先週の世界株式市場の動き
日本株はやや冴えない展開だった一方で、欧米や新興国は概ね堅調に推移
先週(2017年8月21日~25日)の世界の株式市場は、日本は小幅下落となったものの、欧米や中国、新興国市場の一角は堅調に推移しました。
- 日経平均株価(日本) ▲0.1%下落
- TOPIX(日本) ▲0.0%下落
- NYダウ(米国) +0.6%上昇
- Nasdaq指数(米国) +0.8%上昇
- FTSE100(英国) +1.1%上昇
- DAX(ドイツ) +0.0%上昇
- 香港ハンセン指数(香港) +3.0%上昇
- 上海総合指数(中国) +1.9%上昇
- ボベスパ指数(ブラジル) +3.4%上昇
注:いずれも先週末(8月25日)と先々週末(8月18日)の終値比較。該当日に株式市場が休場の場合は、その直前営業日の終値。
米国と北朝鮮との軍事対立は小康状態が続く
先週は、従前からの懸念材料であった米国と北朝鮮との軍事対立は小康状態が続きました。これにより、今回の米朝軍事緊張の勃発で過度に売られた銘柄の買い戻しの動きが顕著になりました。
ただ、週末にジャクソンホール会議という重要イベントを控えていたこともあり、週の前半は模様眺めに徹する投資家も少なくなかったようです。
ジャクソンホール会議では“大山鳴動して鼠一匹”
さて、そのジャクソンホール会議ですが、終わってみれば目新しい材料は全く出て来なかったと言えます。注目されたイエレンFRB議長とドラギECB総裁の講演も、今後の金融政策に関する内容はほとんどありませんでした。事前の注目度が非常に高かったため、期待外れの感は拭えません。
「大山鳴動して鼠一匹」という故事諺通りになったと見ていいでしょう。ジャクソンホール会議の直前となった週後半は、会議でのサプライズを期待した先行買いの動きもありましたが、会議後は手仕舞い売りに走った可能性もあります。
トランプ政権内の混乱の改善は遅々として進まず
もう一つ注目されていたトランプ政権内での人事・政策混乱も、基本的には大きな動きはなく、引き続き混迷状態というところです。その分、ドル高(=円安)が進まず、日本の株式市場には本格的な反発の兆しが見えないまま週末を終えたと言えましょう。
また、17日にバルセロナ(スペイン)で起きた連続テロ事件も、主犯格の容疑者が逮捕(警察による射殺)されたことで、大きな懸念に発展することはありませんでした。
今週の世界株式市場の注目点
ジャクソンホール会議を終えても、引き続き大きな変動の可能性
今週(8月28日~9月1日)は、“空振り”に終わったジャクソンホール会議の内容を受け、週前半は為替相場や株式市場の動向が注目されます。また、米国の8月雇用統計発表に向け、様々な思惑が出てくることも考えられます。引き続き、金融市場の乱高下に注意するべきでしょう。
今週予定されている株式市場にインパクトを与えそうな主な予定は以下です。
- 8月21日~31日:米韓合同軍事演習(韓国)
- 8月27日:茨城県知事選挙(日本)
- 8月29日:自民党が憲法改正原案の素案を提示(日本)
- 8月31日:7月鉱工業生産(日本)
- 9月1日:民進党代表選挙(日本)
- 9月1日:8月雇用統計発表(米国)
日程は現地時間。現時点での予定のため、変更になる可能性あり。
米国の8月雇用統計発表への注目度が一気に増してきた
予定されているイベントの中では、9月1日(金)の米国雇用統計の発表が注目されましょう。本来、ジャクソンホール会議でイエレンFRB議長から金融政策に関して何らかが示唆され、雇用統計発表はその確認という位置付けでした。
しかしながら、ジャクソンホール会議では金融政策に関する示唆、つまり、今後の利上げ実施に関して何も出てきませんでした。その分、金曜日に発表される雇用統計の内容が非常に重要となったのです。
そのため、雇用統計発表を睨んだ仕掛け的な売買が活発になる可能性もあり、また、発表後には(その内容次第で)金融市場が大きく変動する局面もあり得ましょう。
北朝鮮の軍事挑発はエスカレートするか?
北朝鮮問題の再燃の懸念も残っています。米韓合同軍事演習が31日まで続くため、北朝鮮が何らかの軍事挑発に打って出る可能性があります。
実際、週末(26日)には、日本海に向けて3発の短距離弾を発射しました。これがミサイル発射など大規模な挑発につながると、金融市場にも影響を与えることは避けられそうにありません。
LIMO編集部