2023年5月12日に発表された、芦森工業株式会社2023年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:芦森工業株式会社 取締役社長 鷲根成行 氏

目次

鷲根成行氏:芦森工業株式会社、取締役社長の鷲根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。当社の概要、2023年3月期の決算についてご説明いたします。

スライドには、本日ご紹介する項目を記載しています。まずは会社の概要をご説明した後に、2023年3月期決算の概要、業績予想、株主還元、経営戦略と順を追ってご説明します。

ご挨拶

当社、芦森工業は、創業1878年、ロープ製造を祖業とし、繊維で培った要素技術「織る・組む」「樹脂(被覆)加工」「巻取る・固定する」「膨らませる」を組み合わせ、発展させることで事業内容の多角化を進めてまいりました。

現在では、「織る」「巻取る」「膨らませる」技術を発展させた自動車用セーフティ部品や、「織る」「被覆する」「膨らませる」技術を組み合わせたライフラインの更生といった「安全・リニューアル分野」を主力事業としています。これらのベースとなる技術力・適応力・研究開発力が当社の強みです。

1.芦森工業について

スライドには会社概要を記載しています。本社は大阪府摂津市にございます。今年11月に145周年を迎えます。

資本金は83億8,800万円、従業員は約2,500名となっており、東京証券取引所プライム市場に上場しています。

1.芦森工業について

当社の事業内容を簡単にご紹介させていただきます。当社は「安全」「リニューアル」分野を主力事業としたモノづくり企業で、事業は大きく分けて「自動車安全部品事業」と「機能製品事業」の2本柱で構成しています。

機能製品事業では、さらに「パルテム」「防災」「産業資材」の3部門で構成し、活動しています。売上構成比率は、自動車安全部品事業が全体の約7割を占めています。

2.決算概要 連結業績の概要

それでは、ここから2023年3月期の業績についてご説明します。当連結会計年度の売上高は656億2,400万円と、前期比121億900万円の大幅な増収となりました。

損益面におきましても、営業利益は21億5,200万円と、前期比16億1,600万円の大幅な増益となり、業績は大きく改善しました。

経常利益は、外貨建債権や海外連結子会社に対する貸付金等に係る為替差益6億2,400万円を計上した結果、27億9,600万円と、前期比21億2,400万円の大幅な増益となり、過去最高益を更新しました。

当期純損益につきましても、海外子会社のASHIMORI INDUSTRIA de MEXICO, S.A. de C.V.において受注の低迷により営業赤字が継続していることから、同社固定資産の減損損失6億9,000万円を特別損失に計上しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、10億1,700万円と、前期比5億700万円の増益となりました。

当連結会計年度は「第123~125期(2023年3月期~2025年3月期)中期経営計画」の初年度となりますが、順調な滑り出しとなりました。

2.決算概要 セグメント別業績の概要

セグメント別業績の概要をご説明します。まずは自動車安全部品事業です。中国のロックダウンや半導体不足の影響により、自動車生産台数への影響がありましたが、その後の受注回復と円安効果により、売上高は466億6,600万円と前期比109億4,800万円の増収となりました。

損益面は、原材料価格の高騰、物流費の増加の影響がありましたが、営業利益は5億8,300万円と前期比18億5,700万円増の大幅な改善となりました。

機能製品事業につきましては、パルテム関連は、ライフラインの管路更生分野で前期からの繰越工事が順調に進捗したこともあり、売上・利益ともに大幅に増加しました。

防災関連は、防災関連資機材は順調に推移したものの、消火栓用ホース、災害対策用排水ホースは想定を下回り、売上高は前期比でほぼ横這い、利益については減少しました。

産業資材関連は、物流省力化分野がトラックの大幅減産の影響を受け低迷し、売上・利益ともに減少しました。

この結果、機能製品事業の売上高は189億2,600万円と前期比11億6,100万円の増収となりましたが、営業利益につきましては22億700万円と前期比6,100万円の微減となりました。

2.決算概要 連結B/S

連結貸借対照表の状況はスライドに記載のとおりです。有利子負債が約14パーセント減少しています。メキシコ子会社での減損等により固定資産が減少、有利子負債の圧縮を進めています。

2.決算概要 連結C/Fと設備投資の状況

連結キャッシュ・フローの状況と、設備投資の状況です。「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、増益と運転資金の減少により、前期比で大幅に改善しています。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましても、本社・大阪工場での土地取得のあった前期比で改善しました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、借入金の圧縮を進める一方、海外子会社での流動性を確保しました。

3.連結業績予想

続きまして、2024年3月期の業績予想です。2024年3月期は「第123~125期 中期経営計画」の2年目となります。中期経営計画では2年目の業績は連結売上高570億円、営業利益20億円の数値目標を掲げていましたが、収益改善が順調に進捗していることから、当初計画を上回る連結売上高650億円、営業利益23億円を見込んでいます。

先ほど申し上げましたとおり、2023年3月期は為替差益を6億2,400万円計上し、経常利益は過去最高益となりました。ただし、2024年3月期につきましては為替損益の発生を見込んでいないため、経常減益となりますが、当期純利益は増益を目指します。

3.連結業績予想・推移 連結業績の推移

スライドは2019年3月期からの連結業績の推移です。新型コロナウイルス感染症による売上の低迷と自動車安全部品事業の収益性の低下のため、利益も減少していましたが、2023年3月期は自動車安全部品事業の収益力が改善したことと、為替の影響により、業績は回復基調で推移しており、中期経営計画の数値を上回ることができました。

4.株主還元

株主還元についてご説明します。当社では、配当性向30パーセント以上を目標に掲げており、中期経営計画における利益成長に伴い配当は段階的に引き上げる計画にしています。

2023年3月期は1株当たり50円とし、以降2024年3月期に1株当たり75円、中期経営計画の最終年度である2025年3月期には1株当たり100円と、段階的に増配を目指す計画としています。

なお、スライドの2025年3月期については中期経営計画の3年目の数値を記載しています。中期経営計画の想定以上に業績改善が進捗しており、これを上回る業績を目指しています。

5.経営戦略

今後の経営戦略についてご説明します。中期経営計画における全社方針として「新たな成長軌道への挑戦」と「体質改善の実行」を掲げています。「新たな成長軌道への挑戦」としましては、成長市場である自動車分野と管路更生分野に引き続き経営資源を集中してまいります。

5.経営戦略

自動車分野においては、豊田合成との協業を深化させ、シートベルト技術とエアバッグ技術を組み合わせたセーフティシステムの開発を推進し、新規顧客の獲得や受注拡大に取り組んでまいります。

管路更生分野は、老朽化した国内インフラの更新が見込まれることから、新工法の開発と下水道分野以外への展開を強化し、需要の拡大に対応してまいります。

「体質改善の実行」としましては、人的資本の質の向上により企業価値を高めることを目指してまいります。「芦森グループ人材Vision」に掲げる「高い専門性と幅広い視野、論理的展開力を持った世界に通じる人材」を育成するため、人事制度・教育制度の改革を進めると同時に、「サークル活動」を通じた「芦森グループ従業員行動規範」の定着および実践により、高い規律と倫理観を持った企業グループへの変革に取り組んでいます。

当社グループは「創意を生かし、社業を通じて社会に貢献する」を経営理念である社是に掲げ、自動車安全部品、防災用商品や物流省力化商品、管路更生事業等、「命と暮らしを守る製品」を提供し、SDGsが国際社会の共通テーマとなる以前より、社会課題の解決に貢献してまいりました。

引き続きSDGsと親和性の高い商品の開発を進めると同時に、徹底した省エネによる環境負荷の軽減、すべての従業員が働きやすい環境作り、社会貢献活動への取り組み等、「サステナブルなものづくり」を推進いたします。

鷲根氏からのご挨拶

最後になりますが、当社は創業以来、「常に一歩先を見据えた製品開発」を心掛け、繊維業界はもちろんのこと、消防業界、自動車業界、建設業界、物流業界など数多くの業界と良好なつながりを持つことにより、数多くの開発依頼を受け、商品開発につなげてきました。

このつながりを大切に、今後もより高い技術水準への挑戦で新製品を開発し、企業価値を最大限高めてまいります。皆さま、どうぞこれからの芦森工業にご期待ください。

最後までご覧いただき誠にありがとうございました。今後ともご支援のほど、よろしくお願いします。

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