革や医療機関の経営効率化、地域包括ケアシステムなどで地域医療へ貢献したいと考えています。加えて、国内外の企業への製造・流通・新たなサービスによる貢献であるヘルスケア・イノベーションによって、社会価値の創造につなげていきます。
【事業戦略】事業ポートフォリオ拡大・変革のイメージ(売上高)インオーガニック成長含む
こちらのスライドは事業ポートフォリオ拡大・変革のイメージです。社会価値創造を目指してトータルサプライチェーンサービスの強化と拡大を推進し、事業ポートフォリオを拡大し変革していきます。
「22-24 中期経営計画」期間では、医療用医薬品等卸売事業をはじめとする基盤事業を強化し、メディカル品やセルフプリベンション商品などの成長事業を育て、新規事業を開発します。
「アルフレッサグループ中長期ビジョン」期間では、医療用医薬品等卸売事業の強みを活かして、医療用医薬品等卸売事業の市場シェア27.5パーセントを目指します。そして基盤事業を2兆4,500億円から3兆円へ、成長事業を2,500億円から8,500億円へ、新規事業を1,500億円規模にしたいと考えています。
【事業戦略】中長期に目指す事業領域とシナジー (トータルサプライチェーンサービスの強化・拡大)
次に、トータルサプライチェーンサービスの強化と拡大を通じた中長期に目指す事業領域とシナジーをご説明します。医薬品等製造事業では、新しい医薬品の開発を行います。また、国内外の研究開発型企業やバイオベンチャーを含むメーカーなどが行う日本での臨床試験から、高薬理活性製剤を含む製造までの受託を行います。
広範囲なエリアをカバーする医療用医薬品等卸売事業では、メディカル品・スペシャリティ医薬品・再生医療等製品などを安心・安全・誠実に流通させます。すでに製造事業に取り組んでいるメーカーとしてのPMSのノウハウを活かして、企業セグメントを超えたシナジーを発揮し本事業を推進します。また、ヘルステックに関する商品のご購入やサービスのご利用、データの2次的利活用などで既存事業の収益性を高めることにも積極的に取り組みます。
セルフメディケーション卸売事業では、セルフプリベンション商品の拡大を行います。ここでもデータビジネスを成長させ、ニューチャネルなどの成長領域を拡大していきたいと考えています。
弊社グループには調剤薬局事業を行う医療関連事業もあり、ビューティーやアニマル、調剤センターなどの新規事業を進めることも考えています。最終的には、患者さまや医療従事者、メーカーなどのお客さまへの価値提供につなげていきます。
【事業戦略】22-24中計と中長期ビジョンにおける投資
続いて、「22-24 中期経営計画」と「アルフレッサグループ中長期ビジョン」における投資についてです。「22-24 中期経営計画」期間中は、事業継続投資、M&A・新事業領域投資、システム・DX投資で1,200億円を計画しています。
その後の8年間ではさらなる成長に向けて、総額3,200億円の投資を予定しています。内訳は設備投資などの事業継続投資で300億円、M&A・新事業領域投資で2,500億円、システム・DX投資で400億円を計画しています。
【財務・資本戦略】中長期的に目指すB/Sイメージ(最適資本構成)
財務・資本戦略についてご説明します。まずは中長期的に目指すB/Sイメージです。資本効率と安全性を両立した中長期的な最適資本構成に向け、B/Sコントロールを実施します。手元流動性は現状水準を維持、政策保有株式は縮減、資金調達は負債活用も検討して純資産の積み上がりを抑制し、8パーセント以上のROEを目指します。
【財務・資本戦略】22-24中計キャッシュ・アロケーション
「22-24 中期経営計画」におけるキャッシュ・アロケーションはスライドに記載のとおりです。アロケーションの優先順位は、①営業キャッシュ・フロー、②政策保有株式等の資産売却、③負債活用となります。それらを原資に、事業継続投資や成長投資などの投資計画や株主還元を遂行します。
【財務・資本戦略】政策保有株式の縮減
政策保有株式の縮減についてご説明します。政策保有株式の縮減は以前から積極的に取り組んできましたが、引き続き「22-24 中期経営計画」期間においても、純資産比率10パーセント未満へ向けた縮減を進め、中長期的にさらなる縮減を目指します。
【財務・資本戦略】株主還元の強化
最後に、株主還元の強化についてご説明します。1株当たり配当額・DOEについては設立以来、19期連続増配の実績があります。今後も持続的・安定的な配当水準の向上を重視し、DOEを段階的に向上させたいと考えています。一方、自己株式取得については、最適資本構成を見据えて、機動的な自己株式取得を実施します。以上、「アルフレッサグループ中長期ビジョン」についてご説明しました。
荒川氏からのご挨拶
弊社を取り巻く環境は厳しくなっていますが、医薬品を安心・安全・誠実にお届けする社会インフラを担う企業として、今後も新たな価値創造に向けて取り組んでいきます。みなさまの絶大なるご支援をよろしくお願いします。ご清聴、誠にありがとうございました。