配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。
株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。
よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。
今回は商船三井(9104)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
【注目記事】三井物産(8031)の株「1年前に買った人」のトータル・リターンは約15万円に。その内訳は【配当金・株価】(2023年5月第4週)
1. 商船三井の配当金のリターンはいくらか
商船三井の株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と、2023年3月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年5月23日
- 株式の取得価格:3459円(取得日の終値)
- 2023年3月期・中間配当:300円
- 2023年3月期・期末配当:260円
- 100株ベースの配当金のリターン:5万6000円
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. 商船三井の株主優待のリターンはいくらか
商船三井は決算期(3月31日)現在、100株以上保有する株主に向けて、3月期・9月期に「にっぽん丸」クルーズの優待割引券を提供しています。
株数に応じて、3月期分は7月1日~翌6月30日までの1年間・9月期分は1月1日~12月31日の1年、10%(例外あり)の割引優待券(1クルーズ一人様2枚まで利用可能)の利用ができます。
また9月期にフェリーサービス「さんふらわあ」の優待割引券も提供しています。株数に応じて、毎年1月1日~12月31日の1年間、大人運賃から1名1乗船(片道)につき、5000円割引となります。
今回は試算のため、2023年5月31日出港の「にっぽん丸神戸・金沢クルーズ」で客室タイプ「スタンダードステート」を利用の場合を考えると9万4000円となり、概算で1枚9400円の経済価値と想定します。
また「さんふらわあ」の優待割引券にも5000円の想定経済価値があります。
そのため、優待のリターンは4万2600円です。
3. 商船三井の株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年5月23日
- 株式の取得価格:3495円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年5月23日
- 1年後の株価の終値:3200円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:▲2万9500円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:5万6000円
- 株主優待のリターン:4万2600円
- 株価変動によるリターン:▲2万9500円
- トータル・リターン(金額ベース):+6万9100円
- トータル・リターン(%ベース):+19.8%
トータル・リターンは金額ベースで+19.8%でした。
4. 商船三井の配当金の推移を確認
商船三井株式の年間リターンは+6万9100円でした。
最後に商船三井の配当金の推移を確認しましょう。
配当金・株主優待・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。
配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。
参考資料
石井 僚一