2023年5月10日に発表された、株式会社インタースペース2023年9月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社インタースペース 代表取締役社長 河端伸一郎 氏
株式会社インタースペース 取締役 経営管理管掌 岩渕桂太 氏
2023年9月期2Q 決算概要
河端伸一郎氏(以下、河端):私より、当社の第2四半期決算についてご説明させていただきます。本日は、第2四半期の決算概要、各事業の進捗について、今期の事業方針の順でお話しします。
まず決算概要です。すでに短信で発表のとおり、第2四半期累計の売上高は前年比プラス7.6パーセントの37億7,600万円、営業利益は前年比プラス4.5パーセントの5億6,600万円となりました。
セグメント別では、インターネット広告事業の外部顧客への売上高が前年比プラス5.3パーセントの23億3,800万円、営業利益が前年比プラス6.6パーセントの3億5,300万円となりました。メディア運営事業の外部顧客への売上高は9億2,500万円と前年を若干下回り、営業利益は前年比プラス1.1パーセントの2億1,200万円で、ほぼ同等での着地となっています。なお、内部取引を含めたメディア運営事業のセグメント売上高は前年比プラス11.4パーセントの14億3,800万円で着地しております。
2023年9月期2Q 決算概要
先ほどの数字に加えて、第2四半期累計の取扱高は前年比プラス6.8パーセントの130億円となっています。
経常利益について、前期7億400万円だったところ、今期は6億1,500万円となっていますが、前年は投資先ファンドの売却益等の影響により経常利益を大きく押し上げました。今期は売却益等を計画に含めていないことから計画通りに進捗しています。
2023年9月期 通期業績予想に対する2Q進捗
通期業績予想に対する第2四半期までの進捗です。 売上高は予想74億円に対して37億7,600万円、営業利益は11億円に対して5億6,600万円、経常利益は12億円に対して6億1,500万円、純利益は7億7,000万円に対して4億1,300万円で、すべてにおいて50パーセントを上回り概ね計画通りの進捗となっています。
2023年9月期2Q 前期比較
前年同期との比較です。売上総利益は、インターネット広告事業、メディア運営事業ともに前年を上回っています。
販管費の固定費部分は昨年度から大きな変動はありません。変動費部分は広告宣伝費が若干増えているものの、売上と連動した広告宣伝費であり営業利益としては前年を2,500万円ほど上回っている状況です。
連結取扱高推移
連結取扱高の推移です。第2四半期は前年同期比プラス3パーセントとなっています。もともと第2四半期は広告の需要期と言われておりました。しかし以前に比べ特別な四半期というイメージではなくなりつつありますが、それでも若干他の四半期よりかは需要の多い時期だと思っています。
連結売上高推移
連結売上高の推移です。 前年同期と比べても、5パーセント上回り19億4,700万円で着地しています。
連結営業利益推移
連結営業利益の推移です。比較的順調なスタートだった第1四半期に対し、第2四半期は前年同期を下回っています。主な要因であるメディア運営事業の広告単価下落の影響については後ほど詳細をご説明します。
10ヵ年上期業績推移
第2四半期までの累計を過去と比較したグラフです。取扱高は、創業以来2019年まで右肩上がりでしたが、さまざまな要因でその後2年ほど前年を下回りました。直近2年は回復傾向にあります。一方で、営業利益は過去2番目の利益水準となり、比較的良い数字が出せたのではないかと思っています。
取扱高が過去4番目であったのに比べて営業利益が過去2番目となっているのは、先ほどご説明したように、取扱高ベースでは影響が少ないメディア運営事業の構成比が増えたことにより、営業利益ベースでは比較的高い水準に変わってきていることが要因です。
連結販管費推移
連結販管費の推移です。販管費は変動費と固定費に分けて掲載していますが、固定費はここ数年であまり大きな変動はなく一定の水準で推移しています。
変動費は広告宣伝費と決済手数料が大きな部分を占めますが、いずれも売上と連動しているため、変動費が上がっているというよりは売上に連動して上下するとご認識いただければと思います。
連結従業員推移
従業員数もほぼ横ばいで大きな変動はありませんが、中期的には若干減っていることから、1人当たりの生産性は上昇傾向です。
連結貸借対照表/連結CF計算書
連結貸借対照表です。前年期末に比べて今第2四半期は通常の営業活動による結果がほとんどです。
第2四半期までは、法人税と配当の支払いにより、スライド下部に記載のキャッシュフローにも影響がありますが、通常の事業活動以外の大きなイベントはこの第2四半期まではありません。
広告事業のご紹介
続いて、各事業セグメントについてご説明します。インターネット広告事業は、日本と東南アジアでの展開に加えて、リアル店舗をネットワークしてコンテンツの販売促進を行うストアフロントも含まれています。
売上高推移/事業利益推移
インターネット広告事業の売上高と事業利益の推移です。スライド左側の売上高のグラフには旧売上高に近似する取扱高と、現在の売上高が混在していますが、現在の売上高ベースで見ると、直近ではかなり高水準にあります。こちらは取扱高も同様です。
それに伴い、事業利益も比較的高い水準で推移しています。取扱高は前年比プラス7.4パーセントの121億4,900万円、事業利益は前年比プラス4.2パーセントの6億6,100万円で、まずまずの着地だったのではないかと思います。
サービス別推移 国内アフィリエイト取扱高
国内のアフィリエイトはサービス分野を中心に順調に推移しており、第2四半期の需要も取り込むことができています。棒グラフ下段の青色はリアルアフィリエイト事業のストアフロントを表していますが、前年比プラス22パーセントと継続課金型の収益が順調に積み上がっており、事業全体の底上げに貢献しています。
サービス別推移 海外アフィリエイト取扱高
一方で、第2四半期は海外アフィリエイトの取扱高は大きく動きました。前年同期比ではマイナス2パーセントと微減ですが、第1四半期に比べると大きく減少しています。こちらはいくつかトピックスが重なり、金融や大手ECで広告予算の縮小があったためです。
端的に言えば、ベトナムにおいて、いわゆる消費者金融に対して政府の規制がかかり広告出稿が減少しました。現在、当社としては既存のクライアントやメディアとの関係強化に加えて、新しいカテゴリーの広告主やメディアの開拓を行うことで収益の回復に取り組んでいます。
アクセストレード提携数
「アクセストレード」の提携数は稼働プログラムが約4,400で、ネットワークとしては東南アジアのほうが大きくなっており、全体の登録パートナー数は約227万サイトです。
トピックス
インターネット広告事業のトピックスです。今まではアフィリエイト等で集客を手伝うサービスを提供していましたが、今後はサイトに訪れたユーザーに対してどのようにコンバージョンしてもらい成果に結びつけるかなど、サイト内の改善まで提供していこうと考え、当社の子会社であるN1テクノロジーズにおいて、Webサイト改善ツールの「賢瓦」を取得しました。
「賢瓦」は、サイトに訪れたユーザーの離脱防止機能や、ユーザーの動きを観測してどのようにサイトを改善したらよいか示す機能などが含まれているツールです。比較的低単価のため、アフィリエイトサイトやECサイトを運営されている方にはかなりの実績があります。当社の取引先とも非常に関連性が高いのではないかと考え、2023年4月から当社で運営しサービス提供を行っています。
メディア運営事業のご紹介
当社のメディア運営事業は大きく分けて読み物型の「コンテンツ型メディア」と、人々の意思決定を支援する「比較・検討型メディア」の2つがあります。
売上高推移/事業利益推移
メディア運営事業の第2四半期売上高は7億5,500万円で、比較サイトが好調に推移し過去最高の四半期売上高となりました。一方で事業利益が前年を下回った主な理由は、コンテンツ型メディアの広告単価が下落したことが挙げられます。
比較サイトは集客のために一定の広告費をかけています。一方のコンテンツ型メディアはコンテンツ自体で集客をしているため、利益率が高い構造になっています。比較サイトの集客が増えたことに伴い売上高と広告費が増加しましたが、コンテンツ型メディアの売上高減少により事業利益への影響はそれほど大きくなかったということです。
サービス別推移 メディア売上高
メディア運営事業の売上高の内訳です。過去最高の数値であり前年同期を上回っていますが、コンテンツ型メディアの構成比が減り、比較・検討型メディアの構成比が上がりました。先ほどお伝えしましたが、コンテンツ型メディアは利益率が高いため、構成比が変わったことにより利益水準も変わり、売上高は増加したものの利益はそこまで高い水準には至りませんでした。
今回、コンテンツ型メディアの収益が減少した主な要因は、広告の表示方法に少し課題があり、一部のネットワーク広告の単価が下落したことによるものです。今は通常の状態に戻すべく、すでにサイト内改修は実施済みで単価の回復に注力しています。
自社メディアユーザー数
全体のメディアユーザー数自体はさほど減少しておらず、「ママスタ」に関しては順調に伸びています。
トピックス
「ママスタ」の月間閲覧数は約9.3億PVで、月間訪問者数は約1,380万UUです。
トピックス
「ママスタ」はさまざまなコンテンツを作ってきました。直近では、こども家庭庁が発足されるなど少子化対策や子育て政策が社会で重要なテーマになってきています。そこで「ママスタ」では、各自治体等がどのような取り組みを行っているかについて、積極的に行政の長にインタビューを行っています。
特に、先進的な事例を持つ行政エリアの知事や市長にインタビューを行うことにより、子育て世帯と行政で情報の格差がなくなり、子育て支援がよりスムーズに世の中に浸透すると思っています。
トピックス
行政との懸け橋となる一環として、子育て世帯の課題やニーズを行政に届けるため、「ママスタ」の閲覧者約3万人からいただいた回答を、こども家庭庁に提出しました。
トピックス
それ以外にも、学びの領域では「塾シル」の提携教室数を継続的に増やしており、もうすぐ1万という数字が見えてくるところまできました。
2023年9月期 事業方針
最後に、今期の事業方針についてご説明します。まずは「生産性向上と新規プロダクトの開発」です。こちらはインターネット広告事業を中心に進めます。従業員数が横ばいで推移している中で、1人当たりの生産性を上げることにより収益の拡大を図っています。先ほど、マーケティングテックサービスの一部をお伝えしましたが、これらの新規プロダクトなど、自社開発やM&Aを通じた新しい取り組みも始めています。
「メディアの継続成長と規模拡大」については、ユーザー数の拡大自体は継続して行いつつも、提供するコンテンツのバリエーションを増やしていきます。今回、収益面では単価の下落がありましたが、こちらはしっかりと対応しながら回復に努めたいと思います。
「グローバル展開のさらなる推進」については、持分法適用会社ではあるものの、ベトナムの社会全体で金融に対する規制などが起こっています。しかし、それ以外の国では徐々に地力をつけているため、連結売上高には大きな影響はないですが、持分法適用会社であるベトナムにおいても、早急に金融以外のクライアントも含めた回復に努めていきます。
中長期的な営業利益目標
全体としては、インターネット広告事業とメディア運営事業の両方を成長させながら、営業利益の構成比を50:50にしていこうと進めていますが、利益水準としてはまだこれからです。今回はメディア運営事業において少し課題がありましたが、構成比としては比較的近いところまで来ています。
今後はそれぞれの課題を解決しながら、大きく成長していきたいと考えています。
以上、2023年9月期第2四半期決算についてご説明しました。お忙しい中ご参加いただきありがとうございました。