老後の生活資金の柱になるのが厚生年金。
今年金を受け取っている世代では、現役時代に夫が働き、妻は専業主婦という家庭が多い時代でした。そのため、夫の厚生年金が生活の中心になっている方が多いでしょう。
2023年度の年金は3年ぶりに引き上げられる予定で、その初回支給日が6月15日に迫っています。
今回は男性の国民年金と厚生年金の受給額について解説していきます。
【注目記事】6月支給の「厚生年金と国民年金」から天引きされる5つのお金は何か
1. 国民年金と厚生年金で月15万円もらえる男性は何%?
日本の公的年金は2階建て構造になっています。
1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金です。
1階部分である国民年金の場合、受給額に多少の差はあるものの、大きな差は生じません。
一方で、厚生年金は「会社員や公務員として働いた期間」の長さや収入によって受給額が大きく異なります。
では、目安として厚生年金を合計で月15万円受け取る男性はどれくらいいるのでしょうか。
厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、2021年度末時点での直近データを確認しましょう。
なお、本資料では厚生年金に国民年金の金額も含まれるため、本記事でも同様とします。
厚生年金を月額15万円以上受け取っている男性の割合は、64.2%。
一方で、女性で厚生年金の受給額が15万円以上の人は、9.3%と少数派です。
男性の方が現役当時の賃金が高く、加入期間も長い傾向にあるため、厚生年金を多く受け取っていることがわかります。
2. 「年金生活に向けて」高齢者の支出はどれくらい?
年金収入と同時に確認しておきたいのが、将来の支出についてです。
ここでは、現在の高齢者の支出について確認しておきましょう。
例えば、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」という調査によると、高齢夫婦無職世帯の支出平均額は26万8508円となっています。
一方、高齢者単身世帯の支出平均は15万5495円です。
このうち、税金や保険料などの「非消費支出」が1万2356円も占めていることから、年金等の収入から手取り額がさらに減ることがわかります。
老後は医療費や介護費などもかかるため、現役時代にはかからなかった支出も多いでしょう。
老後の収入は年金が中心となっている方も多いため、貯蓄を毎月取り崩しながら生活する可能性も高いです。
3. 厚生年金を増やす方法はあるか
厚生年金を増やしたいと考えた場合、どのような方法があるのでしょうか。
具体的に解説します。
3.1 共働きする
専業主婦(夫)世帯や扶養内パートの場合、厚生年金は一人分となります。もし共働きをすれば、二人分の厚生年金を受け取ることができます。
一人で15万円を受け取るには多くの収入を得る必要がありますが、二人で働くことで厚生年金を増やすことが可能です。
3.2 長く働く
厚生年金は支払った保険料によって支給額が決まります。
長く働いて保険料を払う期間が長くなれば、その分受け取れる年金額も多くなります。
具体的には、定年退職後も継続雇用や再雇用などで働くことができれば、年金を増やすことができるでしょう。
3.3 給料を増やす
会社員や公務員の場合、給料が増えれば支払う社会保険料の金額も大きくなります。
厚生年金は保険料の額に応じて増えていきますので、給料やボーナスが増えればその分厚生年金の支給額も増えていきます。
キャリアアップの転職や昇進、あるいは会社での活躍でボーナスを増やして収入アップできれば、将来の年金も増えていきます。
3.4 繰り下げ支給する
年金は原則65歳から受給開始となりますが、1月繰り下げるごとに0.7%支給額が増えます。
仮に上限の75歳まで繰り下げると、84%も年金を増額することができるのです。
ただし、早期に亡くなると総支給額が減ることや、収入が増えることで税金や保険料の負担が増えるなど、一定のデメリットもあるため注意が必要です。
4. 厚生年金は増やすことができる
厚生年金は、働き方や働く期間で増やすことができます。
月額15万円以上の年金を受給している男性は、64.2%。ただし、15万円で老後を過ごすことができるかは、個人で感じ方が異なるでしょう。
まずは厚生年金の仕組みを知り、ライフプランを立てることで豊かな老後を目指すことができます。
厚生年金の受給額アップ、あるいは老後に向けた資産形成について、じっくりと考えておきましょう。
今はiDeCoやNISAなど、税制面でもメリットの高い制度があります。企業年金や個人年金保険などで、公的年金以外の年金をつくるのもひとつでしょう。
自分にとって最適な方法について、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
太田 彩子