新年度が始まり、はや2ヶ月が過ぎようとしています。

4月よりも、新しい生活スタイルに慣れてきたと感じている方も多いのではないでしょうか。

今までと異なる環境で過ごしていると、以前いた場所との違いに気づきやすいもの。

文化庁が公表した「令和3年度「国語に関する世論調査」の結果の概要」によると、国語へに関心がある人のうち10.6%が「共通語や方言」に関心があると答えています。

出所:文化庁「令和3年度「国語に関する世論調査」の結果の概要」

地域ごとの言葉や習慣の違いは、雑談のネタにしやすいもの。

そこで今回は、関西の方言に焦点を当て、関東で伝わりにくい動詞を6つ紹介します。

関西弁1. パーマを「あてる」

パーマを「あてる」という表現は、関西を中心に、中四国・東海・北陸などの一部地域で使われている言い回しです。

共通語だと、パーマを「かける」と表現できます。

「あてる」と表現される由来は定かではありませんが、もともとパーマは整髪専用のアイロンを髪にあててウェーブを作っていたため、その名残だと考えられます。

関西の人が関東に引っ越し、美容室で「パーマあててもらっていいですか?」と尋ねたところ、うまく伝わらなかったというエピソードも。

一瞬時間が止まったような感覚になり、とても焦ったそうですよ。

関西弁2. 仏さまに「あんする」

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関西の一部の地域では、仏さまに「合掌する」を、「あんする」と表現することがあります。

主に、幼児言葉として使われているそうです。

お盆の時期になると、「仏さんにあんしに行こか」と子どもに言う家族の声が聞こえてくることも。

「あん」の語源は諸説あり、もともとは「お辞儀する」の意味が転じて「合掌する」になったとも、「あな尊し」という古い言い回しが由来とも言われています。

少し話は逸れますが、「仏さま」は関西弁で「まんまんちゃん」とも表現できます。

「まんまんちゃん、あんしぃや」と聞くと、なんだか温かい気持ちになりますね。

関西弁3. 物を「いらう」

「いらう」は、共通語で「触る」を意味し、近畿地方や西日本でも使う方がいるそうです。

漢字では「弄う」と書くことができます。

若い世代が使う機会はそう多くありませんが、上の世代に行くほどよく使用する傾向にあります。

会社で「それ、いらわんといてや(それ、触らないでね)」と言っていたのに、「いらわんといて」が伝わらなかったらしく、戻ったら一部が動かされていた経験がある人も。

古語の「いろう」が語源で、時代とともに「いらう」へと変化し、関西を中心とした西日本で広く「いらう」という表現が残っているそうです。

関西弁4. カードを「くる」

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カードゲームの準備をするときに使う「くる」という表現も、関西や西日本独特なのだとか。

全国的には、カードを「きる」が一般的です。

友達と家でトランプをするとき、「カードくっとくわ」と言ったところ、「カード食っとくわ」と受け取られたらしく、関東出身の友人に「えっ、カード食べるの!?どういうこと?」と驚かれた経験がある人も。

「カードをくる」の「くる」は、漢字に直すと「繰る」と書くことができます。

「繰る」には、帳簿やカレンダーといった、ひとまとめにされた紙の束のページをめくる意味が含まれています。

紙の束をめくることから意味が転じて、カードをきるときにも「くる」が使われるようになったのかもしれませんね。

関西弁5. 大根やカボチャを「炊く」

続いて紹介するのは、「炊く」です。

全国的には、「ご飯を炊く」という風に使っているのではないでしょうか。

関西では、大根やカボチャなど、お米以外の食材に対しても「炊く」という表現をよく使用します。

関東の人からすると、お米以外には「煮る」という言い回しを使うため、意味は通じるけれど違和感を覚えることもあるようです。

関西では、大根の煮物は「大根の炊いたん」、カボチャの煮物は「カボチャの炊いたん」とよく表現します。

優しい味が染み込んだ「炊いたん」はとても美味しいので、関西を訪れた際はぜひ食べてみてくださいね。

関西弁6. 「ちょける」

「あいつちょけてんな」のように、友人や家族とよく使用する言い回しの「ちょける」。

共通語だと、「ふざける」という意味になります。

「ちょける」と「ふざける」では響きが少し異なるため、聞き慣れていない人だとニュアンスを掴むことすら難しいのだとか。

いつも通り「ちょけてんなぁ」と言ったら、関東出身の友人に「ちょけ・・・?なんて?」と聞き返されるのはよくあることです。

余談ですが、「ふざける」を意味する関西弁の表現は、「ちょける」だけではありません。

京都を中心に、「いちびる」と言うこともあります。

同じ関西圏でも表現が異なる言葉も

今回は、関東で伝わりにくい関西弁の動詞を6つ紹介しました。

関西だけでなく、西日本や東海地方で使われる表現もあります。また同じ関西圏でも、表現が異なる言葉もあります。

ニュアンスを想像しやすいものから、まったく違う意味のように聞こえるものまで、さまざまな言い回しがありますね。

地域ごとの言葉や習慣の違いは、雑談のネタにしやすいもの。

休み時間や飲み会などで、機会があれば話題にしてみてくださいね。

参考資料

太田 彩子