2023年4月17日に発表された、株式会社フューチャーリンクネットワーク2023年8月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社フューチャーリンクネットワーク 代表取締役 石井丈晴 氏
株式会社フューチャーリンクネットワーク 取締役 中川拓哉 氏
目次
石井丈晴氏(以下、石井):石井でございます。それでは、第2四半期決算説明を始めたいと思います。本日の流れとしては、まず事業内容についてお話しした後、第2四半期連結累計期間業績ハイライト、第2四半期トピックス、今後の成長戦略という順でお話ししたいと思います。
事業内容・会社概要
事業内容です。当社は2000年3月に創業しました。
事業内容・企業理念
創業以来、「地域の活性化を継続的かつ発展的事業の形で実現することで、社会に貢献する」という企業理念をもって事業を進めてきました。
事業内容・社会背景
少子高齢化という社会課題に対して、当社は付加価値情報を流通させることにより、地域の多様性創出に取り組み、地域活性化を実現したいという軸を持っています。もう1つの軸としては、今後人口が減少していくにつれ、自治体職員の人数も減少していきますが、その中でも地域の課題解決は必要ですので、官民協働に取り組んでいきます。以上の2つの軸で事業を展開しています。
事業内容・ビジネスモデルの概要
全体の概要からご説明します。当社は株式会社フューチャーリンクネットワークの直営地域、または、その他特定地域において、地域に密着したビジネスモデルを作り上げています。
その中心にあるのは、ローカルWebマーケティングサービス「まいぷれ」というプラットフォームを軸とした事業です。そこから派生した経営支援機能、自治体との連携機能もありますが、このような地域に特化したビジネスモデルをまずは直営地域、特定地域においてフィジビリティを行います。
お客さま、クライアントにハイタッチして継続的な事業モデルを作ることを目指し、ノウハウを蓄積、標準化、システム化することによって、まずは先行パートナー各社に展開していきます。そして、スケーラビリティを検証し、そのプロセスを経た上で全国展開を行うという事業です。
事業内容・事業内容のサマリー
事業概要の説明を念頭に置いていただきながら、まずは地域情報プラットフォームとしての価値、次に運営パートナーモデルによる全国展開、そして、プラットフォーム運営体制を生かした公共ソリューションという順でご説明したいと思います。
事業内容・地域情報サイト「まいぷれ」とは
プラットフォームについて説明する前に、当社が運営する地域情報サイト「まいぷれ」とは何かをご説明したいと思います。
ポータルサイト「まいぷれ」は、地域に特化した情報を伝えるサイトです。当社がこだわっていることとしては、安さ、値段、便利さといった単なるお店の情報を伝えるだけでなく、そこにしかない付加価値を提供していくことにフォーカスしていることです。
例えばビールが500円安く飲めるお店を探すのであれば、他の媒体を使ってください。当社がお届けする情報は、むしろ高い、東京から遠いといった条件になるかもしれませんが、その場所でしか味わえないものだったり、そこでしか見ることができない景色など付加価値のある内容になっています。そのような情報のことを当社は「付加価値情報」と呼んでいるのですが、このポータルサイトでは付加価値情報を主に配信して運営しています。
事業内容・地域情報プラットフォームとしての価値
しかし、「当社の事業はポータルサイトの運営だ」という説明は少し正確ではありません。あくまで、地域情報プラットフォームを運営しているというのが当社事業の特徴の1つ目です。
スライド中段をご覧ください。左側に記載しているのは、いわゆる当社で言う付加価値情報です。地域のお店の情報やイベント情報などを地域の付加価値情報として、我々が足で回りながら集めて編集し、右側にある「多様な情報の出口」で配信していきます。
この「多種多様な情報の出口」の1つが、当社のポータルサイト「まいぷれ」であり、情報の出口は「まいぷれ」に限るわけではありません。「Googleマップ」や各種SNS、場合によってはリアルな場、ヒューマンインターフェース、また、今後はAIもあると思うのですが、このような多種多様な出口に情報を出していきます。
つまり、当社の事業モデルとしては、情報流通を促進することによって、地域活性化に取り組みます。そして、プラットフォームを利用する対価として、地域の事業者からお金をいただくことが、当社の事業における1つのベースとなります。
事業内容・地域情報プラットフォーム「まいぷれ」のサービス内容
「まいぷれ」のサービス内容には、いろいろなプランがあります。最も安いプラン「ショップページプラス」は月額2,000円になりますが、「ニュースシステム」の5,000円と合わせた月額7,000円のプランでお申し込みいただくお客さまが現状では最も多いです。
先期にリリースした「まいぷれアナライザー」というサービスや、今まさにハイタッチしている「まるまるおまかせプラン」という月額3万円からのサービスも含め、プラットフォームの価値をクライアントに提供している状況です。
2023年2月末時点では、プラットフォームの利用店舗数が1万8,132店舗、そして、平均単価は5,390円となっています。
事業内容・単価の向上:「まいぷれ」を活用した情報発信・集客のトータルサポート
前回の決算説明時にはなかった「まるまるおまかせプラン」について、簡単にご説明したいと思います。当社の「ニュースシステム」「まいぷれアナライザー」は、基本的には店舗自らで情報発信していただき、それをアシストするようなツールでした。
一方で、いろいろな店舗と向き合うと、「『まいぷれ』の価値は非常に理解しているが、どうしても時間が取れない」「運用する担当者が置けない」「運用そのものがやはり苦手だ」と感じているクライアントが多くいることがわかりました。
そのため、我々が集めた知見やノウハウを使って運用自体を代行することにし、「まいぷれ」プラットフォームでの情報配信、「Googleマップ」といった多種多様の媒体に情報を更新していくことも含めて、トータル的にサポートしていくというプランを新設しました。これが「まるまるおまかせプラン」となっています。
こちらは直営地域でのテスト導入を進めており、間もなく順次先行パートナーに展開し、スケーラビリティの検証段階に入る状況です。
事業内容・パートナーモデルによる全国への展開
当社事業の2つ目の特徴は、パートナーモデルによる全国展開です。当社は運営パートナーという仕組みを通して、「まいぷれ」の事業を全国に展開しています。現在156社のパートナーがおり、828の市区町村を網羅しています。
当社が直営地域で培ったノウハウやサービスを、研修を通してパートナーに導入していきます。各地域での営業活動は主に運営パートナーに担っていただき、我々はスーパーバイジングしていくという役割分担にて事業を展開しています。
事業内容・地域情報プラットフォームを活かした公共ソリューション事業
当社事業の3つ目の特徴は、公共ソリューション事業です。主に自治体になりますが、公共が抱える課題に対して、「まいぷれ」を運営する体制、地域に根づいた足回りを活かし、さまざまなソリューションを官民協働事業というかたちで提供しています。
官民協働による情報配信や地域共通ポイント、インフォメーションセンターなど、さまざまな事業がありますが、昨今売り上げの比率が一番大きいのはふるさと納税業務支援になっています。ふるさと納税の寄付サイトを運営しているわけではありませんが、裏側の部分を自治体に代わって運営していくというのが、当社の公共ソリューション事業の中のふるさと納税BPO事業です。
事業内容・事業セグメント
当社は2つのセグメントで事業を展開しています。1つ目は地域の付加価値を発掘し、流通させるという地域情報流通事業です。2つ目は地方自治体を中心とした公共に対して、官民協働事業を提供するという公共ソリューション事業です。この2つのセグメントは重なる部分もあるのですが、当社の事業はこの2つのセグメントで運営しています。
事業内容・当社の強み
当社の強みとして、強くアピールしていることが3つあります。1つ目は、「まいぷれ」のプラットフォームを通して、全国の中小事業者とリアルな接点を持ち、DXを促進できる体制です。
直営のみならず、全国にパートナーがいることにより、各地域とのオフラインの接点を持っています。そのため、ITリテラシーが決して高くない事業所にも寄り添うことができ、経営やマーケティングに関して直接サポートができるラストワンマイルな体制を持っていることが強みと認識しています。
2つ目は、顧客との継続的な関係性です。持続的に効果を発揮する地域情報プラットフォーム「まいぷれ」のサービス価値と、オフラインでサポートできるという体制によって解約率が非常に低く、顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)が高いことが強みであると認識しています。
3つ目は、官民協働事業の実績とノウハウです。創業以来、官民協働事業として、ノウハウと実績を蓄積してきました。我々は持続的に公共のニーズを掴み、また、新たなサービスを展開することが強みであると認識しています。
事業内容・収益構造
収益構造です。スライドの下側が地域情報流通事業、上側が公共ソリューション事業を示しています。
まず、スライド中央に「まいぷれ」のロゴがありますが、そこから下側の地域事業者に矢印が向いていると思います。直営地域の地域事業者に対しては、当社がプラットフォームの利用をおすすめし、その対価として利用料をいただいています。
パートナーがいる地域に関しては、当社が運営パートナーにノウハウやシステムを提供し、運営サポートを行い、運営パートナーが各地域の店舗から利用料をいただくことになります。そして、そのうちの一部が、加盟料、ロイヤルティとして当社に支払われます。
また、地域情報流通事業には、ナショナルブランドの企業、あるいは自治体から、プラットフォームを使った販促、マーケティングを行う対価として、販促費をいただくという収益モデルもあります。
公共ソリューション事業は、今はふるさと納税BPO事業などが売上の比率の大部分を占めています。こちらは対価として委託料、手数料をいただくという収益モデルとなっています。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・サマリー
第2四半期連結累計期間の業績ハイライトの説明に入りたいと思います。まずは全体のサマリーです。
パートナーの新規加盟獲得が復調しました。広告からのリード獲得の安定化や営業体制の強化などの施策により、第2四半期累計期間において新たに10社のパートナーとのご縁をいただくことができています。前期の課題を改善し、法人、新規創業加盟のどちらも復調傾向となりました。
ふるさと納税BPO事業については、新たに2つの自治体から受託したものの、前年同期比では受託自治体数が減少した状態で寄付のピーク時期を迎えたため、売上は微減となりました。ただし、前期から受託を継続している自治体に関しては非常に好調であり、寄付額は増加傾向にあります。
プラットフォーム利用店舗数は前期末から微増となりましたが、年末に閉店が増加したこともあった関係で、解約が発生しています。利用店舗の平均単価についても、前期末比で微増という結果に着地しています。現在、直営エリアで高単価サービスのテストマーケティングを行っているため、こちらを全国に展開していくことによって単価を増やしていけると考えていますが、現状は微増にとどまっている状況です。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・決算サマリー
決算サマリーです。売上高は7億2,100万円、前年同期比100.1パーセント、営業利益はマイナス900万円となっています。
地域情報流通事業におけるパートナー獲得は、おかげさまで復調傾向であり、前年同期比8.6パーセント増となりました。
ただし、公共ソリューション事業において、ふるさと納税の自治体数が39と、前年同時期の40自治体にまで回復しなかったことが影響し、ふるさと納税関連売上高は4.4パーセント減となりました。また、公共受託案件及び「まいぷれポイント」の事業構造変化によっても売上が減少しています。「まいぷれポイント」は、以前は端末で納品していましたが、今はQRコード形式になったため、売上が6.7パーセント減となりました。
販売管理費に関しては、成長戦略に沿って引き続き人員投資を積極的に続けているため、前年同期比13.2パーセント増となっています。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・P/L
スライドにはP/Lを記載しています。地域情報流通事業は前期比108.6パーセントとなっているのに対して、公共ソリューション事業が前期比93.3パーセントにとどまっているのがわかると思います。販管費は前期比113.2パーセントです。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・売上高推移
売上高の推移です。スライドを見ていただくと、前年の第2四半期に比べて、公共ソリューション事業が下がり、地域情報流通事業が上がっている状況がわかるかと思います。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・営業利益推移
営業利益の推移です。現在は営業損失になっていますが、現時点では業績見通しの範囲の中で推移しています。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・主な費用の推移
主な費用の推移はスライドに記載のとおりです。人件費は前年同期比14.8パーセント増、業務委託費も前年同期比10.9パーセント増となっています。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・B/S
B/Sです。季節要因により、資産・負債の変動はありますが、大きな変更はなく安定して推移している状況です。自己資本比率は、現在34.5パーセントとなっています。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・各指標の進捗状況
各指標の進捗状況です。成長戦略でもお伝えしましたが、プラットフォームの価値(店舗数×単価)、展開エリア数、そして、そこに乗ってくる公共ソリューションの拡充といったそれぞれのKPIについてご説明します。
第2四半期連結累計期間業績ハイライト・各指標の進捗状況(サマリー)
プラットフォームの価値については、利用店舗数が1万8,132店舗、平均単価が5,390円で、運営パートナー数が156社、契約エリア数が828市区町村です。公共ソリューションにおいては、ふるさと納税寄附額が前年同期比0.2億円増の38.6億円、ふるさと納税自治体数は2自治体増え、39市区町村となっています。
第2四半期トピックス・サマリー
第2四半期のトピックスをご説明します。2023年1月20日に、「まいぷれ」のニュース機能を大幅にバージョンアップしました。各店舗に対して「あなたのお店であれば、このような情報を出したほうがよい」と提案できる機能を実装しましたが、これは「まいぷれ」ならではの機能だと思います。
2023年2月には、ひらかたポイントが自治体マイナポイントとの連携を開始しました。また、地域の魅力的な産品を集めたカタログギフト「まいぷれのご当地ギフト」の販売も開始しました。
2023年3月からは、「まいぷれ」を活用した情報発信・集客のトータルサポートサービス「まるまるおまかせプラン」の試験運用を開始しています。
第2四半期トピックス・新規事業:まいぷれのご当地ギフト
「まいぷれのご当地ギフト」については、プレスリリースもしましたが、簡単にご案内したいと思います。主にふるさと納税でご縁があった地元の農家、生産者とのネットワークを活用して、地域の産品のみを集めたカタログギフト事業を開始しました。
主に中小企業の経営者、個人、あるいは自治体のシティプロモーションなどをターゲットとして考えています。今、ギフト市場は11億円です。それとは別に、2.8億円の法人ギフト市場があります。このギフト市場に対して「まいぷれのご当地ギフト」を使って参入し、地域の付加価値情報の流通を担っていきたいと思っています。
事業内容・成長戦略のロードマップ
今後の成長戦略についてご説明します。冒頭でもお伝えしましたが、当社の成長戦略のロードマップはスライドに記載のとおりです。
まず、直営地域や特定地域でフィジビリティを行い、クライアントに対してハイタッチします。そして、ノウハウを蓄積して、標準化・システム化し、先行パートナーに対して展開し、スケーラビリティを検証するというプロセスを経て、全国展開します。
スライド下部には、最近の取り組みがどのようなステータスにあると認識しているかを示しています。簡単にご説明すると、ふるさと納税Vtuber活用は、直営地域でフィジビリティを開始しようとしているところです。先ほどご紹介した「まいぷれのご当地ギフト」事業は、直営地域でのフィジビリティを今まさに行っているところです。
去年リリースした「まいぷれ事業承継」は、ノウハウの蓄積中です。補助金・助成金支援サポートに関しては、先行パートナーにリリースを開始しました。また、高額単価のサービスである「まるまるおまかせプラン」は、先行パートナーに導入を始めようとしているタイミングです。「まいぷれアナライザー」や「ふるさと納税BPO」は、すでに全国展開しています。
成長戦略・事業成長モデルの基本方針(再掲)
当社としては、まずは地域プラットフォームの価値を上げるために、MRR(店舗数×単価)を上げていきます。そして、パートナー数を増やすことでビジネスエリアを広げ、そこに公共ソリューションを乗せていくという循環を成長のベースとして考えています。
成長戦略・地域情報流通事業の広大なマーケット
プラットフォームサービス「まいぷれ」のターゲットとなるのは416万社と、非常に大きいマーケットです。現在の「まいぷれ」利用店舗数は1万8,173店舗にとどまっていますが、今後より多くの店舗に利用してもらう可能性が秘められている市場であると考えています。
成長戦略・経営支援機能に広がるサブスクリプションモデル
プラットフォームサービス「まいぷれ」にはWebマーケティングや集客支援の機能がありますが、さらに経営支援機能の拡充にも取り組んでいきます。地域事業者向けの助成金活用支援や事業承継の業務提携支援、SNS運用サポートを開始していますが、今後は、新規開業支援、あるいは人材採用育成支援も考えています。
成長戦略・単価の向上
以上のような施策により単価を上げることは、1つの重要な成長戦略です。月額掲載単価は、2021年8月期の4,915円から、2022年8月期には5,300円になりました。さらに2023年8月期には5,870円に上げていきたいと考えています。
成長戦略・パートナーの成長とエリア拡大
パートナーの成長とエリアの拡大についてです。パートナーの数を増やすと同時に、既存のパートナーに経営力を上げてもらうことによって展開エリアを広げていくこともあわせてエリア展開と考えています。
成長戦略・運営パートナーに対する経営支援機能の強化
新規パートナーを獲得すると同時に、運営パートナーに対する経営支援機能の強化も非常に重要な成長戦略の軸として考えています。現在の運営パートナー156社のうち、既存法人は115社で、残りの41社は「まいぷれ」事業を始めるために独立開業した、いわゆる「まいぷれ」専業型のパートナーです。
昨今増加している独立開業した「まいぷれ」専業のパートナーは、成長性はすごく高いのですが、既存法人に比べて経営基盤が脆弱です。そのため、いかに経営サポート支援を行い、彼らが営業に専念できる環境を作れるかが非常に重要だと考えています。
成長戦略・ふるさと納税の取り組み拡充
ふるさと納税についてです。ふるさと納税の受託自治体数は前期の数には若干届いていませんが、まだまだ可能性はあります。
今後においては、当社ならではのふるさと納税の施策が非常に有効ではないかと考えています。返礼品を開拓し商品化を支援する、そしてサイトの運営施策を手伝っていくというのは、まさに「まいぷれ」事業の延長にある部分のため、当社の従来のシステムにより磨きをかけていきます。
それと同時に、高品質なバックオフィスも求められているため、2022年9月に株式会社公共BPOを設立しました。これまでは「まいぷれ」での株式会社フューチャーリンクネットワーク及びパートナーの強みだけでしたが、ここに加えて、株式会社公共BPOによる高品質なバックオフィスも武器として手に入れたと考えています。これから件数をさらに増やし、寄付額を伸ばすことが成長戦略の軸です。
成長戦略・今後の成長イメージ
このように既存事業を成長させると同時に、新規事業領域も増やしていこうと考えています。既存事業領域を着実に成長させることで安定的な収益を得ると同時に、「まいぷれ」事業を運営している、または官民協業事業のノウハウを持っている当社だからこその体質や強み、ノウハウ、基盤などを活用した新規事業を展開していきます。既存事業と新規事業の両輪で、中長期での高い成長性を実現していきます。
駆け足になりましたが、私からのご説明は以上です。どうもありがとうございました。
質疑応答:当期予算計画の妥当性について
司会者:「貴社の四半期ごとの売上傾向を考慮すると、当期売上高15億円の実現が難しくなったように思います。あらためて、当期予算計画に妥当性や根拠についてお伺いします」というご質問です。
石井:確かに、進捗だけ見ると多少不安に思うかもしれません。しかし、期初に掲げた売上高15億円という予算額に関しては、十分に妥当性のあるものであると考えています。公共事業の領域、あるいは先ほどお伝えした高単価商材である「まるまるおまかせプラン」の進捗状況などを鑑みても、十分に実現の可能性がある計画だと考えているところです。
質疑応答:経営責任の所在とコミットメントについて
司会者:「通期として、前期同様に下方修正並びに赤字での着地となる場合について、経営陣の責任の所在、コミットについておうかがいします」というご質問です。
石井:あらためて言うまでもなく、事業の責任は経営者にありますので、当然責任は感じています。責任も持っていますし、経営にもコミットしています。
仮に中長期で成長性が維持できないようであれば、当然責任を取るべきだと思いますが、我々はまだまだできることがたくさんあると思っていますし、可能性の高い事業であると思いますので、今後も十分成長ができると自負しています。
質疑応答:今後に向けての変化について
司会者:「2021年8月期をピークに事業としては横ばいまたは減少傾向で、何か大きく変えていくべき局面のように見えます。今後に向けてどのような変化をお考えでしょうか?」というご質問です。
石井:今まさに変化に向けて動き出しているところです。先ほどお伝えしたように、この3月に高単価商材である「まるまるおまかせプラン」をリリースしました。これまで、地域の小規模な事業者からいただける金額帯の上限値を思い込んでいた部分がありました。また、地域の事業者自身が情報配信するツールを提供するところにとどまりがちでした。そうではなく、運用そのものを引き受けることで、客単価は今までの倍以上の金額帯となっています。
このように常に変化していますし、変化していかなければいけないと考えています。その中でも、地域のパートナー各社との向き合い方やパートナーに対する支援案の仕方、地域から上がってくる収益の考え方など、絶えずバージョンアップし続けていますので、今後も注目していただければと思っています。
質疑応答:株式の取得について
司会者:「過去に発行したストックオプションの残高が多くある状態で、昨年末の役員を対象とした新株発行と今回の従業員に向けた新株発行があったことは、既存株主として疑問に感じます。株主と価値を共有する目的であれば、ご自身で市場から株を取得する、または持ち株会を通じて取得すべきであると考えます。その点について、石井社長からご説明していただきたいです」というご質問です。
石井:まず、「石井自ら市場から株を買え」という話に関しては、現時点で「する」とも「しない」とも決めていません。もし決定事項がありましたら、速やかに公表したいと思います。この件に関しては、以上です。
前段のRS(譲渡制限付株式)に関しては先般、役員に発行し、この度従業員にも発行しました。詳細なご説明は省略しますが、おかげさまで非常に優秀な人材の採用に成功しましたので、非常に良いRSとなったと自負しています。必ずや成長に資するものとだと考えています。
質疑応答:「まるまるおまかせプラン」の平均単価向上への寄与について
司会者:「『まるまるおまかせプラン』は、どれくらい平均単価向上に寄与する予定でしょうか?」というご質問です。
石井:全国展開に向けた具体的なイメージが描ききれていないため、本日の時点で細かい数字をお伝えすることは控えます。先ほどお伝えしたとおり、従来の平均単価5,300円に3万円あるいは、一番高いお客さまでは5万円の追加料金となっています。
この3月から販売開始したため、細かい数字の報告は次の四半期発表以降になりますが、直営地域で進めている中ではかなりの手ごたえを感じています。今期の結果がどの程度になるかはわかりませんが、単価向上に大きく貢献すると考えています。
質疑応答:ふるさと納税の受託自治体数を増やすための施策について
司会者:「ふるさと納税の受託自治体数を増やすために実施している施策を教えてください」というご質問です。
石井:先ほどご説明しましたが、従来の強みを磨き続けると同時に、子会社として株式会社公共BPOを設立しました。地域の魅力ある産品を開拓して、それを取材するという強みにとどまっていたのですが、公共に特化した高品質なバックオフィスを作ったことは、非常に強い武器だと考えています。この安定的かつ高品質なバックオフィスと、付加価値を発信するという強みをとにかく多くの自治体に知っていただくことを実直に積み重ねていきたいと考えています。
質疑応答:パートナー増加の要因について
司会者:「パートナーが増加した理由は何でしょうか? また、獲得状況は予想どおりと考えてよいのでしょうか?」というご質問です。
石井:パートナーの増加に関しては、前期の反省を活かして営業人員を前々期体制まで戻したため、営業体制を整えたことで回復したものと思っています。ここまでが予定どおりかと言いますと、まだ回復途上にあると思っており、これから第3四半期、第4四半期でさらに回復できると見ています。
質疑応答:株式会社ネルプとの提携の効果や実績について
司会者:「昨年提携した株式会社ネルプとの現状を教えてください。提携の効果や実績についてはいかがでしょうか?」というご質問です。
石井:株式会社ネルプは「Instagram」に特化しているため、これだけで当社の画期的な商品になるわけではありませんが、自治体への提案の幅が広がったと思っています。また、「まるまるおまかせプラン」の1つの材料になっていますし、自治体のプロモーションの支えにもなっています。ただし、当社は「Instagram」のみに特化しているわけではないため、株式会社ネルプとの提携も含めた多種多様なSNSへの運用代行を、「まいぷれ」を通じて実現していくとご理解いただければと思います。
質疑応答:株式会社公共BPOの受託状況と合弁会社設立の効果について
司会者:「株式会社公共BPOの受託状況と、合弁会社設立の効果はいかがでしょうか?」というご質問です。
石井:株式会社公共BPOを作り、運用に特化した機能を作ったことは、我々にとっても武器となりました。これにより提案の幅が広がり、自治体にも安心感を持っていただけたと実感しています。
また、株式会社公共BPOを作る時に、私から「最初は株式会社公共BPOと、株式会社フューチャーリンクネットワークのふるさと納税業務だけを請け負います」とお話ししました。そして、「もしかしたら当社のライバルになるかもしれない、ふるさと納税を同じように請け負っている観光地域づくり法人(DMO)や地域の観光協会等のバックオフィスを受ける段階にも進んでいきます」とお伝えしていました。
これも第3四半期以降の話のため、詳細は次回の決算説明会までお待ちいただければと思いますが、株式会社公共BPO自体が当社以外の会社から受託するというケースも始まっています。株式会社公共BPOを作ったことは、非常に良い手だったと考えています。
質疑応答:今期の予算達成の十分な根拠について
司会者:「先ほどの質問の回答として、今期の売上高15億円を達成できるような回答をされていましたが、第3四半期、第4四半期で大きな積み重ねが実現できる具体的な策や計画があるのでしょうか?」というご質問です。
石井:本日ご説明した中に、期初にはなかった動きが2つあります。1つは「まるまるおまかせプラン」のリリースです。1店舗1店舗は3万円の売上増加ですが、積み重なっていくことで十分取り返せると考えています。
もう1つは、「まいぷれのご当地ギフト」をはじめとする新規事業です。「まいぷれのご当地ギフト」の配達エリアはまだ直営地域のみですが、現時点で売上高15億円を達成することが難しい状況にはないと考えています。
中川拓哉氏(以下、中川):少し補足しますと、昨年までの実績値で見ると上期偏重ですので、第1四半期、第2四半期のほうが売上比重が高いことを加味したご質問だと思います。確かに前期に関しては、上期の割合が非常に高くなっています。これは、ふるさと納税の季節要因があるものの、下期は事業として少し失速したと考えられます。
今期の予算を立てる時、ふるさと納税は年間を通じて平坦な寄付割合になっている実感があったため、昨年ほどの季節要因による偏重は見込んでいません。下期に向けて、今後も計画どおりに進めていくと、上期と下期の割合が前期ほど極端なことになるとは考えていないため、下期の追加策も含めて予算達成が見えてくると思っています。
質疑応答:ふるさと納税の経費について
司会者:「ふるさと納税について、報告外の経費がかさみ、平均経費率が50パーセントを超えているという報道が出ています。ふるさと納税のバックオフィス機能については効率が求められると思いますが、何か影響がありますか?」というご質問です。
石井:報道や経費などについての問題点はもちろん承知していますが、現時点で当社に影響はありません。ふるさと納税においては、当社のように現場を担っているプレーヤーや寄付サイトのプレーヤーなどがいて、いろいろな経費構造がありますが、このモデルは多様なかたちになっていくと思っています。
その中で、今までの単純構造が崩れ、これから当社がさらに幅広い領域を担うことも出てくると思います。我々がどのようなポストにいて、どのように利益を出していくのかを、これから試していく予定です。
中川:自治体からいただいている予算の中で、経費に関してはできるだけ削減するべき部分だと考えています。当社が関係している自治体に関しては、返礼品や送料を含めた経費率が50パーセントを超えることはありません。
私たちが株式会社公共BPOを立ち上げたのも、外部委託していたコールセンターを社内に持ってくることにより効率性を高めるという狙いがあります。また、非常に涙ぐましい努力ではありますが、郵送代などコストが高い部分について、紙の大きさを縮小して郵送代を削減するなどの企業努力を行っています。
質疑応答:株式会社シフトセブンコンサルティング経由の新規案件について
司会者:「株式会社公共BPOの大株主に株式会社シフトセブンコンサルティングが参画していますが、この会社は多くの企業とお付き合いがあると認識しています。株式会社シフトセブンコンサルティング経由で新規案件の獲得予定はありますでしょうか?」というご質問です。
石井:株式会社シフトセブンコンサルティングは、自治体へのシステム提携において、非常に大きな会社です。以前から懇意にしてもらっており、また非常に多くの情報を共有してもらっているパートナー会社です。
株式会社シフトセブンコンサルティングから実際にご紹介いただくケースもありますし、同社の社長も株式会社公共BPOの役員として入っていただいています。現時点で具体的なことをお伝えするのは差し控えますが、今後ご紹介していただくことも大いにあり得ると考えていただければと思います。
質疑応答:自治体がリピーターになる要因について
司会者:「ふるさと納税事業以外でも構いませんので、リピーターとなった地方自治体について、その要因を教えてください」というご質問です。
石井:当社ならではの取り組みを行っている自治体と、他社との比較で当社サービスを導入している自治体があります。当社が他社にできないことのみを行っている自治体は、おのずとリピーターになっていくと思っています。逆に他社との差別化がしきれなかった自治体に関しては、どうしても他社との競合になってしまう部分が出てくると思います。
自治体では、受託事業が一定期間を経過すると、どうしてもいったんプロポーザル方式で再委託先を再度検討しなければなりません。このように民間事業にはない付き合い方をしなければならない事情もあるため、解約になったからといって、必ずしも永久に付き合いがなくなるわけではありません。付き合いが長い自治体に関しては、他社にスイッチする余地がないくらい当社ならではのサービスを行っているとご理解いただければと思います。
質疑応答:「まるまるおまかせプラン」の受注状況について
司会者:「『まるまるおまかせプラン』については、試験運用が好調とのことでしたが、今のところの受注状況はいかがでしょうか?」というご質問です。
石井:具体的な数字をお伝えするのは差し控えますが、全店舗のうちの一定割合は確実に受注できると思っています。当初は、一部の特定の店舗だけかと思っていましたが、実際にはそうではなく、ある程度の規模感で利用いただけるサービスであると感じています。当社の場合、「まいぷれ」で付き合いがある店舗に直接お邪魔して、運用などもご相談しながら決めていけるという他社にはないアプローチを行っているため、十分期待していきたいと考えています。
石井氏からのご挨拶
本日もご参加いただきありがとうございました。また、たくさんご質問をいただきありがとうございます。これからもますます成長し、チャレンジしていきたいと思っています。ぜひ末永く見守っていただければと思います。本日はどうもありがとうございました。