2023年5月12日に発表された、株式会社ジーネクスト2023年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社ジーネクスト 代表取締役 横治祐介 氏
2023年3月期 通期 エグゼクティブサマリー
横治祐介氏(以下、横治):2023年3月期通期および第4四半期の決算説明を行います。2023年3月期は、2024年3月期以降の継続的な黒字化に向け、安定かつ高収益構造企業への転換を図るべく、事業活動を進めてきました。その中で、特に収益構造をフロー型からストック型へ移行する施策を重点的に行ってきました。
2023年3月期通期業績としては、売上高は6億4,700万円、売上高成長率は31.1パーセント、クラウド売上高成長率は42.9パーセント、クラウドMRR成長率は83.6パーセント、解約率は引き続き低水準を継続し0.28パーセントとなっています。導入案件に関しても、日本を代表する企業を中心に進めてきました。
黒字化に向けたQ4でのコストマネジメント(事業効率化)の取り組み
2023年3月期の黒字化に向けた第4四半期でのコストマネジメント(事業の効率化)の取り組みについてご説明します。人件費は既存メンバーの最適配置や各種オペレーションの効率化を行い、効率的な事業運営ができるよう進めてきました。また、オフィス移転や不採算サービスの整理を行い、コスト削減を実現しています。
一番大きな変化は、業務委託/外注費の削減です。オペレーションの効率化と併せて、既存の委託内容を精査しました。また、仕入れ原価の精査や社内に調達部門を新設しました。開発の内製化を進めることも含めて対策していくことで、2024年3月期には大きなコスト削減を実現できます。
目次
本日のアジェンダです。まず、あらためて事業概要をご説明します。続いて2023年3月期通期および第4四半期のサマリー、2023年3月期通期および第4四半期の業績、2024年3月期事業方針と業績の見通し、中期の成長戦略・進捗状況の順番でご説明します。
事業領域「SRM(Stakeholders Relationship Management) 」
事業概要についてご説明します。当社は「Discoveriez」というプラットフォームを中心に事業を展開しています。
業界、業種ごとの導入事例
当社のプラットフォームは、社内外のステークホルダーとの情報のやり取りが多い食品、日用品、外食の企業導入からのニーズが多数ありますが、多岐にわたる業種・業界での事業が積み上がっており、事業領域のポテンシャルが高いと考えています。
導入実績
当社は、各業種・業界のリーディングカンパニーを支援しています。また、こちらの仕組みを、ノーコード・ローコードで構築しています。さまざまな業種・業界の企業へ、規模を問わず高度なソリューションを提供できることが、当社の大きな強みであると考えています。
プロダクト / サービス概要(「Discoveriez」について)
当社の主力サービスである「Discoveriez」についてご説明します。「Discoveriez」はステークホルダーDXプラットフォームです。
Discoveriezの優位性、活用効果
「Discoveriez」は社内外で発生する情報の分断を「つなぐ」「まとめる」「活用する」ことができる点に非常に大きな優位性を持っています。
メール・電話・チャットのやり取りの履歴を一元管理することはもちろん、今ある他システムの情報と連携し必要な情報を簡単に検索でき、企業内外で発生する情報の一元管理を実現します。
また、一元管理した情報を担当者・部門へ適切に連携することで、自動アラートによりインシデントや対応漏れを検知するなど、会社のリスクマネジメントの重要なツールとして利用できます。
このように、使いやすいUI/UXと、利用シーンに合わせた機能(パーツ)をノーコード・ローコードで組み合わせ、短期間導入を実現します。業務の効率化はもちろん、顧客体験の改善や売上UP、収益化を促進します。
2023年3月期 通期およびQ4 サマリー(ハイライト)
2023年3月期通期および第4四半期のサマリーです。2023年3月期は、クラウド事業の累計MRRがYoYでプラス約83.6パーセントの成長率となり、引き続き力強い伸びを記録しました。
売上高成長率はプラス31.1パーセント、売上高は6億4,700万円、ストック売上は3億2,200万円となり、ストック売上比率は目標の50パーセントを超える水準で達成しました。月次解約率は0.28パーセントと、引き続き順調に推移しています。
2023年3月期の大方針・状況について
2023年3月期の大方針は、4つのテーマをもとに、中長期的な安定かつ高収益構造の企業への転換および非連続の成長を目指し、顧客満足度を維持しながら50パーセントを超えるストック型売上へ移行することでした。また、それに留まらず、ストック収益の拡大を目指してきました。スライドに記載のとおり、各テーマにおいて一定の成果が出たと認識しています。
2023年3月期の成長実現性について
売上構成をフロー型からストック型へと移行し、将来の安定収益としてストック数字はYoYプラス45パーセント成長の3億2,200万円を計上しました。フローを含む売上高は6億4,700万円で着地し、2024年3月期以降の安定的な収益に貢献していきます。
2023年3月期 通期およびQ4累計業績サマリー
2023年3月期通期および第4四半期の業績についてご説明します。売上高は6億4,700万円と、YoYで31.1パーセントの増収となりました。クラウドMRRがYoYでプラス83.6パーセントと増収を牽引しました。営業利益以下の各段階損益についても、増益を達成しています。
2023年3月期ストック売上の推移
クラウド累計MRRは新規案件に係る月次ライセンス料の積み上がりにより、YoYでプラス83.6パーセントと力強く成長しています。フロー型からストック型への移行は順調に継続しています。
月次解約率の推移
当社において重要な指標である、月次解約率の推移についてです。過去12ヶ月平均の月次解約率は0.28パーセントと、引き続き順調に推移しています。
2024年3月期 事業方針と業績見通し
2024年3月期の事業方針と業績見通しについてです。今期は既存・新規事業の成長率、立ち上がり等を考慮し、売上高は7億円から7億4,000万円のレンジ方式を採用しています。既存事業のテコ入れ、不採算事業/案件の解消、コストマネジメント強化による収益の改善など、黒字化を本年の最重要事項としながら、さらに次の成長を目指し、転換・改革を推進していきます。
2024年3月期の重点方針
2024年3月期の重点方針についてです。次の成長を目指し、黒字化に向けた戦略を断行します。成長戦略として売上構造をフロー型からストック型へ徹底的に移行し、パートナーとの共創による「SRM Design Lab」の推進、新規事業領域の「SRM Design Lab」への集約、推進を行っていきます。
既存事業においては、課金体制の見直し、プランの精査、サービス体系の変更を行うことで、不採算案件の収益化を進めていきます。
次の成長を見据え、事業の選択と集中を行います。具体的には、成長戦略の実現に向けた赤字サービスの停止・撤退、人材の拡充・再配置、社内の教育、研修の実施のほか、オペレーション効率化の実施、強化、利用シーン拡大に向けたマーケティング施策の強化、継続、固定費の削減による成長事業への投資確保、収益に貢献する機能改善・研究開発の実施を実施することで、コストマネジメントを強化していきます。
ステークホルダーと顧客価値共創を目指す取り組み「SRM Design Lab」を開設
ステークホルダーと顧客価値共創を目指す取り組み「SRM Design Lab」についてご説明します。
「SRM Design Lab」は、より多くの生活者やクライアントの声の収集と、それらの企業活動への利活用を、顧客をはじめとしたステークホルダーのみなさまと共に考えることで、顧客価値の創造につなげるプロジェクトです。パートナーと連携し共創していく、伴走型の取り組みとなっています。
「SRM Design Lab」を通じて、マーケティング領域を拡大し、新たな販路を開拓していきます。
中期成長計画(FY23~25年3カ年計画)目標数値(重要な経営指標)
通期の成長戦略・進捗状況についてご説明します。スライドに記載しているのは2025年に向けた目標数値です。安定的かつ非連続な成長の実現を目指します。
中期成長計画(FY23~25年3カ年計画)達成に向けて
スライドのとおり、CAGR40パーセントを達成できるように事業を推し進めていきます。
〈参考〉利用シーン拡大 進捗状況について
さらに、今までの知見を活かしたコンタクトセンター・データベース構築・フィールドサービス等での利用シーン拡大を推し進めており、今後もマーケットフィットしたセグメントを追加する予定です。
中期成長戦略計画に対する通期およびQ4での実績と進捗
中期成長戦略である「安定高収益企業への転換」に関する進捗状況についてご説明します。特にこの直近3年間のテーマである「Discoveriez」の利用シーンの拡大に向け、スライドのように戦略方針を3つ定めています。
1つ目は、クラウド化の促進と安定収益の基礎となるストック型収益への移行です。進捗としては、本年度は50パーセントを超える、52.1パーセントの収益をストック型へ移行しました。来期以降も継続的に移行します。
クラウドへの置き換え推進の指標であるクラウド比率は、80.2パーセントと大きく推進できています。顧客満足度の指標である解約率も、引き続き低い数値で進捗できており、来期以降も継続して注視する指標とします。
2つ目は、パートナービジネスの積極的展開です。販売、導入、プロダクトパートナーとの連携を強化し、協業拡大を継続的に進めています。パートナーとのビジネスの成功が、当社のビジネスの再現性を高めるものであり、多くのユーザーを獲得する1つの重要な施策であると考えています。来期以降も継続して取り組み、より深い事業提携等も視野に入れた活動を行っていきます。
3つ目は「Discoveriez」の機能改善・新規事業開発への投資です。今期、戦略的に投資した結果、提供体系の見直しや新規マーケットの獲得、利用シーンの拡大を進めることができました。来期以降も本施策について、コストマネジメント等を意識しながら実施し、マーケット拡大と高収益体質への転換を推進していきます。
営業、販売マーケティング活動~Q4進捗~
先ほどまでのご説明の補足として、営業、販売マーケティング活動の第4四半期での進捗についてお話しします。
既存マーケットのお客さま相談室では、新規獲得時における、ストック型に重きを置いたサービス体系への営業活動が上場以降の2年間でしっかりと定着しています。既存ユーザーとの継続的な関係性構築においても、クラウド化の推進や他部門利用の推進を行い、ストック型のサービス体系に分類される案件の継続的なリード獲得や受注を叶えています。
コンタクトセンターにおいては、インバウンド、アウトバウンドに関係なく、販売パートナー経由での案件が引き続き順調に増えています。この市場では、販売パートナーにおいて「Discoveriez」を利活用していただけるケースが増えてきており、パートナーとの共創ビジネスの拡大が来期以降も見込まれています。
新規事業が「Discoveriez」の利用シーン拡大を牽引しています。フィールドサービス、データベース構築への利活用など、新規、既存関わらず、引き合いをいただいており、既存のクライアントにおける他部門の利用促進にも寄与しています。来期以降は、新規事業推進でもコストマネジメントをより強化し、収益に貢献できる事業の選択と集中を図っていきます。
マーケティング活動の進捗については、次ページにてご説明します。
営業、販売マーケティング活動~Q4事例~
第4四半期のマーケティングの方針です。「Discoveriez」のブランド価値向上や、マーケットおよび利用シーンの拡大を視野に入れた、機能拡充やパートナーとの連携を進めてきました。特にマーケット拡大が視野に入っているコンタクトセンターおよび他部門利用向けの拡充を中心に展開し、訴求してきました。
具体的には、EC、通販等において、受注から配送までの処理作業で時間短縮に寄与する配送システムとの連携や、社内での情報連携を加速させるメッセンジャーツールとの連携、アンケートシステムおよびクライアントのデータベースとの連携による会員へのアップセル、クロスセルの促進、顧客対応の改善等を主に進めています。
このようなマーケット拡大に向けた施策を継続的に行い、来期以降の収益化に寄与しブランド価値向上にも努めます。パートナーとの共同販売を促進し、積極的に協業していきます。顧客獲得に向け、パートナーと共に、今後も営業活動を展開する予定です。
以上をもちまして、2023年3月期通期および第4四半期の決算説明とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:「SRM Design Lab」の詳細について
司会者:「『SRM Design Lab』の組織について、もう少し詳細を教えてください」というご質問です。
横治:「SRM Design Lab」設立の背景についてお伝えします。日本では現在、企業におけるステークホルダーが「1対多対多」の関係で構築されていることが多く、社内外の組織間において、顧客対応のために情報連携が必要なシーンがさまざまに存在していると考えています。また、そのような中で、非常に複雑な業務フローを組まざるを得ない状況であると当社は捉えています。
この課題を解決するために、人で解決できる業務とシステムで解決できる業務を再定義し、お客さまと共に考えることで、顧客価値の創造につなげる共創型の取り組みとして、「SRM Design Lab」を設立しました。
今後は各業種・業界との対話を進めることも含めて、顧客からの課題や生活者の声の収集、また、それらに関する情報発信と共有の場を通じ、顧客をはじめとしたステークホルダーのみなさまと顧客価値を共創していきます。また、この取り組み自体が、さらなる利用シーンの拡大やマーケティング活動につながっていくと考えています。
質疑応答:「優待WALLET」などの事業について
司会者:「事業の集中と選択を進める上で、『優待WALLET』などについて考え方をお聞かせください」というご質問です。
横治:「優待WALLET」は季節性もあり、少し引き合いが減少しています。そのような現状からコア事業となるのは難しいと考え、いったん説明資料から除いています。しかし、導入いただいている企業もあるため、今後の展開を模索している状況です。
質疑応答:来期の見通しについて
司会者:「『2024年3月期以降の継続的な黒字化に向けて』と記載されていますが、来期は黒字となる見込みなのでしょうか?」というご質問です。
横治:決算短信に記載のとおり、営業利益はマイナス1億円からプラス1,000万円のレンジ方式で開示しています。当然、当社としては社員一丸となって、黒字化を目指し取り組む所存です。
質疑応答:外注費の削減効果について
司会者:「外注費の削減効果について、もう少し詳しく教えてください」というご質問です。
横治:事業効率化の強化・推進において、引き続き外注費の削減を実行していきます。そのような中で、人材の配置や最適化のほか、内製率を高めるといった見直しを行っています。効率化によって、業務委託・外注費は1億円以上の削減を予定しています。
質疑応答:黒字化のための施策について
司会者:「黒字化のために、どのようなことを行っているのでしょうか?」というご質問です。
横治:売上については、引き続き、新規顧客の開拓や既存顧客の深耕を進めていきます。また、新領域を拡大し、販売機会を増やしていきます。将来の安定収益を確保するためには、やはりストック売上が非常に重要ですので、引き続き注力します。
また、費用については、引き続き、事業の効率化を強化・推進していきます。具体的には、既存メンバーの最適配置を実施し人件費を下げたり、本社の移転によって地代・家賃を下げたり、オペレーションの効率化で業務委託を減らしたりします。また、不採算案件については、本格的に対策を講じていく予定です。
質疑応答:中期経営計画の達成可能性について
司会者:「昨年開示した中期経営計画について達成可能性はどのようになっていますか? 2024年3月期通期業績予想では、売上高を7億円から7億4,000万円としていますが、このペースでは達成は難しいのではないのでしょうか?」というご質問をいただきました。
横治:中期経営計画の達成可能性は来期次第と考えており、現在行っている新規顧客の開拓や既存顧客の深耕といった施策が、計画どおりに進捗すれば達成可能です。