野村総合研究所の推計によると、日本における富裕層の世帯数と純金融資産総額は継続して増加傾向にあります。

これは、富裕層でなかった人が資産を増やして富裕層にステップアップしたことを意味します。

富裕層にほど遠い下の階層の人でも、意識を変えて行動を起こせば富裕層になるチャンスはあるかもしれません。

今回は、日本の富裕層の割合と資産、富裕層の行動について紹介します。

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1. 日本における富裕層の割合とは?

野村総合研究所では預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯の金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、世帯を5つの階層に分類しています。

そのうち、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満は「富裕層」、および5億円以上が「超富裕層」です。富裕層が139万5000世帯、超富裕層が9万世帯で、合計すると148万5000世帯でした。

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」

全世帯における富裕層の割合は、以下のとおりです。

1.1 日本の富裕層の割合

  • 超富裕層:約0.17%
  • 富裕層:約2.58%
  • 合計:約2.75%

超富裕層と富裕層を合計して3%にも満たない、一握りの階層であることがわかりました。

2. 増加傾向が続く「富裕層」の純金融資産総額の推移

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」

アベノミクスの始まった2013年以降、富裕層の純金融資産総額が増え続けています。

2013年以前は富裕層の世帯数、純金融資産総額ともに伸び悩んでいました。しかし、アベノミクスの円安株高などによって資産を大きく増やしたと考えられます。

その結果、準富裕層から富裕層へ、富裕層から超富裕層へと移行する人の増加により、富裕層全体が大幅に拡大したと推測できます。

このように下層からの移動が活発になったことから、マス層が富裕層になるのは難しくてもアッパーマス層を目指すことは可能といえるのではないでしょうか。

3. 富裕層の「お金がどんどん増える行動」4選

マス層がアッパーマス層を目指すには、富裕層の「お金が増える行動」を見習うのが早道といえます。そのポイントを見ていきましょう。

3.1 お金が増える行動1.成長する資産に投資する

富裕層はギャンブルなどにお金を費やすことはせず、事業や金融資産など価値が増していくものに投資します。

ギャンブルはマイナスサムゲームともいい、ゲームに参加した人の利益と損失の総和がマイナスになってしまうのです。一方、投資した事業や金融資産が成長すると、お金を出した人は全員成果を享受できます。これをプラスサムゲームといいます。

投資先を決める際にも、さまざまな要素から自分の基準で取捨選択します。

また、得られた利益をさらなる有望株に投資する複利効果を狙うなど、効率よく資産を増やすのも富裕層の行動の特徴です。

3.2 お金が増える行動2.お金を働かせる

富裕層は自分で事業を行っている人が多く、お金を貯め込むよりも働かせることを選びます。

お金は通帳に入っているだけではわずかの利息しか生み出しません。富裕層はそのような状況を「利益を得る機会の喪失」と考えるのです。

働いていないお金があれば金融資産に投資したり、新規事業に投資したりして新たな利益を得ようとします。

これは、利息が利息を生む「複利」の考え方と同じです。利益を新たな投資元本に組み入れることでベースとなる財産が拡大していき、それに伴い、得られる利益も大きくなっていくのです。

一旦、資産拡大が正のスパイラルになると、利益が再生産されていきます。

3.3 お金が増える行動3.必要なモノだけを買う

富裕層はモノを買うときの判断基準を、「値段が高いか安いか」では決めません。「必要か必要でないか」を基準とするのです。

必要のないものは、たとえ値段が100円だとしても買いません。反対に必要と判断すれば、高額なモノでも即座に買います。

私たちがあるモノを必要か必要でないかを見極める方法がいくつかあります。大体において、必要かどうかに迷いが生じるモノは、それがなかったとしても問題ない場合がほとんどです。

不要なモノを買うと、そのためのスペースや将来の処分の手間が発生します。迷った場合は大抵は必要ないと心得ましょう。

また、すでに持っているモノで代用できれば、当面は必要ないといえます。

お金の振り分けには優先順位付けが大切であり、富裕層はそのような判断を素早く行うことができるのです。

3.4 お金が増える行動4.健康への投資をする

富裕層は健康への投資を欠かしません。富裕層にとって一番の資本は自分自身です。自分が病気になって通常の生活を送れなくなると、事業や投資で資産を増やしていけなくなります。

正しい投資や経営の判断は、心身ともに健康な状態でないと難しくなるからです。

お金がたくさんあったとしても過食やお酒の飲み過ぎ、不規則な生活はしません。オーガニック食材などで良質の食事を規則正しく摂り、適度な運動を取り入れています。

また、朝早起きの富裕層も多く、一般の人が活動を始めていないうちから生産性の高い仕事をこなしています。

4. 富裕層の行動に学び、マス層からアッパーマス層へステップアップを

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富裕層の中には一代で資産を築いた人も少なくなく、日本においては誰もが目指すことは可能です。とはいえ、実際に到達できるのはごくわずかな人だけです。

しかし、昨今のFIREブームなどでストイックに資産形成に励む人も増え、アッパーマス層から準富裕層程度までは手が届く人もいるでしょう。

まずは富裕層の行動に学んでアッパーマス層を目指してはいかがでしょうか。

参考資料

松田 聡子