2023年5月2日に発表された、プレミアグループ株式会社2023年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:プレミアグループ株式会社 代表取締役社長 柴田洋一 氏

目次

柴田洋一氏:みなさま、こんにちは。プレミアグループ株式会社代表取締役社長の柴田洋一でございます。本日はご多用の中、当社の2023年3月期の決算説明動画をご視聴いただきありがとうございます。それでは、決算概要から新中期経営計画についてご説明させていただきます。

キーメッセージ

まずはキーメッセージです。現状の市場環境について、中古車価格は2023年3月期の前半は非常に高騰していたものの、今年に入ってようやく正常化の兆しが出てきました。マーケット状況についても、第4四半期にかけて徐々に回復傾向にあります。また、金利上昇が懸念されていますが、短期的には急激な上昇は見られない状況です。

その中で当社のKPIと業績については、クレジット、故障保証ともにトップラインは2桁成長を記録しています。営業収益、営業利益についても順調に推移し、税引前利益は前年比33パーセント増で推移しています。

2023年3月期が中期経営計画「VALUE UP 2023」の最終年度でしたが、有料会員組織「カープレミアクラブ」の構築に注力し、約3,000社まで拡大することができました。お客さま向けサイト「クルマのことなら カープレミア」も開設し、プラットフォーム構想の基盤をしっかりと構築することができたと感じています。

2023年3月期で最終年度となるため、新たな中期経営計画を本日開示します。概要としては、最終年度の2026年3月期において、営業収益440億円、税引前利益102億円を見込んでいます。

あらゆるオートモビリティサービスを手がけるカープレミア事業モデルをしっかりと確立し、既存事業の持続的成長とオートモビリティサービス事業の規模拡大、DXによる業務効率化を進めていきます。新中期経営計画については別途動画でご説明します。

2023年3月期 ハイライト①

決算概要です。新車生産は回復しており、中古車市場も若干のマイナスですが第4四半期にかけて徐々に回復傾向にあります。とはいえ、まだ伸びが低い状況の中、トップラインについてはコア事業であるクレジット取扱高、故障保証取扱高ともに大きな成長を遂げることができました。

2023年3月期 ハイライト②

各セグメントが順調に伸長し、上場来6期連続で増収増益を果たすことができました。特に税引前利益については前年比33パーセント増です。

タイの関連会社の過年度減損の戻入が9.3億円ありましたが、こちらを除いても2桁成長を遂げています。当社のビジネスはストック収益ですが、将来収益も前年比21.5パーセント増の439億円まで積み上げることができています。

2023年3月期 ハイライト③

2023年3月期は中長期的な成長に向けてさまざまな施策を実施しました。主にカープレミア事業に大きく重点をおき、LDH所属グループの「GENERATIONS from EXILE TRIBE」を起用したテレビCMの放送実施や、中期経営計画最終年度に向けて税引前利益49億円の目標に対し53億円の実績を積むことができました。コロナ禍で中古車市場が想定外に低迷しましたが、利益目標は大きく達成しています。

ESGについてもアースクリーン活動への参加を積極的に行い、持続可能な社会づくりに貢献しています。人的資本についても、2024年3月期より新卒初任給を約17パーセント引き上げ、従業員のWell-beingの向上や優秀な人財の確保を目指します。

連結業績

連結業績のご報告です。営業収益は、前年比20.9パーセント増の約253億円です。先ほどお伝えしたテレビCMをはじめ、マス広告などの先行投資を実施しています。その関係で、営業利益は営業収益の伸びには若干及びませんが、それでも10パーセント近い伸びで成長をしっかりと維持しています。

営業費用(内訳)の推移

営業費用の内訳の推移です。中長期的な成長に向け、先ほどもお伝えしたマス広告の先行投資を実施しました。パンデミックが収束するにつれ、営業活動がほぼコロナ禍前の内容に戻ってきたことやDXへの投資などもあり、その他費用については若干増加の幅が大きくなりました。

次の事業に向けた先行投資という意味も含め、DXの効果もあり、営業費用も抑えるべきところはしっかりと抑えていくかたちになっています。

セグメント別業績

セグメント別の業績です。各事業とも順調に伸長し、営業収益は過去最高を更新しています。営業収益のうち、特にオートモビリティサービス事業とカープレミア事業の占める割合が増加し、計画どおりに推移しています。

故障保証事業については、税引前利益が前年比28.4パーセント減となっていますが、2021年3月期にプレミアワランティサービス株式会社を設置し事業化しており、今年度は事業が順調に推移しています。2023年3月期より本部経費を付加している関係で、実質前年比14.6パーセント増となっています。そのため、こちらの事業も営業収益・営業利益ともに伸びています。

ファイナンス事業 クレジット取扱高推移

各事業についてご説明します。まずはファイナンス事業です。オートパーヘッド(PH)の伸びが依然として低い中、トップラインに関しては前年比20.5パーセント伸びています。当社の想定を上回る伸びを着実に記録できたと感じています。

特に営業人員のオートPHに関しては初めて2億円を突破し、的確な効率化を実施できていると思います。カープレミア事業で有料会員化による囲い込みを行ったことで当社の競争優位性を堅持でき、これらの成果が出てきたのだと思います。これが取扱高の拡大や営業効率化を図れた一番大きな要因だと感じています。

ファイナンス事業 クレジット債権残高推移

クレジット債権残高についても5,000億円を突破し、大きく伸長することができました。DX施策による効率的な架電を実施して初期延滞の解消を継続し、サービサー子会社と協業して中長期延滞の回収活動を強化してきました。

延滞債権残高率は前年の0.78パーセントから0.81パーセントと若干増加していますが、引き続き低い数値で優良債権を積み上げています。

ファイナンス事業 その他指標

その他の指標について、加盟店社数は前年比おおよそ2桁増で、6.3パーセント増と若干伸びが低いですが、これは営業活動において加盟店の新規開拓よりも有料会員への移行促進を優先したことによります。結果として、加盟店の有料会員化が進んでおり、成果があったと感じています。

営業人員数は前年比5名増です。トップラインが前年比20パーセント増の中でこれだけの人員に抑えられており、ペーパレス導入が営業活動の効率化に大変役立っています。

AI審査は、39.1パーセントまで自動審査を実施することができるようになりました。ファイナンス事業においてはさらなる仕組み化と効率化を図ることで、収益率の向上をますます期待できるのではないかと感じています。

故障保証事業 取扱高推移

故障保証事業になります。マーケットが伸び悩む中、取扱高については前年比で2桁成長の11.9パーセント増となりました。特に注力している自社商品については、前年比24.3パーセント増と継続的に伸長しています。

故障保証事業についても、「カープレミアクラブ」への移行促進を開始しています。今後も保証サービスの取扱高増加をさらに図っていきたいと思います。

故障保証事業 原価低減施策/部品売上

故障保証事業では、故障が発生することによって収益が減っていきます。原価低減施策としては、取扱部品を拡充することで保証修理の提供部品(部品売上の内部)の支給率を増やすことと、整備工場ネットワークへの入庫を促進することを挙げています。

さらに、外部に対しても部品を販売しているため、故障保証事業の中での自動車部品の売上も順調に伸びています。

オートモビリティサービス事業 業績推移

オートモビリティサービス事業についてご説明します。こちらも「カープレミアクラブ」有料会員向けサービスの開発や新規事業に注力してきました。

その結果、サブスクリプションのリースに関しては前年比43パーセント増、ソフトウェア販売は前年比31.8パーセント増、車両卸販売についてはほぼ倍増となり、営業収益を大きく増やすことができました。また「カープレミアサイト」のサービスを拡充し、有料会員への送客強化につなげています。

カープレミア事業 カープレミアクラブ会員数推移

カープレミア事業です。自動車販売店のディーラーと整備工場のガレージの有料会員組織である「カープレミアクラブ」も順調に構築できています。特に「カープレミアディーラー」に関しては、前年比1,056社増の2,581社となりました。

サービスの拡充により、今後はゴールド会員からダイヤモンド会員へのアップセル、また会員のさらなる拡大や会費収入の増加も図っていきたいと考えています。

「カープレミアガレージ」は、ゴールド会員数が335店舗になりました。2023年3月期まではシルバー会員というランクがありましたが、収益性を鑑み、シルバー会員は廃止する予定です。

シルバー会員を含めた有料会員数は減少していますが、シルバー会員をゴールド会員、ダイヤモンド会員とつなげていくことにより、収益的には大幅なプラスになっていくと感じています。

また、全国に約4,300社の整備ネットワークを保有しており、今後の有料会員数増加につなげていくベースになると考えています。

2024年3月期 業績・配当予想

2024年3月期の業績・配当予想についてご説明します。営業収益は、前年比20.7パーセント増の305億円です。税引前利益は、前年比12.3パーセント増の60億円を見込んでいます。

2023年3月期は過年度の減損戻入があったため、一過性の利益が約9億円発生しましたが、これを除いた場合、前年比約36パーセントの伸びとなります。これを含めて2桁の伸びとご理解ください。

年間配当は通期で5円の増額を実施したいと考えています。

中期経営計画「ONE&ONLY 2026」 Summary

最後に、新しい中期経営計画についてお話しします。当社は2024年3月期から始まる3ヶ年の中期経営計画として「ONE&ONLY 2026」をキャッチフレーズに掲げ、中期ビジョンとして唯一無二のオートモビリティ企業を目指し、カープレミア事業のモデルをしっかり確立していきたいと考えています。

数値目標としては、3年後に営業収益440億円、税引前利益102億円、当期利益70億円、ROE30パーセント台、時価総額はレンジではありますが1,400億円から1,750億円を目指したいと考えています。

これらを達成するための重要課題については、ベースとして「カープレミア」のネットワークがあります。この事業モデルを確立することにより、既存のファイナンス事業・故障保証事業・オートモビリティサービス事業のすべてがWin-Winのシナジーを発揮することで、数値目標を達成します。

そして、中期のビジョンである唯一無二のオートモビリティ企業を目指したいと考えています。中期経営計画については、別途ご説明したいと思います。

2024年3月期 セグメントについて

2023年3月期は、ファイナンス事業・故障保証事業・オートモビリティサービス事業・カープレミア事業の4つの事業で行ってきました。

中期経営計画でお伝えしたとおり、すべての事業が「カープレミア」のビジネスモデルの中で展開していくため、2024年3月期よりファイナンス事業・故障保証事業・オートモビリティサービス事業の大きく3つのセグメントとし、カープレミア事業はオートモビリティサービス事業に統合します。

これにより、すべてのビジネスモデルが「カープレミア」の中で機能し、さらにシナジーを発揮できるかたちをとっていきたいと考えています。

以上で、2023年3月期の決算説明を終了します。本日はご清聴いただきありがとうございました。

記事提供: