開示されているデータでは、60歳代以上が41.4%、50歳代が27.3%となっています。つまり、50歳代以上が約70%を占めることになります。

一方、より若い層に目を向けると29歳以下の購読世帯数はわずか0.7%。30歳代も7.2%に過ぎません。つまり39歳以下の比率は約8%です。39歳以下というと、学生時代には携帯電話が当たり前のようにあり、スマホも自由に使いこなせる世代です。

冒頭にご紹介した新聞を購読していない経営者は30歳代でした。経営者として新聞を読まないのはいかがなものかという批判はあるにせよ、必ずしもイマドキのビジネスパーソンが紙の新聞を購読しているとは言えない状況にあるようです。

現在39歳以下の層がこれから年齢を重ねていったときに、紙の新聞に対する接点をどのように確保するのか、またどのようなメディア―紙かネットなのか―といった議論が必要でしょう。

新聞購読者層と世帯収入

新聞の購読者層と世帯年収の関係もあわせて見ておきましょう。

同じく読売新聞の世帯購読プロフィールを見ると、最も比率が高いのが700万円~1000万円未満の層で、全体の22.5%を占めます。

また、世帯年収500万円未満の世帯も全体で33.6%を占めており、必ずしも世帯年収の高い層だけが新聞を購読しているわけではありません。

こうしてメディアとしての新聞を見てみると、世帯年収によるばらつきがあるものの、必ずしも世帯年収が高い層だけが有料で情報を手に入れているわけではなく、幅広い層にリーチしていると言えます。ただ、高齢の年金を受給している世帯における購読や、新聞購読におけるチラシなどの副次的なメリットなども考慮する必要があるでしょう。

若い層は新聞を読まないとは言うけれど

若い世代の新聞の購読比率は全体からすると低いことを見てきましたが、情報を収集し分析することが本業である40歳代の証券アナリストは次のように言います。

「情報の信頼性が最も高いのは当事者によるプレスリリースや適時開示等で正式に公表した内容です。ただ、現時点では、速報やすっぱ抜きというものもあり、新聞をはじめとしたメディアにも依然として存在感があります」

速報などをどの程度の人が必要とするかは議論の余地がありそうですが、情報を扱う人によっては評価されているようです。

その一方で、前出のアナリストは続けます。

「私のような仕事をしている者が新聞に期待するのは、一般の人が普段会えないような政治家や経営者に対し、新聞記者がアクセスして得た情報に基づく記事です。そうした情報をもとにした秘話のような読み応えのある記事は重宝します」

みなさんは、新聞をどのように活用していますか。

青山 諭志