2023年5月10日に発表された、ユナイテッド株式会社2023年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ユナイテッド株式会社 代表取締役社長兼執行役員 早川与規 氏

アジェンダ

早川与規氏:ユナイテッド代表取締役社長の早川でございます。それでは、私から2023年3月期通期決算説明を開始します。本日は、2023年3月期通期決算概要、事業概況、2024年3月期の方針の順にご説明します。

2023年3月期 通期業績ハイライト

2023年3月期通期業績については、インベストメント領域、およびアドテクノロジー領域が好調に推移し、売上高は131億4,000万円で前期比プラス3.3パーセント、営業利益は58億2,300万円で前期比プラス1.5パーセントと、増収増益の結果となりました。

領域別に見ていきます。DXプラットフォーム領域は、売上高は23億4,300万円で前期比プラス0.3パーセント、営業損失はマイナス4億600万円で、前期比マイナス2,300万円となりました。

インベストメント領域は、売上高は70億2,800万円で前期比プラス6.8パーセント、営業利益は66億2,000万円、前期比プラス6.7パーセントとなりました。

コンテンツ領域は、売上高は28億1,600万円で前期比マイナス2.4パーセント、営業利益は4,100万円で前期比マイナス90パーセントとなりました。

アドテクノロジー領域は、売上高は9億6,100万円で前期比プラス4.7パーセント、営業利益は4億7,700万円で前期比プラス5.3パーセントとなりました。 

2023年3月期 業績予想比較

業績予想との比較についてです。スライドに記載のとおり、売上高、営業利益、経常利益は業績予想を上回って着地しました。

当期純利益については、クラッシュフィーバーの共同運営権持分譲渡による特別利益3億6,500万円を計上した一方、法人税等の金額が計画より増加したことで、業績予想をわずかに下回って着地しました。

EPSについては、自己株式の取得および償却の実施により、業績予想を上回って着地しました。

期末配当について

期末配当についてです。連結配当性向20パーセントの方針に基づき、期末配当23円、年間配当43円となる増配を予定しています。

DXプラットフォーム領域 売上高・営業利益推移

ここからは、通期の各事業概況についてご説明します。はじめに、DXプラットフォーム領域についてです。

売上高は、教育事業「テックアカデミー」の受講者数減少による減収を人材マッチング事業の成長により補い、前期比で増収となりました。営業利益は人材マッチング事業への先行投資により、前期比で赤字幅が拡大しました。

インベストメント領域 売上高推移・営業投資有価証券残高

インベストメント領域については、有価証券の売却、およびLP出資先の運用益を計上したことにより、売上高は70億2,800万円、前期比プラス7パーセントで着地しました。

コンテンツ領域 売上高・営業利益推移

コンテンツ領域についてです。売上高は、クラッシュフィーバー譲渡の影響により、前期比で減収となりましたが、フォッグ、インターナショナルスポーツマーケティングでは増収となりました。営業利益はクラッシュフィーバー譲渡の影響により、減益となりました。

アドテクノロジー領域 売上高・営業利益推移

アドテクノロジー領域についてです。主に上期に大型広告主の広告予算が増加したことで、前期比で増収増益となりました。本領域では、2021年2月の分社化以降、増収増益を続けており、継続的に収益貢献しています。

2024年3月期以降の事業セグメントについて

ここからは、2024年3月期の方針についてご説明します。はじめに、事業セグメントの変更についてです。

当社では2023年3月期に教育事業、人材マッチング事業、投資事業をコア事業として設定しましたが、これらを明確化する目的で、スライドに記載のとおり、事業セグメントを変更します。

DXプラットフォーム領域は教育事業と人材マッチング事業とし、インベストメント領域は投資事業とします。アドテクノロジー領域とコンテンツ領域は収益期待事業として、アドテク・コンテンツ事業として統合し、安定的な収益基盤とする計画です。

2024年3月期の全体方針

全体方針についてです。2024年3月期については教育事業、投資事業、アドテク・コンテンツ事業にて創出される利益を、人材マッチング事業の中期的な成長に向けて先行投資します。

2024年3月期 業績予想

業績予想はスライドの表のとおりです。保有上場株式については、現在の市況を鑑みて前期比で売却の抑制を計画しています。当期純利益については、前期に特別利益を計上した反動により、前期比マイナス20パーセントとなる見通しです。

2024年3月期 事業別見通し

事業セグメント別の見通しについてご説明します。教育事業では「Yahoo!テックアカデミー」など、提供サービスの拡充により、売上高、営業利益ともに増加の見通しです。

人材マッチング事業の売上高は、各事業が成長を続けており増加を見込んでいます。営業利益は、広告費および体制強化による人件費増加により横ばいの見通しです。

投資事業においては、保有上場株式の一部について、先渡契約による売却を実施します。その他保有上場株式は、市況を鑑みて前期比で売却を抑制する見込みです。

アドテク・コンテンツ事業については、フォッグの成長により売上高の増加を見込んでいます。営業利益はアドテクノロジー事業で、一部業種の広告出稿量低下が予想されるため、減少する見通しです。

資金用途について

ここからは、今後の資金用途についてご説明します。資本効率の向上および資金の最適な活用を図るため、事業投資の継続に加え、株主還元の拡充を実施します。

事業投資としては、人材マッチング事業への先行投資、M&A・資本業務提携、投資事業におけるスタートアップへの投資、この3点を中心に投資を継続し、中期的な事業成長を目指します。

また、株主還元の拡充として3つの施策を実施します。1つ目は方針の変更です。これまで当社では、株主還元の方針として、配当性向20パーセントによる配当と自己株式の取得を行ってきましたが、今期から配当については、DOE4パーセントまたは配当性向50パーセントのいずれか大きい金額を配当金とする方針へと変更します。

2つ目は、記念配当の実施です。ユナイテッド発足10周年を記念した記念配当50円を実施します。3つ目は、株式分割の実施です。1株につき2株の割合で分割を行い、株式の流動性向上を目指します。

2024年3月期 配当予想

株主還元の拡充の3施策を踏まえた、今期の配当予想についてご説明します。配当方針の変更により、普通配当は46円となり、前期比でプラス3円です。これに記念配当50円を加えて、1株あたりの配当金は合計96円となり、前期比でプラス53円となる見通しです。

なお、以上の配当金は株式分割を考慮しない場合の金額となります。2023年6月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施予定です。

株主還元の拡充① 配当方針の変更

ここからは、株主還元の拡充に関する詳細をご説明します。はじめに、配当方針の変更についてです。

先ほどご説明したとおり、これまで当社では、配当性向20パーセントによる配当と自己株式の取得を行ってきましたが、今期からは、DOE4パーセントまたは配当性向50パーセントのいずれか大きい金額を配当金とする方針へと変更します。投資事業における保有株式の売却時期により大きく変動する短期的な業績に左右されず、安定した配当を実現させるために、DOEを採用しました。

一方で、多額の利益が発生した場合には、それに応じた株主還元を可能とするため、配当性向も併用し、株主還元の最大化を図ります。

株主還元の拡充② 記念配当の実施

続いて、記念配当についてです。前期にユナイテッド発足10周年を迎えたことを記念して、1株当たり50円の記念配当を実施します。これにより、配当方針の変更と合わせて、前期比でプラス53円の増配となる予想です。

総還元性向の推移

配当方針の変更、および記念配当の実施により、総還元性向は上昇する見通しとなっています。前期まで実施していた自己株式取得については、流通株式数の低下を鑑みて、実施を見送りとします。

株主還元の拡充③ 株式分割

最後に、株式分割についてです。投資単位当たりの金額を下げることで、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を目的に、1株につき2株の割合で株式の分割を行います。

教育事業 サービス紹介・ビジネスモデル

ここからは、各事業の方針をご説明します。まずは教育事業についてです。

教育事業では、プログラミングやアプリ開発を学べるオンラインスクール「テックアカデミー」や、ヤフー株式会社が持つノウハウをもとに実践的なスキルを習得できる「Yahoo!テックアカデミー」を運営しています。

また、「テックアカデミーワークス」を中心に実践的なスキルの習得に向けた実務機会を提供し、キャリアチェンジ支援を行う事業を展開しています。

教育事業 競争優位性(キラメックス㈱)

教育事業の競争優位性についてご説明します。

1つ目は合格率10パーセントを通過した質の高いメンターによるマンツーマンの指導、2つ目は定期的なメンタリングや毎日のSlackサポート、3つ目は先にご説明した「テックアカデミーワークス」による実務機会の提供です。これらを通じて、高い教育品質を実現しています。

教育事業 成長方針

続いて、今期の教育事業の成長方針についてです。教育事業では、提供サービスの拡充による再成長と、事業領域の拡張の2つを方針としています。

Generative AI活用に向けた新コースを開講予定

提供サービスの拡充の1つとして、今年6月に、生成AI活用に向けた講座である「はじめてのプロンプトエンジニアリングコース」の開講を予定しています。本コースでは、大規模言語モデルの理解と、ChatGPI等の生成AIを実務で利用することを目的としたスキルの習得を行います。

人材マッチング事業 ビジネスモデル・事業紹介

人材マッチング事業では、カソーク株式会社を中核会社として、副業、フリーランスを中心としたデジタル人材や転職希望者と成長志向企業のマッチングを行います。

人材マッチング事業 成長方針

続いて、人材マッチング事業の成長方針についてです。人材マッチング事業では、既存事業の成長、投資事業との連携強化、M&A、新規事業開発の強化の3つを方針としています。

人材マッチング事業 既存事業の成長/投資事業との連携強化

既存事業において、KPIである利用社数が増加しており、前年同四半期比で、プラス150パーセントとなっています。

投資事業との連携では、投資先スタートアップに対して、そのステージに合わせて副業・転職といった柔軟なかたちで成長に必要な即戦力人材を紹介することで、投資先のバリューアップにつなげます。

投資事業 競争優位性

投資事業では、記載の4つを競争力の源泉とし、スタートアップへの投資を実行しています。

投資事業 成長方針

投資事業では、年間20社に対して合計10億円を目安に、継続的に投資実行予定です。今後はリード投資家としての投資件数を増加し、ハンズオン支援強化を図ります。引き続き、投資先支援組織であるUVS(UNITED Venture Success、ユナイテッドベンチャーサクセス)により、バリューアップに向けたハンズオン支援を実行します。

投資事業① 投資件数の拡大・投資先の成長

2023年3月期では、18社、合計8億2,500万円の投資を実行しました。2023年3月末時点での保有株式に対する評価は、時価総額で約125億円、含み益は約80億円となっています。

投資事業② 事業連携によるハンズオン支援強化

投資事業では、キャピタリストとストラテジストによって構成される投資先支援組織であるUVSにおいて、ハンズオン支援を実行しています。支援例にあるような事業戦略立案から実行フェーズまで幅広い支援を実施することで、投資先バリューアップへの貢献を目指します。

投資事業 投資先の新規上場

本年4月19日に、投資先であるエキサイトホールディングスが東京証券取引所スタンダード市場へ新規上場しました。引き続き積極的な投資実行により、ポートフォリオの拡大を目指します。

投資事業 主なスタートアップ投資先

主なスタートアップ投資先については、スライドに記載のとおりです。第4四半期では新たに6社に投資実行し、リード投資家としての投資実行も強化しています。

投資事業 主なLP出資先

主なLP出資先はスライドに記載のとおりです。多数の外部ファンドへLP出資を行うことで、運用益の計上を見込むとともに、新規投資案件のソーシング先としても連携します。

アドテク・コンテンツ事業 各事業の方針

最後にアドテク・コンテンツ事業について説明します。アドテク・コンテンツ事業は、収益期待事業として、各社個別の戦略で安定的な収益基盤を形成し、営業利益の創出を行っていきます。

以上、2023年3月期通期決算についてご説明しました。ありがとうございました。

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