文部科学省は、2023年4月4日に返済義務のない給付型奨学金を利用できる対象者を拡充すると発表しました。

とはいえ、今回の拡充案によって対象となるのは20万人程度で、基本的に教育資金の確保には自助努力が必要です。

子どもの成長に応じてかさむ教育費はいくらかかって、どのように準備すれば良いのでしょうか。

本記事は、国公立と私立に通った場合、学費の差額がいくらになるか解説し、教育費をどう準備するべきか紹介します。

国公立大学と私立大学に通った場合の学費

国公立大学と私立大学に通った場合の学費の差を見ていきましょう。

文部科学省が公表した「国公私立大学の授業料等の推移」によると、それぞれの授業料は次の通りです。

  • 国立大学:53万5800円
  • 公立大学:53万6363円
  • 私立大学:93万943円

入学金もあわせると、国公立大学と私立大学の学費は以下の通りです。

授業料の差が年間で約40万円となっています。

出所:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」のデータを参考に筆者作成

4年間通った場合は、国公立大学と私立大学で約150万円の差が生じています。

子育て世帯の年収は平均600万円?

厚生労働省が公表した「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると、18歳未満の児童のいる世帯の平均総所得金額は、2020年で813万5000円となっています。

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

給与や賞与から受け取っている所得は、雇用者所得の約695万円です。

つまり、子育て世帯の年収は、およそ695万円といえるでしょう。

ただし「児童のいる世帯」は18歳未満の子どもがいる世帯なので、子どもが生まれたばかりの世帯では、所得状況が同じなのか確認します。

厚生労働省「2021年度 出生に関する統計の概況」「2021年人口動態統計」によると、第1子を出産した女性の平均年齢は30.7歳で、平均初婚年齢は男性31.0歳、女性29.5歳でした。

子どもが生まれたばかりの世帯年収は、男女とも30代が参考となります。

30代における1世帯当たりの所得を確認すると、636万3000円でした。

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

以上から、子どもがいる世帯の年収は600万円台でした。

とはいえ、子どもが生まれたばかりだと約636万円となっており、695万円より約60万円少ないです。

では、子どもの教育資金をどのように準備していけばよいか、有効な対策について解説します。

教育資金を確保するための有効な準備3選

将来の教育資金を確保するために有効な準備の方法を、以下の3つにわけて紹介します。

  • 貯めるお金と増やすお金に分類
  • 貯めるお金は預貯金
  • 増やすお金はNISAや投資信託

それぞれの準備について解説していきましょう。

1. 貯めるお金と増やすお金に分類

教育資金は、すぐに使う可能性がある資金と、将来的に必要になる資金とに分類しておきましょう。

分類の基準は、教育資金として使うタイミングで分けてください。

  • 貯めるお金:子どもが生まれてから10歳未満までに使う費用
  • 増やすお金:子どもが10歳以降になってから使う費用

すぐに使う資金と中長期的に使う資金に分けたら、適切な手段にそれぞれ資金を分散させます。

分散する手段について、それぞれ確認していきましょう。

2. 貯めるお金は預貯金

教育資金としてすぐに使う可能性がある分は、預貯金に貯めておきましょう。

預貯金は利率が低いため、預けていても増えるわけではありません。

ただし、流動性のリスクは低いので、引き出したいタイミングで資金化できる点がメリットです。

高校や大学へ進学する資金より前に使いたいお金があれば、預貯金で準備しておきましょう。

3. 増やすお金はNISAや投資信託

教育資金でお金を増やす分野には、NISAや投資信託が有効です。

10年程度の運用期間が必要ですが、投資を継続していると安定した成果を出せる期待が高まります。

そのため、大学進学に必要な資金の確保は、投資信託やNISAでの長期間運用も検討しましょう。

進学先に合わせた教育費の準備を

子どもの進学先によって、教育費の負担も変わります。

子どもの希望をしっかりかなえられるように、計画的な準備が必要です。

これから必要になる教育資金を想定しながら、早めに準備を行っていきましょう。

参考資料

川辺 拓也