2023年5月12日に発表された、株式会社BTM 2023年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社BTM 代表取締役社長兼CEO 田口雅教 氏
MISSION(経営理念)
田口雅教氏:株式会社BTM代表取締役社長兼CEOの田口雅教でございます。2023年3月期の決算説明および2024年3月期の業績予想について、ご説明させていただきます。
まず、当社のMISSIONについてご説明します。
当社は「日本の全世代を活性化する」をMISSION(経営理念)に掲げ、ITを通じてさまざまな機会を提供することで、全世代が生き生きと生活できる世の中の実現を目指しています。
私と会長はともに地方出身者で、昔から首都圏と地方の情報格差、機会格差について課題意識を持っていました。
地方では、優秀な人財がいても就職の選択肢が狭くて活躍の場がなく、ノウハウを持った企業があっても活かす方法がわからないなど、人財、企業ともに有効活用できていない現状があります。
このような課題意識から、人と企業に対して機会を提供していきたいと考え、地方人財を積極的に活用した企業、自治体のDXを推進する事業を行っています。
ビジネスモデル
事業概要からご説明します。
当社はDX推進事業を行っており、その中に2つのサービスがあります。
1つ目はITエンジニアリングサービスで、人材提供を行っています。
2つ目はDXソリューションサービスで、コンサルティング、企画・提案、開発・運用保守までワンストップでシステム開発、インフラ構築を行っています。
ターゲット顧客と当社のサービス
両サービスについて、詳しくご説明します。
当社は、お客さまを「1→10フェーズ」「0→1フェーズ」の2つのフェーズに分けています。
「1→10フェーズ」 は、DXに向けデジタル化を進めているものの、あらゆる工程でエンジニアが足りない状態のお客さまに対して、ITエンジニアリングサービスにより全国から人材を調達し、お客さまへ最適なエンジニアを提供しています。
「0→1フェーズ」は、「そもそもDXが何かわからない」「何をしたらよいかわからない」というお客さまに対して、DXソリューションサービスにより、コンサルティングから企画・提案、開発と伴走型で支援しています。
したがって当社では「0→10フェーズ」まで、顧客の状況に合わせて支援をすることができる体制を整えています。
エグゼクティブサマリー
2023年3月期決算概要をご説明します。
まず、エグゼクティブサマリーです。売上利益ともに大幅な増収増益で、過去最高額を更新しています。
売上高は35億4,800万円、前期比16.7パーセント増、営業利益は1億3,100万円、前期比90.2パーセント増、当期純利益は7,700万円、前期比18.5パーセント増となりました。
業績ポイントは4つあります。
1つ目はクライアント企業のDXニーズです。非常に旺盛で、堅調に推移している市場環境にあります。
2つ目はトップラインです。主力のITエンジニアリングサービスの重要KPIである営業人員数とアカウント数の増加が寄与し、受注獲得増につながっています。
3つ目は利益面です。ビジネスパートナーの稼働人数の増加および自社社員の増加により売上総利益率が向上しています。予算以上に営業人員を採用したため、人件費や採用コストが増加しましたが、各利益は前期比大幅増で着地しています。
営業人員の前倒しの採用に関しては、2024年3月期の業績に貢献してくると考えています。
4つ目は、業績予想についてです。売上高は営業担当の採用月および離職月が想定と異なったために、若干の未達となりました。営業利益についても、営業人員の前倒しの採用と業務拡大による未・微経験エンジニアの増加により一時的に請負案件の利益率が低下し、業績予想を下回る結果になりました。
P/Lサマリー
P/Lサマリーについては、スライドに記載のとおりです。
売上高・営業利益 四半期推移
売上高は右肩上がりで推移しており、四半期単位では前期比20.2パーセント増で着地しています。営業利益については複数要因で変動していますが、総じて安定した利益が計上できる体制になっています。
営業利益増減分析
営業利益増加要因はスライドに記載のとおりです。
BSサマリー
BSについては、増資により純資産が増加し自己資本比率が改善しています。引き続き高いROEを維持しています。
拡大が予想されるDX市場
市場規模と課題についてご説明します。DX市場の市場規模は2030年に3兆円超まで拡大すると予測されており、DXが首都圏中心から地方へ波及していくと推測しています。
エンジニアの需給ギャップ
DXを推進するエンジニアの需給ギャップについては、最悪のシナリオで79万人のIT人材が不足すると予測されています。
エンジニアの東京集中
スライドのグラフのとおり、大半のエンジニアが首都圏に集中しており、地方DXを進めるには地方のエンジニアの育成が急務となっています。
DXを推進する上で求められる人材像
DXを推進する上で求められる人材像について、当社では青く色付けしている部分を自律型と呼んでおり、技術力と自律型の両軸で支援できるエンジニアを全国に育成しています。
中長期成長戦略イメージ
成長戦略についてご説明します。
当社では、中長期の成長戦略として既存領域、新規領域の2つの領域を定めています。まず既存領域について、ITエンジニアリングサービスは営業人員、アカウント数を増やし、マッチングを最大化させ、売上利益を拡大していきます。
次にDXソリューションサービス、ITエンジニアリングサービスの両サービスに関係しますが、拠点を着実に増やし、自社の社員を増加させ、利益の底上げを行います。
新規領域については、データベースを活用した事業展開を行っていきます。例えば、当社の営業担当が介入せずに、案件と人材のマッチングができるようなプラットフォーム化を考えています。
最後に新規市場として、地方企業、自治体のDXを推進していきます。全国の自律型フルスタックエンジニアやビジネスパートナーをしっかりと増やし、地方のDX支援ができる体制を既存事業で確立して、地方企業、自治体と連携してDXを加速させます。
本当の意味で地方に入り込みDXを進められる企業は少ないのですが、DX市場もこれから地方へ拡大すると考えているため、市場を獲得していきたいと考えています。
戦略1: データベースを活用したマッチングの最大化
既存領域の戦略についてご説明します。
まず、データベースを活用したマッチングの最大化です。ITエンジニアリングサービスは、データベースを活用してDX人材の提供を行っており、このデータベースには同業他社の営業担当とのネットワークであるアカウントが蓄積されています。
現在、約6,400件のアカウントを有しており、全国のさまざまな技術を持ち合わせたビジネスパートナーとつながっています。そこから日々「このようなエンジニアがいますが、プロジェクトはありませんか?」「このようなプロジェクトがありますが、エンジニアはいませんか?」と、選りすぐりの人材情報、案件情報が入ってきます。
全国のビジネスパートナーから自動的に案件・人材の情報が集まってくる仕組みを構築し、当社の営業担当がその情報を見てマッチングをする仕組みになっています。
現在、さまざまなビジネスパートナーから案件情報、人材情報を得ているものの、現状の営業人員だけでは手が足りず、情報が拾い切れていない状況です。そこで、引き続きビジネスパートナーとのつながりを拡大させ、情報量を増やしながら当社の営業人員を増加させ、マッチングの最大化を図る戦略を描いています。
成長戦略1: 重要KPI推移
「成長戦略1」の重要KPIの状況をご説明します。当社では、営業人員とアカウント数を重要KPIに設定しており、両KPIとも順調に推移しています。営業人員数・アカウント数ともに過去最大と、いずれも計画以上に増加しています。
特に、営業人員は前倒しの採用により、予想比120パーセント以上となっています。営業人員が増えれば売上であるマッチング数も増えますので、2024年3月期以降の成長が期待できます。
成長戦略2 : 独自ノウハウを活用した自律型フルスタックエンジニアの拡大
両サービスの重要KPIとして、自社エンジニア数を設定しています。自社エンジニア数を増やし、教育で単価を上げていくことにより売上利益を増加させます。今期は自社エンジニアを大幅に増やすことができ、売上利益が増加しました。
成長戦略2: 重要KPI推移
「成長戦略2」の重要KPIの状況をご説明します。当社はミッションの実現に向けて、積極的に全国のエンジニアを採用しています。2023年3月期は仙台へ新たな拠点を展開し、自社エンジニア数は前期比15名増となりました。引き続き全国へ拠点を展開し、自社エンジニア数を増やしていきます。
成長戦略3: 地方企業・自治体のDX推進
「成長戦略3」として、新規領域の進捗をご説明します。当社の既存領域では、エンジニアを採用して教育を行い、DX推進が可能な自律型フルスタックエンジニアを増やしています。
新規領域では、その自律型フルスタックエンジニアがDXを主導し、地方のさまざまなビジネスパートナーとともに地方企業、自治体のDXを推進していきます。スライド22ページに記載のとおり、自社エンジニア数、ビジネスパートナーであるアカウント数が順調に増加していますので、引き続き自社社員、ビジネスパートナーを増やしていきます。
成長戦略3: 地方企業・自治体のDX推進
地方企業・自治体へのアプローチに関しては、地方のさまざまなステークホルダーと連携する戦略を描いています。地方企業、自治体への直接アプローチに加え、現在は地方の金融機関との連携を模索しています。企業とのつながりが深い地方の金融機関と連携することで、DXに興味のある潜在層の掘り起こしを行っています。
成長戦略3: トピックス
その地方金融機関との連携実績として、八十二銀行とビジネスマッチング契約を締結しました。長野県企業からさっそくお問い合わせをいただいており、現在交渉を進めている最中です。
並行して複数行との連携を模索しています。DXに関する問い合わせを受けているものの、支援できていない地方の金融機関はまだ多くありますので、引き続き、全国の金融機関と連携を進めていきます。
成長戦略3 : トピックス
ビジネスパートナーとの協業も積極的に行っています。当社が持っていない技術領域に関しても支援できる体制を整えていきたいと考えており、このたびヘッドウォータース社との協業を強化しました。今後も積極的にビジネスパートナーと協業し、さまざまな分野でDX支援ができる体制を整えていきます。
2024年3月期 業績予想
2024年3月期の業績予想についてご説明します。売上高は前期比22.6パーセント増の43億5,200万円、営業利益は前期比15パーセント増の1億5,100万円、当期純利益は前期比25.6パーセント増の9,700万円を見込んでいます。
2024年3月期の方針として、育成、組織の強化など、社内へ投資する期と考えています。ただし、投資する中でも増益を見込んでいます。
2023年3月期の営業人員の前倒しの採用、自社エンジニアの教育結果がこちらに出ています。トップライン、利益ともに成長させ、かつ社内の強化を図るという方針で着実に結果を出していきます。
業績推移と予想
スライドのグラフのとおり、売上高は右肩上がりで推移しています。営業利益率については引き続き営業人員を多くに採用するため、一時的に低下します。
重要KPIの予想
重要KPIの予想がこちらです。
営業人員を採用、育成し、その営業担当が同業他社のアカウント数を伸ばしていきます。また、自社エンジニアも採用し、順調に増員できる見込みです。その結果として、利益成長の基盤となる重要KPIはすべて順調に増加すると考えています。
以上、2023年3月期の決算説明および2024年3月期の業績予想についてのご説明となります。ご覧いただきありがとうございました。引き続きご支援いただきますよう、よろしくお願いします。