また、「今後必要になると意識している費用について、資金計画をたてていますか」という問いに対して、「計画をたてている」と答えた全国平均は38.0%ですが、それよりもはるかに低い結果が出た県があります。「計画をたてている」と答えた人が30%を切った県が3つあり、ワースト(47位)は秋田県(27.7%)、46位・徳島県(28.2%)、45位・島根県(29.3%)です。
逆に、定年後の生活費の認識が高い県は、1位・鳥取県(56.4%)、2位・奈良県(56.1%)、3位・高知県(54.7%)となっています。計画をたてていると答えた県は、1位・岡山県(43.0%)、2位・奈良県(42.8%)、3位・福井県(42.4%)となっています。
金融リテラシー調査は県民性にも影響を受ける?
調査の結果を見ると、定年後の生活費の認識も低く、実際に計画も立てていないという、両方に入っている県もあります。いわば、定年後の生活費に無頓着な県と言えそうです。ワースト3の両方に入っているのは、島根県と秋田県です。
島根県は、昔の出雲(県東部)、石見(県西部)、隠岐の3つの地方で性格が大きく異なるとされます。出雲、隠岐は保守的な人が多い一方で、銀山のあった石見は経済力が豊かなで、他の地方からの商人などの出入りも多く、開放的だと言われます。ただし、お金の使い方についても、あまり気にしないところもあるようです。
秋田県は江戸時代、米の収穫量も多く、海運も栄えたことから、お金の使い方も派手で「秋田の着倒れ、食い倒れ」とも言われました。あまり細かく計画を立てるのも苦手で、よく言えば楽観的でおおらかなところがあるようです。
調査の結果は、このあたりの歴史や県民性の影響を受けているようにも思えて、興味深いところです。
下原 一晃