株式を買う際、配当や優待だけでなく、気になるのが「株価の変動」でしょう。

配当や優待を受けとっていても、株価の変動は社会情勢や企業業績などによって時に大きく動き、リターンに影響を与えるもの。

株式投資において、「株価の値上がり・値下がり」は見逃せない要因です。

今回はニデック(旧:日本電産・6594)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。

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1. ニデック(旧:日本電産・6594)の配当金のリターンはいくらか

日本電産の株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2022年3月期の期末配当と2023年3月中間配当」の計2回を受け取ることができます。

なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。

出所:ニデック株式会社「2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」

今回の検証では、以下のような想定となります。

  • 株式の取得日:2022年5月19日
  • 株式の取得価格:8123円(取得日の終値)
  • 2022年3月期・期末配当:35円
  • 2022年3月期・中間配当:35円
  • 100株ベースの配当金のリターン:7000円

それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。

2.  ニデックの株主優待のリターンはいくらか

ニデックは「毎年3月31日現在」で株を保有している投資家に優待を提供しています。

1株以上保有した株主が受け取れる優待は、以下の通り。

  • 日本電産サンキョーオルゴール記念館すわのねの無料入館リーフレット(一般の入館料が大人1000円(小中学生500円))
  • 来館時5000円以上の商品を買った場合、10%割引き

今回は大人の入館料1000円が無料とし、また5000円の商品を購入した時の割引額は500円となります。

受け取る株主優待の経済価値は1500円と計算できるため、優待のリターンは1500円です。

3. ニデックの株式投資のトータル・リターンはいくらか

以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。

次に、株価変動によるリターンを計算します。

  • 株式の取得日:2022年5月19日
  • 株式の取得価格:8123円(取得日の終値)
  • 取得から1年後の日付:2023年5月19日
  • 1年後の株価の終値:7372円
  • 100株ベースの株価変動によるリターン:▲7万5100円

そして最後に、トータル・リターンを計算します。

  • 配当金のリターン:7000円
  • 株主優待のリターン:1500円
  • 株価変動によるリターン:▲7万5100円
  • トータル・リターン(金額ベース):▲6万6600円
  • トータル・リターン(%ベース):▲8.2%

トータル・リターンは金額ベースで▲6万6600円でした。

4.  ニデックの配当金の推移とは

ニデックの株式の年間リターンは▲8.2%でした。

最後にニデックの配当金推移を確認しましょう。

出所:ニデック株式会社「配当情報・株主還元」

配当金・優待・株価とそれぞれの要素を確認すると、どのような影響が株式投資のリターンにあらわれているかわかりやすいでしょう。

今回確認した通り、株式投資の際は配当や優待だけでなく、株価水準についてもきちんと確認してみてください。

 

 

参考資料

宮野 茉莉子