2023年4月より、NHK受信料未納者に対する割増が強化されました。
総務省は、正当な理由がないまま受信料を正しく支払わない人に対し、日本放送協会(NHK)側から割増金を請求できる制度の導入を認めました。
そもそも、なぜ受信料を支払う必要があるのか、その理由を知らないという人は少なくありません。
割増制度が導入されるほど未納の人が多いという現状が、その実態を物語っています。
この記事では、NHK受信料の支払い義務や未納の実態、2023年4月から強化された未納者への割増について解説します。
NHK受信料とはどんな料金?
日本放送協会(NHK)の受信料とは、どのような意味を持つ料金なのでしょうか?また、必ず支払わなければならない義務のあるものなのでしょうか?
●受信料は公共放送を運営するための費用
日本放送協会(NHK)は、放送法に基づいて運営される、日本唯一の公共放送です。
放送法15条では、日本放送強化(NHK)について以下のように規定しています。
協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び協会国際衛星放送を行うことを目的とする。
引用:総務省「放送法」
民法放送局とは異なり、コマーシャルのない公共放送であるNHKは、企業などからスポンサー料を受け取ることができません。
そのため、契約者から徴収する受信料で運営費を賄うことになっています。
●NHK放送を受信できる機器を持つ人には支払う義務がある
放送法64条では、以下のように定められています。
協会の放送を受信することのできる受信設備(次に掲げるものを除く。以下この項及び第三項第二号において「特定受信設備」という。)を設置した者は、同項の認可を受けた受信契約(協会の放送の受信についての契約をいう。以下この条及び第七十条第四項において同じ。)の条項(以下この項において「認可契約条項」という。)で定めるところにより、協会と受信契約を締結しなければならない。
引用:総務省「放送法」
つまり、NHKを見ることができる受信設備(テレビ等)を設置した人は、NHKと受信契約を結ばなければならないと定められています。
また、放送法にもとづき総務大臣の許可を得た日本放送協会放送受信規約において、受信契約を結んだ人は、放送受信料を支払わなければならないと義務づけられています。
●受信設備はテレビ以外も対象になる
ここでいう「受信設備」の対象はテレビだけではありません。
NHKが受信できる受信設備は全て対象です。
テレビ以外にも携帯電話(ワンセグ)やスマートフォン、パソコンやカーナビなども対象となる可能性があります。
一方で、テレビを持っていても放送を受信していない場合や、機器が壊れている場合などは受信契約を結ぶ必要はありません。
NHKの受信契約は1世帯につき1契約です。
テレビを複数台持っていたり、テレビ以外の受信設備を持っていたとしても、受信契約は1つで済みます。
受信契約の申込期限は「機器を設置した月の翌々月の末日まで」となっています。
未納の実態と割増制度
受信料を支払っていない人の割合はどの程度なのでしょうか?また、このまま支払いを拒んでいると、どのようなペナルティが課せられるのでしょうか?
●5人に1人の世帯が支払っていない
NHKが実施した、受信料の推計世帯支払率(2021年度末)によると、全国の支払率の平均は78.9%です。
受信料未納者の割合は20%以上に及び、およそ5人に1人の世帯が支払っていないことになります。
●未払い世帯には割増金が課される
2023年4月より、テレビを設置しているにも関わらず受信料を支払っていない世帯に向けて割増金を課す制度が開始されました。
割増金が徴収されるのは、以下のケースです。
- 不正な手段により、受信料の支払いを免れた場合
- 正当な理由がなく、期限までに受信契約の申込をしなかった場合
これによって、正規の受信料の2倍の金額が割増金として請求されることになり、通常の受信料と合わせて3倍の金額を支払わなければなりません。
●支払いに応じない場合は民事訴訟も?
受信料未払いの状況が続いていると、NHKでは訪問や文章などによって受信料制度の意義を説明し、それも支払わない場合は法的措置として支払督促や民事訴訟が行われることになります。
民事訴訟の事態に発展させないためにも、正当な理由がない場合は速やかに支払うようにしましょう。
受信料が免除される人とは
受信設備を持っている人は必ず支払わなければならない受信料ですが、NHKでは一定の要件を満たせば支払いが免除される制度を定めています。
以下にて解説します。
●全額免除される人
受信料が全額免除されるのは、以下のような人です。
- 公的扶助受給者
- 市町民税非課税の身体障害者
- 市町民税非課税の知的障害者
- 市長印税非課税の精神障害者
- 社会福祉施設等入居者
- 奨学金受給対象等の別住居の学生
●半額免除される人
受信料の半額免除が認められるのは、以下のような人です。
- 視覚・聴覚障害者
- 重度の身体障害者
- 重度の知的障害者
- 重度の精神障害者
- 重度の戦傷病者
●免除には自身で申請を行う必要がある
上記の条件を満たしているからといって、自動的に免除になる訳ではありません。
免除の適用を受けるためには、自身で免除申請書を提出する必要があります。
自治体やNHKの窓口にある免除申請書を記入し、住んでいる自治体で免除事由の証明を受け、NHKに提出するという流れです。
NHK受信料のまとめ
NHKの受信料は、テレビを持っていなくても、NHK放送を受信できる設備を持っていれば支払う義務が生じます。
支払いを拒否していると、通常の2倍の割増料金が課されることになるため、必ず正しく支払うことが大切です。
身体や経済的な理由でどうしても支払いが困難な場合、受信料の免除制度を受けることも可能なので、受信料の意義や仕組みは正しく理解しておきましょう。